ヴァイナル・レコードの始め方

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じゃあ、みんなはリビングでレコードを回し始めたいってことだな。よし、ここ数年間で僕が初心者の人たちに伝えてきたアドバイスをまとめておこう。最初の一歩を踏み出すのはちょっと怖いかもしれないけど、それはあるべき姿じゃない。もちろん、高いお金を出す必要もない。じゃ、さっそく紹介だ。

必要なもの

オーディオマニアやオタクのやつらは「レコードを聴くなら高品質なモノが必要だ」なんて言ってくるだろうけど、基本的に評判のいいメーカーのターンテーブルはカジュアルなリスナーにとって申し分ない音を出してくれるよ。オーディオマニアのクソどもに何を買ったらいいのか語らせようもんなら、君は高いターンテーブルを買わされ、特殊なカートリッジを手に入れ、あらゆるカスタマイズの可能性を許してしまう…という展開が待ってるだけだ。将来、大量のヴァイナル・コレクションを持つようになって、かつ「良い音」を聞く耳が育ってきたら、そのときに自分の機材をアップグレードしてもいいんじゃないかと僕は思う。

まず最初に、レコードプレイヤーとターンテーブルの違いは何だろう。今だと違いはないかな。形式的にいうと、レコードプレイヤーは機械全体のことで、ターンテーブルは回転する皿がのってるパーツを指すんだけど、機能的に見ればこの2つの言葉は同じ意味だね。

レコードを聴き始めるにあたって強調しておきたいのは、ステレオ機材のこと。君はスマホ・チルドレンかもしれないし、家のどこかに小さなBluetoothスピーカーを置いてるかもしれない。さらにそれは、信号処理によってステレオ効果を擬似的に生み出すすごく良いモノかもしれない。そのスピーカーにターンテーブルをつなぐこともできる。それは、やっちゃダメだ。

ステレオ録音した作品を聴くなら、本物のステレオで聴くべきなんだ。適当でいいからステレオのスピーカーを買おう(アホなやつらは「多くのレコードはもともとモノラルでミックスされてたぞ」と指摘してきそうだな。それは知ってるよ)。

新しいシステムをセットアップする方法はいくつかある。とっつきやすいように、2つのカテゴリーに分けて具体的な説明をしようと思う。それは「新しいブツ」と「古いブツ」さ。

新しいブツを使う

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何も持ってない状態で一から始める場合、僕なら評判が安定しているメーカーから安い新品機材を買う。構成は超シンプルにしておくといいよ。安いターンテーブルとパワード・スピーカー・システム(アクティブ・スピーカー・システム)くらいあればOK。パワード・スピーカー・システムは、電源が内蔵されたスピーカーのことだよ。外部に電源やレシーバーを必要とするパッシブ・スピーカーとは逆で、もっと手軽な方法なんだ。プラグを壁に挿せば、それだけでもう動く。新人ちゃんたちには好評な、サルでも分かる一品だ。

何を手にいれるかって? おいおい、頼むからUrban Outfittersでスーツケース入りの小洒落たレコードプレイヤーなんて買わないでくれよ。少なくとも、君に自尊心があるならね。形式的にいえば、これもレコードは再生するし、簡単だ、けど頼むよ。僕はムリだね。

Turntable Labなら、Audio Engine A2+のパワードスピーカーとオーディオ・テクニカのターンテーブルAT-LP60のセットがイケイケ価格の310ドルで買えるぞ。僕もこのターンテーブルを前に使ったことがあるから、もし君が大切に扱えばレコードを台無しにすることはないと保証できる。ベルト駆動のターンテーブルだから、これを使ったDJはできない。となると、曲をカットアップするのに対して、自動再生/停止にこだわりたくなるかもしれないね。

バカっぽくなくてもうちょい小洒落た機材が欲しい場合は、Vynal Factoryに広がっている選択肢も良いと思う。僕はPro-Jectのターンテーブルが持つ美しさに弱いんだけど、さっきのオーディオテクニカのステップ・アップモデルLP120のほうが、君にとっては金を払うだけの価値があるかもしれない。だだ、繰り返すようだけど君はビギナーだ。まずは簡単なところから始めようぜ。

