これまでとまったく違う、ミレニアル世代の「住む」カタチ

これまでとまったく違う、ミレニアル世代の「住む」カタチ 1

アメリカで注目されているミレニアル世代。フェイスブックのザッカーバーグ氏や、エドワード・スノーデン氏、レディ・ガガなども含まれるこの世代は、人口が多くてテクノロジーに精通しているため、アメリカで注目されています。

さて、そんなミレニアル世代の住む場所の選び方には、これまでになかった新しい動きがあるそう。米GizmodoのAlissa Walker記者がお届けします。

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ミレニアル世代。アメリカで1980年以降に生まれた、歴史上もっとも人数が多いこの世代について言われていることについて、何を信じるかはなかなか難しいことです。毎週のように、ミレニアル世代のライフスタイルについての衝撃的なレポートが出ています。そんな中でもっとも意見が食い違っているレポートは、ミレニアル世代がどこに住んでいるかという内容のものです。

ここ数年、全米、そして全世界で、ミレニアル世代を含む全世代の人たちが、ものすごい勢いで都市部に引っ越しています。現在では、世界の人口の半分以上が都市部に住んでいます。そこで、こんな疑問が出てきます。「現代の20代から30代は、前世代のX世代やベビーブーマーよりも、都市部に住んでいる人が多いのだろうか? それとも、他の世代と同じように、最終的には郊外へ行くのだろうか?」

興味深いデータがあります。この春に公開された2014年の国勢調査のデータでは、ミレニアル世代は確かに大都市の外へ出始めているとのこと。でも、それは静かな田舎や郊外暮らしを求めてのものではありません。

その代わりに見られるのはまったく新しい動き。世代の大きさと影響力によって、ミレニアル世代はミレニアル世代のための、ミレニアル世代による、まったく新しい場所に移り住んでいるのです。ミレニアル世代は生活の質を追い求めて、活性化させた小さな町や、都市部と郊外の良さをかけあわせた場所を選んでいます。

バカみたいに高い家賃

ミレニアル世代が仕事を始めたくらいの頃、ミレニアル世代は都市部で住んで働くことが多いように見られました。いくつかの調査によると、密集した周辺環境に高い優先順位を与えるミレニアル世代は自転車ブームを巻き起こし、運転免許を取ることさえ必要ないと考えているとされました。そのため企業は、公共交通機関までの近さや自転車通勤用の施設など、彼らのライフスタイルにあわせた特典で、ミレニアル世代を魅了しようとしていました。

しかし、多くのミレニアル世代は、ずっと都市部で我慢するつもりはなく、郊外へ引っ越すのを数年先送りにしているだけだという説もあります。5月に公表されたレポートでは、ファンドマネージャーがミレニアル世代の郊外移住を見込み、自動車会社や戸建て住宅建設会社に投資していることが明らかになりました。「特に年齢が高いミレニアル世代には、(都市部から郊外へ移住する)伝統的なパターンが見受けられます。ただ移住が遅れているだけなのです」とWells Fargoのエコノミスト、Sarah House氏がロイターに語っています。

この動き、ミレニアル世代が伝統的なパターンに従っているというだけではなく、不当なまでに高騰している住宅市場も関係しているでしょう。先月、ブルームバーグは直近の国勢調査のデータから、「ミレニアル世代の住宅購入可能指数」を導き出しました。全米13都市ではその都市に住むミレニアル世代の収入から見積もると、絶対に住宅が購入できないというのです。

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ブルームバーグが国勢調査と住宅情報サイトZillow.com、住宅ローン情報サイトBankrate.comの情報から計算したもの。円の中の数字はその都市のミレニアル世代が平均的な住宅ローンを組むために年間に追加で必要な収入を表しています。

ミレニアル世代と都市部の間に起きていることは、単に大都市での住宅価格の高騰という大きな問題の一部分なのです。仕事を始めたばかりの人が都市部に引っ越すことは、金銭的に不可能です。おそらくミレニアル世代は、現実的に考えて支払えない場所には住まない、という賢い判断を他のどの世代よりもしていそうです。

しかし、ミレニアル世代はどこであろうと良い暮らしをするためのイノベーティブなアイディアを持っている点が他の世代との違いとも言えるかもしれません。そのアイディアはどこでも都市での生活を体験できるようにする、というものです。

都市化する郊外

最近、アーバン・ランド・インスティテュート(ULI)が、全米のミレニアル世代19歳から36歳向けに調査を行ったところ、回答者のほとんどが魅惑の都市生活をしたことがない、というこれまで言われていたことを覆すような結果が得られました。繁華街や繁華街のすぐ近くに住んでいるミレニアル世代はわずか13%、残りは繁華街の近郊や郊外に住んでいると答えたのです。

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ULIのミレニアル世代がどこに住んでいるのかという調査の結果。ダウンタウン(=繁華街)内やすぐ近くに住んでいると答えた人はわずか13%

ミレニアル世代は、歩けることだったり、公共交通機関だったり、都市部の特徴とほとんど合致するような場所に住みたいとしています。しかしこの調査結果によると、もっと大事にしているのは人とのつながりと、そのつながりを楽しむ時間。そのため、大都市で高い家賃を払うために長時間働くことは必要ではないのです。

「Y世代(≒ミレニアル世代)は、そこが郊外や郊外の近くであろうとも、友達や家族と楽しむことができる場所に住みたがっています。ミレニアル世代は、ワーク・ライフ・バランスと柔軟性に高い価値を置いています。生活の質を高めるために、住宅や仕事を頻繁に変えるのです」レポートの著者のひとり、M. Leanne Lachman氏はこのように語っています。

