映画『ジュラシック・ワールド』 コリン・トレボロウ監督インタビュー「僕はまさにスピルバーグ世代」

映画『ジュラシック・ワールド』 コリン・トレボロウ監督インタビュー「僕はまさにスピルバーグ世代」 1

ついに日本上陸した「ジュラシック・ワールド」。もうご覧になりましたか? ギズモード・ジャパンでは先日、プロモーション来日したコリン・トレボロウ監督にインタビューを行い、映画の誕生秘話や舞台裏、シリーズの続編などについてお話をうかがいました。

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スピルバーグ世代のフィルムメーカー

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──初めて「ジュラシック・パーク」を観た時のことは覚えていますか?

1作目が公開された時、僕は16歳だった。子どもの頃は「インディ・ジョーンズ」や「スター・ウォーズ」を観て育ったんだ。いわゆる80sキッドだよ。

──スピルバーグ世代ですね。

まさにスピルバーグ世代だね。「ジュラシック・パーク」は彼のフィルムメイキングにおける第1章の終盤の作品だ。僕が成長するのと同時に、彼のフィルムメイキングも変化していった。僕が大人になった頃、彼は大人向けの映画を制作し始めたんだ。「ジュラシック・パーク」は僕にとっても特別な作品だった。ああいう映画はいくつになって観ても、子どもの頃の気持ちをよみがえらせてくれる。「ジュラシック・ワールド」の1番のゴールも、観終わった時に8歳児のような気分になれる作品にすることだった。

──長編映画2作目にして、スピルバーグから直々に監督のポジションをオファーされたそうですね(※1作目は2012年全米公開の「彼女はパートタイムトラベラー」)。

僕は長編映画を1本制作できただけでも、とても幸せに感じていたんだ。あの作品については非常に誇りに思っていたし、今後も自分の視点や個性を表現できるような、挑戦的でユニークな新しい発想の作品を撮り続けたいと思っていた。当初は次作として「Book of Henry」という作品を予定していたんだよ。実は今から作るんだけどね。まさに今日スタートしたところなんだ。

僕にとって、「ジュラシック・ワールド」はチャレンジだった。もちろん素晴らしい機会だと理解してはいたのだけれど、自分から何かが奪われてしまうような気もしたんだ。自分の手で作品を作る能力を奪われ、この映画を監督する権利のあるフィルムメーカーに成長できないのではないか、と感じた。だから僕は未来までワープして、20年先の自分になりきって演出する必要があった。(完成した今)これでようやく自分自身に戻れるよ(笑)。

──スピルバーグにオファーを受けた時は何と言われたのですか?

「ジュラシック・ワールド」は子どもが監督するべき作品だということを、彼は分かっていたんだろうね(笑)。シリーズに対して特定の敬意を持ち、子どもの目線を通して描く必要性を理解している人が求められていた。今作はアンブリン(※スピルバーグが設立した制作会社)の作品なんだけど、僕は同社の作品が“子どもによって作られた大人のための映画”だと思っている。僕はそのことを理解しており、スティーヴン(・スピルバーグ)もそれに気づいたんだと思う。

それに、僕には伝えたい物語があり、映画を通じて表現したい「利益を渇望するあまりに人間性を失うこと」というテーマがあった。時に人は利益を求めるあまりに道徳を失い、人としてのモラルを失いかねない。だからこそ、クレアというキャラクターを書いたんだ。

恐竜から逃げ惑うだけでない、未来への架け橋のような作品

──オファーを受けた時点で脚本は存在したのですか?

脚本はあったけれど、僕には理解できなかった。全く違う話だったんだ。それでその脚本は使用せず、新しい物語を書くことにした。最初の脚本にはスティーヴンが脚本家に与えたキーとなるアイデアが含まれていたから、僕とデレク(・コノリー/脚本)はそのアイデアをキープしつつ、新しい物語を書いたんだ。

スティーヴンのアイデアの1つは、パークが既に開園しているということ。あとはラプトルの調教師がいるということ。それにジャイロスフィア(※ジュラシック・ワールドの魅力を体験できる、360度視界が開けた2人乗りの球状の乗り物)のような乗り物が登場すること。「ジュラシック・パーク」の新作を期待しているファンに受け入れられる作品でありつつ、僕らが進む未来への架け橋となるような作品にしたかった。みんなが恐竜から逃げ惑うだけではなくね。

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──ラプトルの調教師は主人公のオーウェンですね。それはスピルバーグのアイデアとのことですが、他の登場人物は監督が考えたのですか?

