「2024年の五輪をロスで」盛り上がるアメリカ。日本との違いは?

「2024年の五輪をロスで」盛り上がるアメリカ。日本との違いは? 1

日本もロサンゼルスの取り組みから学べることがあるでしょうか?

まだまだ新国立競技場の問題など課題が多く残っている2020年開催の東京五輪ですが、アメリカではすでにその次の五輪の開催都市について盛り上がりを見せています。米Gizmodoでは過去の成功を振り返りながら、立候補都市のロサンゼルスは今後どのようになっていけばよいのか考察しています。

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五輪は利益を出せる

先日まで2024年夏季五輪候補地として参加表明をしていたボストンが立候補から降りたことにさほど驚きはありません。むしろほとんどの都市が近年、立候補自体を行なわないという背景があります。

しかし、五輪の開催は決して悪いことばかりではなく的確にやれば、利益につながります。そして、新しく有力候補となったロサンゼルス以上にこのことが明白になる都市はありません。五輪の開催は、ロスと五輪の双方にとって有益なものとなるでしょう。

近年、五輪の開催は昔のように利益をもたらすとは考えられていません。この数カ月を見ても、日本ではスタジアム建設が白紙になり、リオデジャネイロは準備不足で、ソチはゴーストタウンになり、ギリシャにいたっては...。しかし1984年にロサンゼルスで開かれた夏季五輪は、過去に開かれた大会の中でもっとも大きな成功をおさめているんです。

ロサンゼルス五輪には責任感があった

ロスは1932年と1984年の2回、五輪を開催しました。どちらの大会も経済効果をもたらし大成功でした。さらに当時の投資のおかげで、ロスは今でもこの大会から経済的恩恵を受けているんです。他の都市は、膨れ上がった五輪の借金を大会後も払い続けていることが多いというのに。企業スポンサーや放映権、そして個人投資の的確な組み合わせで、ロス市民は大会開催にあたって税金を課せられることはありませんでしたし、政府の財源も使われることはありませんでした。

無駄なインフラ建設は行なわない

主要なスポーツイベントには、必要以上に巨大なスタジアムを建設しがちです。ワールドカップのためにブラジルカタールが建てたスタジアムを見ればわかるように。大会から数年後には使われなくなり、荒廃した状態のスタジアムもいくつもあります。

しかしロスは、開会式や閉会式のような大きなイベントは、1932年の大会で建てられ、2度目の1984年大会でも使われたエクスポジション・パーク内にあるロサンゼルス・コロシアムで行なわれるでしょう。ロサンゼルスの提案では特別に建てられる建物は選手宿舎のみであり、それらも今後オフィスや一般住宅として再利用する予定です。これがロサンゼルスにとっての大きな強みであり、五輪招致を行なっている代表のBarry Sanders氏も、

ロスの計画において鍵となる要素は柔軟性です。私たちは新たにスタジアムを建てる必要はありません。あえて建てることを選ぶ可能性はありますが、私たちにその必要はないのです。ロサンゼルスには必要であるどころか、必要以上にスタジアムは存在しています。

と語ってくれました。

公共交通機関の利便性

1984年に開催された五輪では、住民が交通渋滞に巻き込まれることをおそれ、街を離れたり家の中に留まっていた結果、アスリートや観客が空いている道を通ることができたという伝説を残しています。今回もまたロス市民に警告することで渋滞問題を解決することもできるでしょうが、その必要すらないかもしれません。なぜならロサンゼルスは、アメリカのどの都市よりも早く主要な鉄道路線の開発を進めているからです。加速する鉄道開発のほとんどは五輪の時期には完了し、ついにロサンゼルス国際空港とも鉄道で結ばれるでしょう。計画では観客の8割が公共の交通機関を利用すると言われています。

広く大きな都市ゆえの利点

渋滞に関しては、ボストンが大会を開催するうえでの懸念材料のひとつでした。ボストンの提案では、すべての施設どうしが近いため、徒歩と公共の交通機関で移動できるとされています。しかし、そのことは都市の過密さを考えると問題にもなります。何千人もの人々が小さなエリアに集中し、行き交う姿を想像してみてください。

一方でロサンゼルスは約1,000キロ平方メートル以上の広さがあり、開催地は4つの地域に分かれます。開催地の中には50キロメートルほど離れている場所もあります。そのため混雑によって生活が困難になるような場所が生まれることはありません。

ロス市民が五輪開催を望んでいる

ボストンの先導者らは大会の開催を進めていたかもしれませんが、約半数のボストン市民は五輪の開催を望んではいませんでした。すべてのロス市民が五輪開催を望んでいるわけではありませんが、現在ロサンゼルスの全体の雰囲気としては五輪開催に賛成しています。そしてもっとも重要なのが、開催の鍵となる人物らが大会開催について賛成の意を表明しています。市長のEric Garcetti氏もロサンゼルスで五輪を開くことを賛成しており、アメリカ五輪委員会との話し合いも前向きに考えていると述べています。

すでにロスは予行演習に取り組んでいる

つい先日ロサンゼルスでスペシャルオリンピックスが開催されました。開会式は2024年の五輪でも使われる予定のロサンゼルス・コロシアムで行なわれました。スペシャルオリンピックスは世界各地で開催されている大きなスポーツイベントです。165カ国で6,500人のアスリートと2,000人のコーチ、そして3万人のボランティアが参加し、50万人もの観客が訪れる大会です。これは五輪に向けての予行演習ともなりました。

ロケットマンを覚えていますか?

30年も前にこんなテクノロジーが実現していたロサンゼルス。2024年の五輪ではどんなものが見れるのでしょうか?

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ロサンゼルスでは競技場の問題以外にも、交通インフラやどのように利益を生み出していくのかなど、さまざまな議論がなされているようですね。日本でも開催が決まる前まではいろいろな問題や取り組みに目が向けられていたように記憶していますが、現在は新国立競技場の話題が中心となっているように感じます。

しかし、あくまで競技場は五輪という大きな枠組の中での問題です。建設計画が見直しになってしまった今、ロサンゼルスのように五輪全体のあり方を見つめ直し、その中で競技場はどうあるべきなのか考えていくべきなのかもしれません。

米Gizmodoでも述べられているように、1984年のロサンゼルス五輪は、テレビ放映料、スポンサー協賛金、入場料収入、記念グッズの売上を軸に、税金がまったく使われない五輪でした。そして今後の五輪では、都市の大きさを利用し、それぞれの地域の負担を分散させる取り組みを行なっています。

これは当初、税金を使って新国立競技場を建設しようとしたり、開催地域のコンパクトさをうたっていた日本とは反対の取り組みかもしれません。しかしそれも新国立競技場の命名権売却案があがり、会場の変更が行なわれた今では変わりつつあります。五輪開催決定後、計画を進めていくうえでさまざまな問題がわかってきました。そのため計画の変更を必ずしも悪としてとらえるのではなく、他の国を参考にした柔軟な変更もなされるべきなのかもしれません。

しかし、そのためには当初の計画をただ撤回するのではなく、今後の計画ではどのように問題を解決し成功につなげていくのか議論していく必要があります。特に今後の計画を考えていくという点は、特定の団体や専門家だけでなく私たち個人も関わり、既存概念にとらわれない提案をしていく必要があるのかもしれません。

top image by Proposal for the 2024 Summer Olympics by Southern California Committee for the Olympic Games

Alissa Walker - Gizmodo US[原文

(kazoomii)