パッケージにバンドルされたスピーカーは、Audio Engineが手堅い会社だ。世界一素晴らしい音響設備ってわけじゃないけど、君にとってはそういう設備になるんじゃないかな。僕はParadigm A2 speakersファンだけど、これをペアで買うとAudio Engineの2倍も値が張るんだよな。

古いブツを使う

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Image via Alan Light/Flickr

もし自分がオーディオで何をしてるか理解してて、かつ(または)地元のヴィンテージ・ストアや激安中古品ストアでちゃんと動くレシーバーやスピーカー、ターンテーブルを掘りたいのであれば、それもひとつの選択肢としてアリだな。リビングルームで電気火事が起きてCSIがその謎を解決する…ってレベルの危険な目にあうかもしれないし、古い機材だと上手く動かなかったり、コンポーネントが2つ一組で揃わないこともよくある。レコード・プレイヤーとレシーバーで音を受け渡すプリアンプを買う必要も出てくるかもしれないね。ここに安いプリアンプが色々あるよ

この方法は超簡単ってわけじゃないけど、やればできる。僕はヴィンテージ・ストアやGoodwillみたいなジャンク屋でさえもスゴい機材をいくつかゲットしたことがある。自分の眺めてるモノがよく分からない場合は(この記事を読んでるってことは多分そうだと思うんだけど)、見た目が比較的新しくて軽い機材を選んでみよう(実際に持ち上げてみてだいたいの重さを測ってみるといいよ)。古くてクソ重い機材は、実際に動かす前にちょっと調整したりいじったりする必要があったりする。まぁ、これは全体的に僕自身の経験に基づくテキトーな考察だったりもするから、受け入れるかどうかは君次第だ。

さらにほかの選択として:もし君が90年代にリアルタイムで音楽を聴いてたなら、古いCDチェンジャーやダブルのテープデッキ、AM-FM機能のついたメガシステムが実家の物置に眠ってるかもしれない。分かると思うけど、こういうやつね。

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こういうシステムには基本的にすべて外部入力(AUX)端子がついてて、ターンテーブルをつなぐには完璧な機材なんだ(Salvation ArmyやGoodwillとかでも超簡単に見つかるよ)。このシステムをゲットしたら、さっき僕が言ったAudio Technicaのターンテーブルをいち早く手に入れよう。

最後に、君がめちゃくちゃラッキーなら、家族の中で歳をとった誰かが80年代の機材を押入れで保管してるかもしれない。ちょっと訊いてみなよ! 伯母さんは興奮しながら、使われなくなった重荷を降ろしてくれるだろう。良いレコードも何枚か一緒にくれるかもしれないね。

そういえば…

いったいどうやってレコードを入手したらいいのか?

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Image via Nic McPhee/Flickr

ヴァイナルのコレクションを作る方法はひとつじゃないんだけど、手軽に見つかるかもしれないヒントがいくつかある。管理しやすくて楽しいという条件を兼ね備えたレコード群を入手するにあたって、僕に役立つヒントだっただけかもしれないけど。

誘惑にのって大量のクソレコードをただ買い漁りに行くのは避けるべきだ。上に書いたようなシステムを構築せずに、地元のインディペンデント・レコード店で300ドルも使うようなマネはね。1回につき1枚のレコードだけ聴くようにしよう。クソみたいなレコードを大人買いしても、どうせ全然聴かないだろ。よく本屋で気分が高揚して重たい本を両腕いっぱい買っちゃうあの経験にも似てる(覚えてるだろ?)。数冊は読むかもしれないけど、残りは永遠に読まれないまま朽ちていくんだ。

僕の好きな1つの方法論は、新しいレコードを給料日に1枚買うというやり方。店に行く。歩きながら商品を眺める。アルバム1枚を手に取る。帰宅する。2週間後にまた来る。

新しいレコードを買いに行くときは、180gの再発行盤に騙されないように。とても重量感のあるプレスでものすごく魅力的ではあるんだけど、絶対に必要ってわけじゃない。すごく良いよ! でも1枚のアルバムに普通の2倍も3倍もお金をかけてる自分がいることに気づいたら、それだけの価値があるのか自分の胸に訊いてみよう。

