音でペースを上げろ。Spotifyのアルゴリズムおすすめプレイリストで走ってみた

速く走れるシューズ、ウェア、トラッカー、アプリはいくらでもあるけど、僕が試して唯一効いたのはずばり、音源です。だからSpotifyに「君のランを永久に変える」新メニュー登場と聞いて真っ先に飛びついて…いや、走ってみましたよ。

新メニューの名前は「Spotify Running」。Spotifyのアプリを開いて「Running」をタップすると、カッコいいHOMEに誘導されて、そこに何通りかシーン別プレイリストが出てきます。これはもうできあがってる選曲リストとかじゃなく、DJが作ったインストルメント・リミックスがあって、それを「ムード」に合わせて組み上げてくイメージですね。

ムードは「Epic(KGBから逃げるぐらいの本気ラン)」、「Blissed Out(銀行のCMで走るぐらいの快走)」、「Tiesto-ブランドミックス(EDMのパーティーピーポーから逃げるぐらいの鈍足)」の3通り。

へこたれて歩きたくなるとアルゴリズムで脳が刺激されて強制的に走る気になる、なーんてことが本当にあるんだろか…と半信半疑で「Lock the Flow」ってのを選んでみました。解説に「きらきらエレクトロビート」とあるやつ。女の声で「走れ」って言われたんで駈け出して、スマホの加速度計から入る動きのデータ見ながら、1分あたりの歩数(STEPS/MIN)は大体170にセット。

いざやってみると…このミックス最高! ハイペースなのと反対なのが交互にきて1マイル(1.6km)ぐらいあっという間でした。あとはくたびれちゃったけど。

なぜ音楽はランに効くのか

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音楽ないと走れない人って結構いますよね。僕もしんどいので音楽ないとランはムリ。ガンガンに。めちゃうるさいやつ。 音楽聴くと脳のケミストリが変わって、筋肉にどんより溜まってく澱が気にならなくなる気がするんです。科学的に見てもそういうものらしく、科学誌「サイエンティフィック・アメリカン」が紹介してる最新研究にはこう書かれています。

「音楽は疲れを先延ばしし、運動のキャパを高め、エクササイズのパフォーマンスを改善する。心身機能向上効果はテキメンだ。[...]その意味では音楽は合法のパフォーマンス向上薬と言える」(Costas Karageorghis氏の2012年の論文より)

まあ、音楽に頼るなんて根性なしのやることだって言う人も大勢いますけど。

この「Spotify Running」で走る距離が伸びたわけじゃないですけど、なにしろ、走ってること自体はあまり意識しなくて済みましたね。ひとっ走りして家に戻ってから、もっとヒマな運動で試してみようと思って、自転車漕ぎマシンでもやってみました。

テンポは自分で設定できるんですが、音源に合わせて漕ぐと、やっぱりペースは上がりますね。Spotifyが選ぶ曲はいいのも悪いのも混じってたけど、時間があっという間に過ぎる感じ。

Spotifyのミックスの下には、「Recommended For You(あなたのオススメ)」というプレイリストもあります。これは自分の視聴履歴からSpotifyのアルゴリズムが好きそうな曲をピックして流してくれるやつ。確かに手持ちの曲になんとなく合ってます。何回も聴いてる曲が違う順番で流れてきて、たま~にワイルドカードが混じってきます。

まー中には妙なのもあって、大学出てから一度も聴いたことないバンドの曲が連続で流れてきたかと思うと、続いてJay-Zソング6連発とかね。あとOlly Mursのが何回も流れてきたんで、後で誰だろうと思って調べたら2009年のTV番組「X-Factor」で準優勝したシンガーでした。そういう例外はあるけど、オススメ曲は面白いの多かったです。組み合わせは変だけど。

あとこのアプリは、ペースが落ちる長いイントロとアウトロはスキップできるんです。これは地味だけどナイス!

試してみるべき?

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「ベッドタイム」には「ブラウンノイズ(信号雑音)」なんていう通なオススメも

身体鍛える道、速いランナーになる道は長くヒマなものですよね。進歩が見える瞬間なんてほとんどないし。こないだTa-Nehisi Coates氏が、フランス語始めて3年になるけど難しくて難しくてそこが楽しいっていう面白いエッセイ書いてましたけど、そこにこんな一節がありました。「苦手なことは、少しでもうまくなるとうれしい。このうれしさに勝るものはこの世にはない」

このSpotify Runningをはじめフィットネスのトラッキングアプリとガジェットは、この長く、遅く、退屈な道を、そう意識しなくていい楽しいものに変えてくれるだけでもすごいことだと思います。

今回Spotifyが出した新メニュー「Now」では、実を言うとランニングは一部門で、それ以外にも1日の時間帯とアクティビティに応じてSpotify製プレイリストが沢山用意されています。「ベッドタイム」のライブラリにはピンクノイズとか Cloud 9、「morning commute(朝の通勤)」には「Late For Work(仕事に遅れる!)」とか「TGIF(Thank God, it’s Friday(やったー金曜日)」といったプレイリストもありますよ。

前からあるリストですけど、もっと聴く人の「今なにしてる」をベースにピンポイントでオススメするようになったのが今回の改善点です。この手の機械学習はSpotify以外にもAetherなんかもやってますが、Spotifyはユーザ数と楽曲ライブラリ保有数が巨大なぶん1枚有利でしょね。コンテクスト連動型の機械仕込みのDJ。それがランニングというトロイの木馬に乗っかってくるんです。

Spotifyのアルゴリズム使ったからって急に優秀なアスリートになれるわけじゃないし、 「君のランを永久に変える」っていうのは大げさだけど、1時間自転車漕ぎのときもジョギングのときも、しんどいの意識しなくていいのはか~なり助かる。長い目で見ると違いが出そうですね。

Kelsey Campbell-Dollaghan - Gizmodo US[原文

(satomi)