フィッシュオイルサプリの効き目、実は医学会もよくわかってない

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錠剤ちょうど切れたなーと思ったら、こんな記事が目に…!

フィッシュオイル(魚油)サプリは年間売上12億ドル(約1,430億円)の巨大市場ですけど、たいして効き目がないことが最近の研究でわかってきました。

フィッシュオイルは鼻血から下痢まで副作用もありますが、中に含まれるオメガ3脂肪酸で血液さらさらになって動脈硬化、脳卒中、心臓病、ついでに物忘れのリスクも減ると聞いて一生懸命飲んでる人も多いと思います。

確かにオメガ3脂肪酸(DHA、EPA、ALA、3つ合わせてオメガ3脂肪酸)は心臓血管機能を司るホルモンの分泌に欠かせない成分です。体内でつくることはできないため、多価不飽和脂肪酸を豊富に含む食べ物(魚やくるみ)で摂らなければなりません。魚やナッツが体にいいのは異論の余地もないこと。しかし、サプリは食べ物とは違うため、体も同じには反応しないんだそうでして、アメリカ国立衛生研究所(NIH)からして、「オメガ3サプリの効能は不明」と言ってるんでありますよ。

効用がないことを裏付ける研究は割と沢山あって、今日(米時間25日)も米国医師会の学会誌「ジャーナル・オブ・アメリカン・メディカル・アソシエーション」にNIHの最新研究が発表されたばかりです。テーマは、フィッシュオイルのサプリが認知能力向上に効き目があるのかどうか。これを探るためNIHは5年間に渡って4,000人を3つの班にわけ、3分の1にはオメガ3サプリ、3分の1には葉っぱの野菜の栄養成分のサプリ、残り3分の1にはただの偽薬(プラシーボ)を飲んでもらって認知能力の推移を調査しました。

すると「一般に信じられていることとは裏腹に、オメガ3サプリには認知能力低下を止める効用はなんら認められなかった」(研究を率いるDr. Emily Chew談)のだといいます。「フィッシュオイルで脳の縮小や高齢者の認知能力低下が阻まれた」という研究や、米大手サプリチェーンGNCの宣伝とはまったく正反対の結果。Dr. Chewはさらに食品とサプリの差にも言及しており、「オメガ3を含む食品の方は、目、脳、心臓の健康にメリットがあることがデータで示された」と語っていますよ。

オメガ3脂肪酸は体にいい。ならばそれを含むフィッシュオイルの錠剤が心臓や脳にいいかというと、そうでもない。…ということで、この事実を裏付ける研究は実に多く、クリティカルマス(世論を動かす臨界点)に達した感さえあります。ニューヨーク・タイムズ医療担当Anahad O’Connor記者は春の記事でこんな風にまとめてますよ。

「2005年から2012年の間に、権威ある医学ジャーナルに発表されたフィッシュオイルの徹底研究は2ダース分を下らない。そのほとんどはフィッシュオイルで本当にハイリスク人口(高齢者)の心血管系イベント発生を抑えることができるのかがテーマだった。

結論は2件を除いてすべて、偽薬(プラシーボ)以上の効能は確認されなかった、というものだった」

アメリカ心臓協会ではRobert Eckel元会長自らが、「心臓協会の推薦をそろそろ見直すべきだ」という立場です。「フィッシュオイル・サプリメントの研究を見ると、メリットがないという見解でほぼ全論文とも一致している。実証性がないと言わざるをえない」と、ワシントン・ポストに語ってます。

じゃあなぜ、「アメリカ人の10人に1人はフィッシュオイルを飲んでいる」(ニューヨーク・タイムズ)のか? やっぱりみんな毎日の食事が危ないとか何々が体にいいとかの宣伝を浴びせられて、せめてフィッシュオイルでも飲もうかなと思うんでしょうね。

フィッシュオイル・サプリが体にいいという話の出元を辿ると、1970年代に活躍した2人のデンマーク人科学者に行き着きます。その名はDr. Hans Olaf BangとDr. Jorn Dyerberg。ふたりは「イヌイット族に血栓症が少ないのは魚中心の食生活が原因」という説を唱え、それが世界中に広まりました。まあ、今ではトロント大George Fodor心臓専門医などから「それほど血栓症が少ないわけではなかった」とこの研究の欠陥を指摘する声も出ていますけどね。

ただ、魚が体にいいことは事実らしく、フィッシュオイルのサプリを飲むより魚を食べる方が効果があるという研究報告は、

増えるばかりです。

結局、フィッシュオイルもスネークオイルと紙一重ってことですね。高いし。色もおしっこだし。本物の魚をウロコ剥いで食べるのが正解のようです。

Image by Flickr

Adam Clark Estes - Gizmodo US[原文

(satomi)