Project Fiレビュー:新たな通信サービスは期待を裏切る?

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イノベーティブで実験的なグーグルの新たな携帯電話通信サービスとして長く噂され、アメリカではすでにサービスが開始された「Project Fi」本当に待ってました!という感じですね。ところが、米GizmodoDarren Orf記者が実際に使ってみたところ、事態はあらぬ方向にむかったようです...。

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グーグルはProject Fiを、スマートフォンを持つ人たちにとって欠かせないサービスとして提供するつもりでした。

MVNO、つまり自社のネットワーク基地を使わず通信を行なうサービスとしてT-MobileSprintのネットワークを使い、同時に公共のWi-Fiにも切り替えられるというものです。さらに、場所によって一番適したネットワークに自動で切り替えられるという。なんとも素晴らしいサービス!

料金設定は、音声通話やメッセージを含む基本料金が20ドル(約2,390円)、データ通信は1GBごとに10ドル(約1,120円)で追加が可能というもので、つまりデータ通信が増えるごとに基本料金にプラスされていくというもの。

つまり使った分だけ払えばいいというお財布にもやさしい料金プランです。でもこれって、1カ月に1GB以上使うなってこと? それでまたお金払って、追加分は翌月の請求で…。うーん、1GBで10ドル、実にシンプル。確かにシンプルなのは美しい。でもこれはちょっと考えものですね。

ハネムーン期

さて、実際に使ってみましょう。まず初めにProject Fiにサインアップすると、グーグルから小さな小包が送られてきます。その中にはNexus 6のケース外部バッテリー、そしてProject Fiのnano SIMが入っています。SIMを入れたあと、Project Fiのアプリを立ち上げる。よし、準備完了。本当にこれだけ、5分程度の設定だけでもう使える。これこそがスマホの未来! そんな感じです。

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Project Fiを使い始めて1日目、全く問題なく、サクサク動いてました。T-Mobileにつないでいるときに少し通信が遅いくらいにしか思わず、通信がHSPA+LTEの間を素早く切り替わっていたことや別の問題にも気づいていなかったのです。同僚にも「使い心地はバツグン!素晴らしい」と話していました。

その三週間後には、Project Fiについて話すとき、こう言うしかなかったのです。「これはひどい」と。

忍びよる不穏な気配

その少し前、同僚と楽しく話しているとき、ふと自分の携帯電話に目を落とすと、「圏外」と表示が…。え、どういうこと? そのとき僕はブルックリンの友人宅でコロナを片手にカードゲームをしていて、ほとんど移動もしてないし…一体全体なにが起こっているのかわからない状態でした。

Project Fiのアピールポイントは、「一つのネットワークに集中してしまう状況」や「通信が制限されそうな状況」を回避する、といったものだったはずです。そのとき僕はT-MobileもSprintも同時に停電でもしているんじゃないかと疑い、携帯電話を再起動しました。すると、こんなメッセージが

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(ネットワークを設定しています…設定中はこの携帯電話のサービスは使用できません)

実際、SIMを一度取り出し、また差しこむまでなにも動かせませんでした。最終的にネットワークに再接続されましたが、LTEの半分ほどの速度しかありません。それから数日の間、圏外になり、SIMを抜き、差しこみ、起動させ、数時間だけ使用し…また圏外、と繰り返し。

事態はどんどん悪くなっていきます。4日目にはもう普通に動かすことすらできなくなります。起動時にSIMカードのエラーというメッセージが表示されます。

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(SIMがロックされています。一度電源を落とし、本体から抜き、再度挿入してください。もしエラーが続くのでしたら、カスタマーサービスにご連絡ください)

それからは家で契約しているWi-Fiに接続するしかなく、もう耐えられなくなりました。なんとかかしなくては…

僕はカスタマーサービスに連絡しました。

別れまでの長い長い道のり

カスタマーサービスに関していえば、僕がこれまで扱ったものの中でその連絡先までたどり着くのが一番速かったと思います。Project Fiのアプリの内にどのように連絡をするかという選択肢があり、電話、テキストメッセージ、あるいはメールと選べ、「電話」を選ぶと担当者が改めて電話をしてくれるというものです。

