記者ひとり3億円! 日経のFT買収、欧米の反応まとめ

ロンドン金融街シティに127年君臨してきた老舗経済紙フィナンシャル・タイムズを日経が買収したニュースは、海外でも衝撃をもって受け止められました。リアクションをランダムチェック!

まずは、買収最後の生き残りのニューヨーク・タイムズ

この金額には目の玉が飛び出た。13億ドル(約1,600億円)は新聞社買収額としては史上最大規模。近年の買収劇が急に小さく思えてしまう。(ベゾスが買収した)2年前のワシントン・タイムズは$2.5億ドル(308億円)、ボストン・グローブは7000万ドル(86億円)だった。

独アクセル・シュプリンガーとの買収交渉は、日経による買収が発表される15分前まで続いたと、FTは後に報じている

「FT社員にとっては誰に買収されても不安。オリガルヒ(ロシア新興財閥)に買われるよりまだマシだ。日経なら、気遣いが必要なFTの企業風土も理解してくれるだろうしね」 とロンドンのサンフォード・C・バーンスタイン社アナリストのClaudio Aspesi氏は語っている。

一方、FTと親会社が一緒の英エコノミスト

今回の買収はフィナンシャル・タイムズ・グループの国際進出には響くかもしれない。特に中国。中国要人の調査報道をやって中国政府トップの心証が悪いニュヨーク・タイムズ、ブルームバーグ、通信社に比べると、フィナンシャル・タイムズは友好な関係を中国上層部と維持してきた。が、日本は隣の大国との関係がギクシャクしているので、FTグループの展望に翳りが生じてしまう恐れもあるだろう。

日経は日本の財界・政界との繋がりも密で、その役割りは「日本株式会社を良く見せるためのマシン」だと、東京在住エコノミストのイェスパー・コール氏は語る。

ビルド、ディ・ヴェルトを傘下にもつドイツ企業の方が相手としては中立だったかもしれないが、最後の最後にそちらの買収は決裂した。シュプリンガーなら営業利益の70%がデジタル事業なので、成立していればFTのデジタルがもっと強化されたのだが。

日本は国際水準に比べ、まだ紙の発行部数が驚くほど多い。が、オンラインメディアの台頭で、部数はゆっくりだが確実に落ちてきている。日経は未だに主に紙とインクに依存しており、購読270万人のうちデジタル版読者はたったの43万人だ。対するFTは有料定期購読者72万人のうち3分の2がデジタルを読んでおり、デジタル移行に関しては先を行っている。

報道によると、独アクセル・シュプリンガーは今回の結果に落胆しているという。情報筋によると、日経は競合に価格を上乗せしたのみならず、 FTへの投資に意欲を示した点が評価されたという。また、厳格なアプローチで有名なドイツ企業より、FT経営陣の自由裁量に任せる部分が多いと受け止められた。

とはいえ、日経がFT買収で支払う金額は成層圏突き抜けるほどの高値である。昨年売上高の2.5倍で企業価値を評価しており、往時の新聞ビジネス絶頂期の感覚のままだ。投資に回せる金はそんなに残ってないだろう。買収資金も主に借金で調達するようだしね。ちなみにこの買収にはロンドン中心街のFTグループ本社ビルやザ・エコノミスト誌の50% の保有株は含まれていない。

エコノミストの懸念が中国、デジタル、お金なら、英紙ザ・ガーディアンはずばり企業風土の違いを心配しています。

「頭にshotgun突きつけられて結婚オーケーしたのとは違う」―フィナンシャル・タイムズのライオネル・バーバー編集長は不安顔の記者らを前にこう語った。本当は「shotgun」じゃなく「shogun」と言ったのに、きっと翻訳で抜け落ちてしまったんだろう。ピンクの新聞(FT)を支配する東京の領主にジョークが通じることを願うばかりだ。

[…]喜多恒雄会長は二社には共通点が多いとし、「報道姿勢も同じだ」と語った。

[…]だったらなぜ東芝が何年も前からやってきた不正会計が今ごろになって表沙汰になるのだろう? オリンパスの不祥事も初報は日経ではなく、FTだった。

フィナンシャル・タイムズ記者サイドからはこんなツイートも。いきなり英国風ジョークの洗礼ですねー。

「日経が払う金額はFT記者ひとり240万ドル(3億円)。高いか安いかわからないって? 大バーゲンに決まってるじゃないか」

source: The Economist, NYT, The Guardian

(satomi)