東京五輪開催まで今日であと5年。新国立競技場の経緯とこれから

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2020年東京五輪の開幕まで、今日7月24日でちょうど5年になりました。

開催日が迫る一方、メインスタジアムである新国立競技場の計画を見直すことが政府より発表されました。今までの経緯を振り返りながら、これからのことを考えてみようと思います。

2012年2月、旧国立競技場の建替え決定

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2020年夏季五輪の開催誘致へ向け、1964年の東京五輪のときにつくられた旧国立競技場の全面建て替え工事を行なうことが決まりました。IOC(国際五輪委員会)に開催計画をまとめた「立候補ファイル」にこのメインスタジアムの概要を折り込むため、非常に短い2カ月という期間で国際的なアイディアコンペが開かれました。審査員長には建築家の安藤忠雄氏が選ばれ、全46の応募作品の中、選ばれたのがザハ・ハディド氏によるダイナミックな新国立競技場案でした。

2013年10月、試算発表

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コンペ時の予算は、収容人数の近い日産スタジアムの総工費が約600億円であったことや、開閉式の屋根を設置するということで1300億円とされていました。しかし、ザハ・ハディド氏の原案のままでは総工費が3000億円まで膨れ上がってしまうことがわかりました。流線型のアーチ屋根のデザインや、そもそも延床面積が他の競技場に比べ数倍大きいことが理由でした。

そこで、基本設計ではひと回り小さくなった修正案が公開され、その予算額は1600億円とされました。しかし、工費の高騰をきっかけに新国立競技場の景観的問題もあがり、政治家や市民、さらには同じ建築界からも代替案が発表されるなど批判が相次ぎました。

2015年3月、旧国立競技場解体開始

事態の収束がままならない中、遅れていた旧国立競技場の解体が今年3月からはじまりました。その後、工期や費用の観点から見直しが行なわれ、開閉式の屋根の設置を五輪後に行ない、スタンドの一部1万5000席を仮設とすることが発表されました。世間からの批判は続いていましたが、予定通り9月には解体工事が終わり、10月から新国立競技場の建設が始まるものと思われました。

2015年7月、新たな総工費の発表

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新国立競技場の建設開始まで残り約3カ月に迫る中、実施設計が進み新たな総工費が主に増税や資材・人件費の高騰により2520億円になると発表されました。新国立競技場への批判が広がり、アイディアコンペの審査員長であった安藤忠雄氏も会見を行ないました。そして会見の行なわれた翌日7月17日、政府からついに計画を白紙に戻すことが発表されました。責任の所在やこれからの見通しはなく、課題が多く残された状況での判断でした。

新国立競技場のこれから

これから政府は新たに整備計画の策定を始め、今度はアイディアだけでなく設計と施工を含めたコンペを行ない、来年の初めには工事を発注しようとしています。

2012年のアイディアコンペが7月から始まり年末に決定していたことを考えると、これより短い期間でより詳細な内容をつめたコンペを行なうのはとても難しいように思えます。原案のデザインしたザハ・ハディド氏の設計事務所は引き続き計画に携わることを望んでおり、日本の設計チームを含めた彼らが今までやってきた計画を活かしていくことで、よりよいものができる可能性もあります。

新国立競技場の問題ではコストについての批判が相次ぎましたが、私たちはより低コストで建設されてきた既存のスタジアムのようなデザインを本当に霞ヶ丘の緑地に望んでいるのでしょうか? それならば、既存の競技場を使い、新たに国立競技場を建設する必要はそもそもなかったのかもしれません。

この問題はおそらく数千億円というコストに見合った納得のいく計画が私たちに示されていないこと、そして、私たち一人ひとりが新国立競技場および東京五輪に何を望んでいるのかはっきりと認識していないことがもともとの原因にあるのではないでしょうか。新国立競技場の計画が白紙になり、東京五輪の開催まであと5年となった今日、私たちは一度コストの問題から少し離れ、今後どのような五輪の姿を望んでいるのか考える必要があるのかもしれません。

source: 日本スポーツ振興センター日刊スポーツNHKオンライン、毎日新聞 12

(kazoomii)