クレアは僕とデレクのアイデアだった。パークのオーナーは元から存在していたのだけれど、今作に登場するマスラニは僕らが考えた。クレアの甥のザックとグレイに関しては、スティーヴンは当初から2人の少年を登場させたいと話していたんだ。最初の脚本では、自分の所有していた恐竜のDNAが盗まれたと疑ってパークを訪れた、中国人の科学者の息子たちという設定だった。

でも僕らは別のストーリーを思いついて、男性の主人公と女性の主人公の間に起こるロマンティックアドベンチャーという設定にしたかった。世界中の誰にでも共感できるからというだけでなく、幅広い世代に親しみがあると思ってね。30年代や40年代のスクリューボールコメディやアドベンチャー映画でも使用されてきた設定だし、おじいちゃんやおばあちゃんの世代でも「昔もこういうキャラクターいたよね」って思えるんじゃないかな(笑)。

──このような映画では、想像力を働かせる必要があると同時に、科学的な妥当性を求められることも多いかと思います。そのバランスが難しいのではないかと想像しますが、科学的検証にはどのくらいの労力を費やしたのですか?

シリーズ全作に携わってきた、古生物学者のジャック・ホーナーに協力してもらったんだ。今回は特にハイブリッドの恐竜にフォーカスした。現時点では不可能なことだから、より科学的に正確な要素を選ぶ必要があったんだ。ジャックは鶏のDNAを恐竜の遺伝物質に配合してさかのぼるリバースエンジニアリングに取り組んでいて、10年後にはかなり恐竜に近いものができるだろうと自信を持っている。興味深いよね。このテクノロジーが行くところまで行ったら、続編はドキュメンタリーになるかもしれない。

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──遺伝子操作で誕生した新種“インドミナス・レックス”をデザインする上でこだわった点は?

当初の脚本では、でっちあげた偽物の恐竜が脱走するという話だった。それは本物の古生物学をベースにするという作品のルールに反していると感じたんだ。僕らは遺伝子操作を想定して新種の恐竜を作ろうと考えた。新しい恐竜の全ての特性が、現存する何かしらの生き物の特性と共通していることにしたかった。そこで、自分たちが求めている特性を書き出して、それぞれの特性を持つ動物を探したんだ。それってカンニングだけど、時にはそうするしかないよね(笑)。楽しいプロセスだったよ。

──恐竜に関する新説は絶えないですよね。ティラノザウルスが本当はフワフワで羽が生えていたという説がネットで話題になったり。

そうなんだよね。ラプトルも部分的に羽が生えていたらしいし。僕らの作品では学者の意見を取り入れ、遺伝子に異なる要素を配合すれば、見た目も大きく変わるということを検証していた。それはマイケル・クライトンの原作にも書かれていることだよ。

でも面白いことに、時に新説が取り消されたりするんだよね。「トライセラトップスには羽が生えていた」という説も一時期あったようだけど、その後、取り消されたんだよ(笑)。結局のところ、誰にも正解は分からないということだよね。僕らは毎日学んでいて、それは本当に興味深いものなんだ。

ILMのスタッフが、装置を着用して動き回るんだ

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──『ジュラシック・パーク』からの22年間にテクノロジーも大きく進歩しましたが、今作で使用した新しい技術は?

今作のために開発された、ものすごくオタクっぽい技術がたくさんあるよ。説明を聞いても、僕でさえ完全には理解できないようなものがね(笑)。あとはシリーズで初めてモーションキャプチャーを使ったんだ。ラプトルは全て人間が演じたんだよ

──演じているところを想像すると、ちょっと面白いですね(笑)

笑えるよね。1日中コンピューターの前に座っているようなILMのスタッフが必要に応じて降りてきて、装置を着用して動き回るんだ(笑)。興味深いことに、人間は他の生物の動きを認識するんだよね。世界屈指のアニメーターたちが仕上げた映像を観ると、それぞれのラプトルが微妙に異なる動きをしていることが分かる。過去の作品とは違うはずだよ。とても感心したよ。飛躍的進歩だと思った。

