「iOS 9」プレビュー版レビュー:もっと早く登場すべきだったのに

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さてさて、WWDCで華々しく発表され秋の正式リリースに向けて開発が進むiOS 9。秋に登場するであろう次期iPhoneとのコンビネーションでどれだけ力を発揮するのか見ものですが、それより一足早く米ギズのChris Mills記者が使い勝手をレポートしてくれていますよ。それではどうぞ。

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今年登場するアップルのモバイル向け新オペレーティングシステム「iOS 9」は、びっくりするするほどの変化が含まれているわけではありません。注目の定額制音楽配信サービス「Apple Music」はiOS 8.4のリリースと同時にもうスタートしちゃいましたしね。だからって、iOS 9が必要ないかと言われればそんなことはありません。

そこで、iOS 9のベータ1、2をiPhone 6で試した僕がレポートしてみます。もちろんベータ版ですから、クラッシュしたりバグもありました。でも大体の機能はきちんと試すことができました。なお、開発者でなくてもiOS 9が試せるパブリックベータは今月中に登場する予定です。ちょっとぐらい不具合があってもいいから秋まで待てない!という方はそっちを入れてみるのも良さそうですよ。

Siri 2.0:Google Nowには程遠い

まず、iOS 9ではSiriの居場所が変わります。メインスクリーンを左端からスワイプすれば、上からサーチバー、Siriからのおすすめのコンタクトリストやアプリ、周囲の施設、そしてニュースが現れます。

説明されると納得するのですが、実際これがどうにも使えません。連絡先のオススメはiMessagesと電話履歴からのみ作られているようで、メールやWhatsAppやSnapchatのようなSNSアプリの連絡先は反映されません。またオススメアプリは一度も使ったことのない出会い系アプリが居座ったりと、ランダムに作られたような微妙な出来です(早くパートナーを見つけろってこと?)。

ニュースのオススメはもっとダメです。ニュースソースや興味のあるトピックを変えられず(えぇ…)、芸能人のゴシップとギリシャのニュースをずっと見る羽目になります。

新型のSiriはライバルのGoogle Nowと同じく、必要な情報や自分のタスクを質問しなくても教えてくれるデジタル執事になるはずでしたが…正直、遠く及びませんね。

Google Nowはカードインターフェイスでこれから行くのレストランへの道順や、海外なら通貨のレートを教えてくれます。iOS 9のSiriも、道が混んでいるなら次の会議に早めに出発するように教えてくれるんですが、だいたいの場合、それらのオススメ情報は大して重要じゃなかったりそもそもなかったりします。

ただし、Siriのボイスアシスタント機能に関しては話は違います。よりユーザーの文脈を読み取れるようになり、アプリとの連携機能も良くなりました。たとえば「車に乗った時、コーヒーを屋根から下ろすように覚えておいて」みたいなメッセージも理解可能です。また純正アプリだけでなくサード製アプリからも検索可能です。

新型Siriの機能はよくできているんですが、まだまだ行き当たりばったりな感じです。よく出来ている部分はやっぱり検索機能で、ネットやアプリ、連絡先、iMessagesやメールから適切な情報を見つけることができるでしょう。また、検索結果の連絡先の名前の隣から電話やFaceTimeを直接起動できます。

新アプリ:アップルによる巻き返し

アプリにもいろいろと変更があります。一番の大きな変更は地図アプリで、ようやく公共交通機関の乗り換え案内を搭載しました。グーグルの地図アプリではお馴染みの機能ですね。

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乗り換え案内の提供はサンフランシスコ、ニューヨーク、トロント、ロンドンのみに限られていますが、これが良くできています。ルートのプレビューではスワイプで道のりを見たり地下鉄の発着回数を確認したり、さらには駅の中でのルート案内まであるんです! もう言うことなしって感じですね。

一方、地図の品質はアップルの地図そのものです。やっぱりグーグルマップには正確性で劣りますし、交通情報の提供量もだいぶ劣ります。

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iCloud Driveは本当によくできたアプリです。ホームスクリーンにアプリを表示するには、設定からオンにする必要がありますが、その後はiCloudアカウントに直接アクセスできます。なんだかDropboxみたい!?