オンラインでは、新しいリリース情報が楽しめるVinyl Factoryを読むのが好きだね。あとは、頑張って見つけたいモノがちゃんと追える巨大なマーケットプレイスを持つDiscogsかな。中古レコードのオンライン購入は、傷の入ったモノを買ってしまうリスクもあるけど、だから、うーん、これは自己責任でいこうぜ。

中古レコードやバーゲンワゴンを怖がることはない。さっき言ったインディペンデント・レコード店に言って、店の奥の折りたたみ式テーブルの下にある1ドルレコードのカゴを引っ張りだしてみよう。それで、レジャースーツを着た5人組の妙なレコードを何枚か手に取ってみる。チューバを持ったヘンテコ男のレコードで自分の運試しをしてみる。こんな方法でクールなレコードが見つかるようになるよ。

一般的に、中古レコードは何らかの理由で再生できないときには表示されてるんだけど、総合的に考えると盤を取り出して自分の目で確かめてみるのがいいね。大きなキズがあるとダメだけど、べつに完璧である必要はないよ。

なぜレコードを始めるべきなのか

この段階だと、たぶん君はもうこの趣味にハマる意思が固まってる頃だよな。君は一人じゃないぜ! 前に記事でも書いたけど、レコードは所有欲を満たしてくれる唯一のメディアってだけの理由で、最近は売上も爆増してるんだ。きっと君に特別な何かを与えてくれるよ。ホントに全然ロジカルな理由なんてない時代に、あえて所有する理由さ。

音楽はあらゆるレベルで楽しむことができる。データが圧縮されたストリーミング音楽の再生や、身の毛もよだつエンコーダーでリッピングした古代MP3であってもね。耳の良い人たちやオーディオ・トレーニングを受けた人たちにとっては、より高音質なデジタルファイルのほうが、ひどいMP3よりも鳴りが良いだろうね。その延長線上でいうと、多くの人はレコード再生したときにパチパチと聴こえるクラックルノイズやポップノイズを通して、「あたたかみ」のある「豊かな」音が聴こえると主張してる。ま、この話はまた別の場所での議論かな。少なくとも、平均的なリスナーが自分のスマホに入れてる圧縮ファイルよりも、ヴァイナル・レコードのほうがマスター音源を忠実かつ緻密に表現しているというのは本当だ。けど、大部分の人がレコードを圧倒的に良いサウンドだと分かるようになるかどうかは、疑問の余地がある。

ヴァイナルを聴く主な理由は「楽しいからだ」と言うには少し時間がかかるかな。楽しめると思うよ。価値のない蘭に心血を注ぐ人たちがいるのと同じように、細いネクタイつけたバカなやつらのイカしたレコードを聴きたいよな。レコードを回すのにもったいぶって気取ってるって? ちょっとだけな! いや、気にしなくていいぜ。

レコードを聴くこととお気に入り曲のプレイリストをシャッフルして聴くこととで誰もが分かる違いは、レコードの面を聴くという体験。アーティストが意図した順番で4、5、6曲が入ってるんだ。ヒット曲だけじゃなくて、すべての曲が入ってる。多くのアーティストがレコードの面を意識してアルバムづくりをしてるんだってこと、あらためて考えてみたことあるかな? なんでレコードの真ん中あたりでスローなジャム曲が入っているのか? 片面があの曲で終わり、裏返すとまた違った曲で始まるのは、どちらも明確な効果を狙ったものなんだ。レコードの面は、1曲よりも長いけれどアルバム全体よりは短い音楽のかたまりだよ。椅子に深く座って全ての曲を順番に聴いていくのは素晴らしいことさ。iTunesだと今やそういうことはできないからこそ、多かれ少なかれヴァイナルでそれをやるべきだ。曲をスキップして次の曲を聴くことはできない、あるいはそんなに簡単にはいかない。楽しい機材で音楽を再生したりそれを自慢したりするよりも、文字どおりソファーに座ることを僕は提唱してるんだ。音楽聴こうぜ。聴こうぜ。聴こうぜ!

Lead image by Nathan Marciniak/Flickr

Mario Aguilar - Gizmodo US[原文

(Rumi)