いつかそこに着陸する日を夢見て…。探査機の冥王星接近は調査の第1歩

いつかそこに着陸する日を夢見て…。探査機の冥王星接近は調査の第1歩 1

おーい、冥王星やーい。

接近通過、フライバイ。先日、探査機ニュー・ホライズンズが冥王星に最接近したことが大きなニュースになりました。冥王星表面の鮮明な画像を撮影し、今までわからなかったことが明らかになり、冥王星という星を身近に感じることができました。これからますます解明が進み、もっと身近になるのでしょう。

が、中には思った人もいるはず、近くを飛ぶ接近通過だけでは一瞬のことじゃないか、と。せっかく長年かけて遠く離れた冥王星まで行ったのだから、もうちょっとどうにかならんのか、と。冥王星の軌道上を何周か飛んだり、いっそのこと着陸したり。そんなこと、できないのでしょうか?

できるかできないか、先に答えを言うならば技術的には可能でしょう。が、できるかどうかが問題ではないのです。なぜ接近通過だけなのか、それは宇宙探検には手順があるからです。今回の冥王星へのフライバイは、まさにその手順の第1ステップ。それが上手くいけば、次は軌道周回、そして着陸、最後にサンプルを持ち帰る、これが昔ながらの宇宙探検の手順なのです。

今までのフライバイ

最初にフライバイが行なわれたのは、1959年、月でのことでした。飛行したのはロシアのルナ1号。アメリカの初フライバイは火星へ、1965年にマリナー4号が行ないました。その他には、探査機ジオットが1986年にハレー彗星に接近、1992年にはグリッグ・シェレルップ彗星に接近。探査機カッシーニは土星へのフライバイを行いました。

探査機ジオットのハレー彗星フライバイは、たった数日のこと。しかし、これによって、ジェット現象、予想以上に暗い地表、地表に含まれた炭化水素などなど、ハレー彗星への知識が大きく向上しました。これらの発見は、現在、探査機ロゼッタや無人ランダーフィラエによってさらに詳しく調査されています。

たった数日のフライバイでもいろいろわかるとはいえ、やはり調査としては非常に短い時間です。そして、短い時間とはいえ、成功させるのは難しいことです。例えば、探査機ジオットがハレー彗星を秒速68.4キロの速さで接近通過したとき、最接近時にダスト粒子に遭遇し、バランスを失い回転してしまうというアクシデントがありました。そう、いくら最初のステップで短時間と言えども、フライバイにはアクシデントがつきものなのです。

冥王星へフライバイしたニュー・ホライズンズとこれからのフライバイ

2006年、アトラス Vによって打ち上げられて以来、478キロのニュー・ホライズンズはたったの13ヶ月で木星を通過。木星まで13ヶ月とは史上最短のスピードでした。なぜ、こんなにハイスピードでニュー・ホライズンズが冥王星に向っていたかというと、冥王星が太陽から離れその薄い大気が凍りはて崩れてしまう前に調査をするためでした。ニュー・ホライズンズのミッションは、秒速14km(=時速5万km)での初フライバイ。

天文単位(Astronomical Units=AU、1AU=約1億4960万キロ)で言うと、冥王星の近日点通過は1989年の29.7AU、遠日点通過は2113年で30.1AU。つまり、冥王星が太陽から離れてくフェーズにある今、冥王星の表面温度は現在の40ケルビンからさらに低くなり、大気は凍っていってしまいます。

さて、なぜ冥王星付近まで行くのにフライバイするだけで、軌道に乗って飛行しないのでしょう。最も単純な答えは、エネルギー問題。軌道を掴むためには、ニュー・ホライズンズはそのスピードをかなり落とさなくてはなりません。そのためには、莫大なエネルギー=燃料が必要となります。NASAは、大量のエネルギーを積んで他のフライバイ計画を行なうのではなく、冥王星とその衛星カロンに焦点をあてると早い段階で決めていたのです。

ニュー・ホライズンズから送られてきた画像から、すでに冥王星とカロンに関する知識は深くなりつつあります。今後すべてのデータを受信するまでの16ヶ月で、冥王星への理解はさらに深まっていくでしょう。理解が深まれば、また新たな疑問が湧いてくるでしょうね。が、それを解決するには、将来的にさらなる調査ミッションが必要になります。いつかはわかりませんけれど…。探査機ロゼッタが彗星を調査するように、冥王星も次のミッション、次の探査機とその調査の歩みを進めていくのです。

人類の宇宙へのミッションは段階を踏んで、手順を進めています。それは冥王星に限ったことではありません。火星に生命の痕跡があるかを調査するミッションエクソマーズしかり、木星の衛星ガニメデ、かりすと、エウロパを調査する木星探査ミッションJUICEしかり。

人類は、宇宙のことをもっと知りたいと思っているのですから。

image by NASA

source: This article was originally published onThe Conversation

Andrew Coates - Gizmodo US[原文

(そうこ)