デフォルトのフォルダには以前同期したNumbersやPagesのフィアルが表示されますが、iPhoneやiPadのバックアップやフォトストリームは閲覧できません。iCloud storageや多の機能は依然として設定から管理する必要があり、なんだか投げやりに実装された機能のようにも見えます。

ノートアプリも変更されており、手書きでWi-Fiパスワードとかを殴り書きできます。また、iCloudと同期させたりペンや写真の貼り付け、フォントやスタイルの変更も可能。Evernoteに迫る!ってほどではありませんが、ただのメモアプリからはだいぶ進化しています。

PassbookはWalletに名前が変更されています、が中身は一緒。ロックスクリーンでホームボタンをダブルタップするとカード情報が見られるのが唯一面白かった点でしょうか。

バッテリー:すっごい持つ

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iOS 9にはバッテリー関連の改善もいくつか含まれていますが、どれも素晴らしいものです。まずはローパワーモード。Android OSにも機種によってはローパワーモードが搭載されているんですが、iOS 9のものはもっと良くできています。

設定アプリの中にあるローパワーモードをオンにすると、多くのバックグラウンドで動く機能(メールの取得やアプリの更新、いくつかのアニメーションなど)が止まります。つまり、もしメールやTwitterの情報が見たい場合にはアプリを立ち上げなければいけないのです…が、素晴らしい見返りがあります。僕が試したところ、40%のバッテリー残量から1日をスタートして夜になっても20%もバッテリーが残っていたんです。ファンタスティック!

さらに、ローパワーモードを使わなくてもiOS 9はバッテリーに優しい設計になっています。正確な数字では言いづらいのですが、アップルが言うようにほぼ1時間ぐらいは長くバッテリーが持ちます。さらに、画面をオフにしているとよりバッテリーが減らないことが実感できます。

手元のiPhone 6は電源から外して24時間経っているのですが、1日普通に使ったのにまだ66%もバッテリーが残っています。ベータ版ですらこれなんですから、正式版ではもっと良くなっていそうです。

最後に、バッテリーメニューではどのアプリがどれくらいバッテリーを消費しているか、

またバックグラウンドとオンスクリーン時でそれぞれどれくらい違いがあるかが見られます。これにより、どのアプリがバックグラウンドでバッテリーを浪費しているかが確認できるわけです。そういう悪いアプリはさくっと終了させちゃいましょう。

UI変更:ようやく…って感じ

iOS 9はデザイン的には大きな変更はありません。が、やはり色々と変更が加わっています。まず気がつくのは、アプリの切替画面の違いでしょう。iOS 8のペラペラ2DでアプリをめくるUIから一変、iOS 9では3Dでアプリをささっと切り替えられます。まぁだからなんだ、と言われると困ってしまいますが、ちょっとおしゃれでいい感じです。

また、キーボードのシフトキーを押した時に大文字と小文字が変化したり、設定アプリにも検索がついたり、リンクや通知から別のアプリに飛んだ時に画面左上から直前まで使っていたアプリに戻ったりもできます。

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まとめ

iOS 9は特に大変革…ってバージョンではありません。iOSやiPhoneに興味がない人なら、何が変わったのかわからないでしょう。でもUIや検索機能、アプリ間の切り替えの改善のお陰で、だいぶ使いやすくなっています。

また、他社のサービスにアップルが追いつこうとしているところも見逃せません。乗り換え案内機能の搭載やiCloud Driveの改善はグーグルマップやDropboxのそれに競合するものです。そして、Apple Music、これはもう使っている人も多いでしょう。アップルによる定額制音楽配信サービスへの進出です。

iOS 9は人生を劇的に変えてはくれません。でも、新型のSiriや改善されたバッテリー効率を見ると、iOSは今年最も優れたモバイルオペレーティングシステムの1つと呼ばれそうですね。

Chris Mills - Gizmodo US[原文

(塚本直樹)