シカゴは働く若者たちの聖地と言われています。シカゴの郊外は全米でも有数の都市中心から拡大したベッドタウンです。しかしそれはシカゴの都市部が働く若者を魅了するような取り組みをしてきた結果。公共スペースを改善したり、歩道を設計しなおしたり、自転車用インフラを作ったり、という取り組みは、郊外にも広がりつつあります。

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今年オープンしたイリノイ州シカゴ郊外・グレンビューのMidtown Squareは、電車の駅も近く、さまざまな用途に使われる建物が集まっています

以前、こういった場所には広い庭があり、車が必要な場所として捉えられていました。しかし現在では、ミレニアル世代のニーズに合致するよう、建築計画が変化してきているようだとシカゴ・マガジンが報じています。

例えば歴史的に賃貸物件が限られていたイリノイ州のウィルメットでは、5月に地域の役員会が、地上階に店舗があり、駅に直結した高級マンション(75戸)の建築を承認しました。平均すると1戸の家賃は約2,250ドル(約28万円)で広さは1000平方フィート(約92平米)ほど。役員会はこのプロジェクトに基本計画から協力し、2014年には都市部での建物の階数制限を3階から5階に引き上げました。

このような種類のコンパクトで住みやすいコミュニティは、密集度合いが低い場所に突如として現れ、「ニュー・アーバニズム」や「歩ける都市部」と呼ばれていました。最近出てきたのは都市と郊外という意味をかけあわせた「アーバン・バーブ(urban burbs)」という言葉。アーバン・バーブはミレニアル世代に向けた新しい種類のハイブリッド住居と言えるでしょう。

ミレニアル世代は都市の中心には住んでいないかもしれません。しかしミレニアル世代は、行きたいときに街に出やすい都市部ライクなエリアを再構築するのに一役買っています。ミレニアル世代は、密集した住宅、公共交通機関への接続、歩きやすさ、おいしい食べ物、すばらしいバーなど都市部の特長がある、都市部ライクな場所に住むことを選んでいるのです。

小さな町を生き返らせる

さて、ここまで書いてきた説が正しいかどうか、ミレニアル世代の人に確認したいところです。ということで私はミレニアル・トレイン・プロジェクトの参加者に話を聞いてみることにしました。

ミレニアル・トレイン・プロジェクトは、全米をアムトラックで旅行しながら、各地域に貢献するスタートアップに会うために途中下車をするーという活動をしているミレニアル世代の起業家で作る非営利の団体です。参加者は旅行のために5,000ドルをクラウドファンディングすることを求められています。参加者の多くは旅行を通してできたつながりを生かして、また新たな地域貢献プロジェクトを始めるようになることが多いのだそうです。

2015年春、25人の若いイノベーターがミレニアル・トレイン・プロジェクトでアムトラック全米の旅に出かけました

これまでとは違うミレニアル世代の暮らし方は、このプロジェクトのメンバーによって特徴づけられています。ニューヨークやサンフランシスコ、ロサンゼルスのような大都市のど真ん中に大きくて高い部屋を借りる代わりに、多くのミレニアル世代は機会を求めて小さな町へ出て行きます。

ウィスコンシン州・ミルウォーキー(Milwaukee)にある「社会のつながり構築エージェンシー」ニューウォーキー(NEWaukee)で、24歳のNicole Behnkeさんは働く若い人向けのイベントを運営する仕事しています。Behnkeさんは車を持っていますが、運転は好きではありません。郊外へ引っ越すのは、今の生活環境から逃げ出したいからというわけではありませんでした。Behnkeさんはミルウォーキーのマンションを契約しました。

Behnkeさんにとって、例えばシカゴやその近郊のアーバン・バーブにではなくミルウォーキーに住むという選択は、金額の問題だけではありませんでした(大きな問題のひとつではあるにせよ)。ミレニアル・トレイン・プロジェクトで「活気のあるオースティンの影」とあなどっていたテキサス州のサンアントニオを訪れている間、Behnkeさんはミルウォーキーへの引越しによる、ものすごいチャンスを見つけたのです。Behnkeさんは小さな町に引っ越すことで、コミュニティの形成に貢献することができると気づきました。

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Behnkeさんの働くニューウォーキーは、ミレニアル世代を集め、市民のプライドを高めるために、ネットワーキングやご近所ツアー、ナイトマーケットなどを主催しています

「みんなで力を合わせて町を活性化したかったり、発信者になりたかったりするミレニアル世代のエネルギーがあります。それはオースティンやブルックリンのような場所でやっていることをそのまま持ってくるのではありません。今ある文化にただ参加したいのか、もしくはサンアントニオやミルウォーキーで文化の発信者になりたいか? 私たちの多くは文化の発信者になりたいと思っています。変化を作り出す人になりたいのです」Behnkeさんはこんな風に話しています。

多くの街を旅して実際に同世代に会うことでBehnkeさんは、ミレニアル世代は住む場所に親世代とは違う貢献をしたいのだと信じるようになりました。それが郊外に変化をもたらすものにせよ、小都市を活性化するものにせよ、7900万人のミレニアル世代が自分たちの地域社会を少しでも良くしようとするのは、国にとってもすばらしいことでしょう。歴史上、どの世代もやってこなかったことをしてくれるかもしれません。

Illustration by Pete Ryan

Alissa Walker - Gizmodo US[原文

(conejo)