電話の待ち時間はだいたい1分くらいで、テキストなどの場合1時間くらいは待つことになるので、僕は「電話」を選びました。その後担当者から連絡があり、事前に入力していたエラーに関する情報について確認し、担当者はニューヨークでのSprintのサービスが一時的に停止しているということを話していてました。つまり僕はそれが復旧するまではWi-Fiを使うなどして待たなければならないということ...。僕は、わかりました、と不平がましく答えました。え、冗談でしょ?

次の日、まだまだ最悪な状況が続きます。改めて電話をしましたが、まあでも今度の担当者はまだマシでしたね。この問題についてよく聞いてくれて、僕は問題が深刻化していることも話をしました。しかし、不幸なことに私のWi-Fiは不安定で、電話は途中で切れてしまいました。さらに、代わりの電話で折り返すことができなかったのです。なぜなら、僕は仕事用の電話を持っていなかったからです。この、あちらこちらに難解に進むゲームは2日間続き、そして僕はメールでのやりとりに切り替えました!

このメールなのですが…15日間やりとりが続き、21回のメールの往復がありました(結果として何も解決しなかったのですが、そのサマリーを少し…)。

僕:「ええと、私の携帯電話が使用不可能な状況で…直していただけますか?」

担当者:「問題を確認しました。解決に向けて今進行しています」

僕(二日後):「ええと…まだ使えませんが…」

担当者:「問題を確認しました。解決に向けて今進行しています

僕:「どのくらいかかりますか?」

担当者:「大変申し訳ございませんが、現在進行中ですので」

これがずっと続いていくのですよ…

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このやりとりの最中、僕は一度もテクノロジーに関するライターであることやレビューを書こうとしていることを言っていませんでした。もし、それによって特別待遇のようなものをされては困ると思ったからです。僕は消費者のために(グーグルはこのレビューへのアクセスをさせないようにしていますが)、そしてProject Fiがちゃんと修復されればいいと思いました。

まず、グーグルは僕の携帯電話のせいにしました。そして次は、そのシステムのせいにしました。すべてのメールはあたかもすぐに修復できるかのような内容で終わっています。

これらの経験はたった二週間前の出来事です。コロラド州デンバーの友人から届いた大事なメッセージを7時間も遅れて受け取ったり、仕事上のメッセージや速報記事に気づかなかったりと散々な目にあいました。なぜなら携帯電話が使えないから…。外に出かけるときはいつだって、僕は過保護な親に守られた子供のような存在だとわかりました。もし親から離れてしまったら、そこでおしまい、という。

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これだけ期待されてたサービス、問題を解決してほしいと切に願います。あるいは、単に僕の場合が例外なのかなと思いますが、それでも1,000人や1万人の中の(このサービスが使えない)一人を救ってほしいと願います。おそらく、なんの不自由もなくProject Fiを使っている人もいることでしょう。ラッキーですね、羨ましい!

これは僕の経験で、ただの仕事というわけではありません。実際僕は自分のお金でProject Fiを買いましたし、うまくいくようにと努力をしましたが、全く信頼できないです。僕はキャリアをT-Mobileに戻しました。Nexus 6にT-MobileのSIMを差しこんだそのときから、本当にすべてうまくいっています。ああ、そうだ、仕事用の携帯電話もまた持ち始めました。

最後に、Project Fiからまたメールが届いていました。その内容は、「修復は進行中です」とのことでした。

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いやあ、Orfさん相当お怒りのようですね...。日本ではまだサービスは開始していないProject Fiですが、とはいえ日本でも期待が集まっていることは確かでしょう。こうした問題が起こっているのなら、迅速な対応が求められますよね。「修復は進行中」ということではなく...。

Darren Orf - Gizmodo US[原文

(横山浩暉)