──舞台となるテーマパーク“ジュラシック・ワールド”のデザインも素晴らしかったです。まるで実在するパークのようでした。

もちろん素晴らしいプロダクションデザイナー集団がついていたけれど、全体的なイメージは僕が考えたんだよ。その時のスケッチが描かれたノートがあるんだけど、まさにあの通りなんだ。自分の頭から出てきたものが、あんなに素晴らしいものになるんだからすごいよね。プロダクションデザイナーのエド・ヴァリューと僕らは、パークをハイエンドでラグジュアリーなリゾートにしようと話し合った。フィジーやアブダビのイメージを参考にする一方で、よくありそうなプロダクトプレイスメントを取り入れたりしてね。スターバックスとか、ああいう場所には必ずありそうな店を入れて(笑)。どこを取っても本物に感じられるようにしたかったんだ。

──完成したセットを初めて見た時の感想は?

並外れていたよ。あのセットは巨大だったんだ。観客は恐竜に夢中で、パークはそこにあるものとして受け入れるだけで、その素晴らしさは見落とされがちなんだけどね。本当に何もなかった場所に作ったんだよ。すごく美しいセットだった。

──撮影後は壊してしまったんですか?

ああ、悲しいよね。ハワイに行くと、ジャイロスフィア乗り場のセットとかは残っているよ。バイクツアーがあって、現場でランチを食べたりできる。インドミナス・レックスの飼育場もある。鉄筋コンクリートで建設したから、しばらくは残っていると思うよ。『ジュラシック・ワールド』ツアーがあって、4つか5つのセットを実際に見ることができるんだ。

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──ファンは既に続編の話をしていますが、監督は参加されるのですか?

参加するよ。かなり密に関わることになると思う。

──どのようなストーリー展開を考えていますか?

今ちょうど考えているところなんだ。デレクと僕は2週間前、ロサンゼルスからバーモントまでのロードトリップに出て、続編のアイデアを話し合った。スティーヴンとも続編についてたくさん話しているよ。今言えるのは、僕らは前へ突き進み、これまでとは全く違う新しい作品を作ろうと決心したということかな。

今作は「ジュラシック・パーク」と「ジュラシック・ワールド」の架け橋だった。次の作品は完全に「ジュラシック・ワールド」になる。新たな領域へと進むんだ。僕自身は、恐竜が地球上で他の動物と同じように人間と共存しているという設定に惹かれている。「あのジャングルには何頭か潜んでいて食べられちゃうから、行っちゃダメだよ」って感じで。

──ファンは前作「ジュラシック・パークIII」から今作まで14年も待っていましたが、また同じくらい待つ可能性はありますか?

ノー、ノー、ノー! 今度はもっと早くできるよ。でも同時に、毎年新作を撮るようなことをして、過飽和状態にならないように気をつけたい。特別なシリーズだと分かっているから、このシリーズの作品にするだけの価値のある映画を作りたいと思っている。

──日本でもたくさんのファンが「ジュラシック・ワールド」の公開を心待ちにしていました。今作を観て、どのようなことを感じ取ってほしいですか?

人間が自分たちを取り巻く科学や自然の素晴らしさに麻痺してしまっているというアイデアに、僕はつながりを感じているんだ。今作の冒頭では、登場人物が「もう誰も恐竜に感動しない」と考えている。想像し難い状況かもしれないけど、たとえば今だって、ビルの55階からこんなに素晴らしい景色を見ているのに、僕らはさほど感動していないだろう? こんなに素晴らしいのに! 当たり前だと思ってしまうよね(笑)。いろんなことを当然だと思ってしまうことは簡単なんだ。

──今日はありがとうございました!

僕は日本が大好きなんだ。食べることが好きだから、神戸と京都に行ったこともある。日本の映画も好きで、特に『タンポポ』とか食べ物に関する作品が好きだよ。東京は今回が初めてだけど、また来たいからいつでも呼んでよ(笑)。

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ジュラシック・ワールド

原題:Jurassic World

監督:コリン・トレボロウ

製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ、トーマス・タル

原案:マイケル・クライトン

出演:クリス・プラット、ブライス・ダラス・ハワード、タイ・シンプキンズ、ニック・ロビンソン

配給:東宝東和 ©2015 Universal Pictures

©Chuck Zlotknick / Universal Pictures and Amblin Entertainment

©ILM / Universal Pictures and Amblin Entertainment

2015年8月5日(水)全国ロードショー

source: ジュラシック・ワールド(東宝東和)

(Thumper Jones)