iPhoneのデザイナーで「ヤバイやつ」、リチャード・ハワースってどんな人?

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アップルでジョニー・アイブの次にえらいデザイナーです。

今年の5月、ジョニー・アイブが昇進し、アップルの最高デザイン責任者となりました。その同じ日に、聞いたことのない2人がジョニー・アイブの後任として選ばれたのです。1人はUI設計などソフトウェアのデザイン責任者としてアラン・ダイ(Alan Dye)氏。そしてもう1人がiPhoneやApple Watchなどのハードウェアのデザインの責任者となったリチャード・ハワース(Richard Howarth)氏です。

アップルはこれまでハードウェアのデザインに関して並ならぬこだわりを持ち、その完成度の高さで評価されてきましたが、スティーブ・ジョブズ、ジョニー・アイブの次にその責任者となったリチャード・ハワース氏とはどのような人物なのでしょうか? アップルの同僚たちからは「ヤバイやつ(badass)」と呼ばれているようですよ。

キャリアのスタートはソニーから

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昨年RSAの授賞式に登壇した時のリチャード・ハワース

ハワースはアフリカのザンビア生まれロンドン育ち、1993年にロンドンのデザイン大学、Ravensbourne College of Design and Communicationを卒業しました。同校の卒業生には、歌手のデビッド・ボウイやポール・マッカートニーの娘であり、ファッションデザイナーであるステラ・マッカートニーがいます。在学中、ハワースはRSA(Royal Society for the encouragement of Arts)というデザインアワードの学生部門で優勝し、ソニーのウォークマンをデザインする権利を得ました。

「もしRSAを受賞できていなかったら…僕の人生は全く別のものになっていたと思うよ」

そう彼自身が話すように、RSAの受賞をきっかけに彼はデザイナーとしてのキャリアをスタートさせました。そして卒業後は世界的に有名なデザインコンサルティングファームであるIDEO(アイディオ)で数年働きます。そこに声をかけ、アップルに引き入れたのがジョニー・アイブです。同じイギリス出身、また同じRSAアワード受賞者として共通する点も多いアイブとハワース、なんだかおもしろいですね。

ハワースがアップルに入社した90年代半ばは、ちょうどアイブがクリストファー・ストリンガーやダンカン・ロバート・カーなどの優秀なデザイナーをリクルートしまくっていた時期。アップルはiMacやiPod、そしてiPhoneへと続く強いデザインチームを確立していくのです。

20年間にわたりアップル製品のデザインをしてきた「ヤバイやつ(badass)」

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ハワースがデザインした初代iPhoneのプロトタイプ「Sandwich」。iPhone 4、4Sで実現された。 image by Cult of Mac

かくして出来上がったアップルの20人強のデザインチームで、ハワースは20年間にわたりリードデザイナーとしてたくさんのアップルの重要なプロダクトに携わりました。それはiPod、PowerBook G4、MacBook、そしてiPhoneも含まれます。「iPhoneの開発にハワースはリードデザイナーとして最初から関わっていました」とジョニー・アイブはテレグラフ誌に語っています。「彼はプロトタイプから製品版のiPhoneまでのすべてを監修するポジションだったよ」。

iPhoneのデザイン開発段階で、デザイナーたちは2つの主要なプロトタイプを作りました。「Extrudo」というiPod nanoと同じようなアルミニウムのボディのものと、「Sandwich」とよばれる2つのプラスチックの板がメタルのバンドで結合されているものです。ハワースが関わったのはSandwichの方で、洗練されたデザインでしたが廃案となりました。なぜなら技術的な問題で十分な薄さで作ることができなかったからです。ハワースのビジョンは数年後に日の目をみることになります。iPhone 4と4sのデザインとして実現されたのです。

「彼はソフトな話し方をする人だけれど、物事を遂行するときには本当にヤバいやつ(badass)だ。彼は恐れられる存在だったよ」

ジョニー・アイブは仕事中の彼についてそのようにNew Yorkerのインタビューに答えています。また、今年の昇進時にティム・クックCEOはこのように彼のことを述べています。

「ハワースは20年間にわたってアップルのデザインチームにいた。そしてその間、iPhoneやiMacや他のほとんど全てのプロダクトデザインにおける重要な貢献者だった」

彼がアップルで取得した特許の数は実に800を超えているということからも、彼の活躍ぶりを見ることができますね。

人物像はまだまだ謎に包まれている

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アップルの同僚たちと写るリチャード・ハワース(右)。一番左はジョニー・アイブ。 image by Cult of Mac

ハワースに関して公開されている情報はとっても少ないです。フェイスブックは鍵がかかってるし、彼のLinkdInには「アップルのデザイナー」としか書かれていませんし、2012年にサムスンの特許侵害の裁判で証言台に立ったことがあるようなんですが供述内容は公開されていませんし。わかっていることは、ハワースは妻のビクトリア・スラッカーと2人の子供とともにサンフランシスコのドローレス・パークの高い丘の上に住んでいることですね。フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ氏の近所です。

ビクトリア夫人もまた有名なデザイナーの1人です。彼女はBeatsのヘッドフォンデザインをしたとして知られているAmmunitionのプロダクトデザイン部門のVPをしています。昨年アップルがBeatsを買収したことにもなんだか縁を感じますよね。また、Ammunitionのトップであるロバート・ブランナー氏は元アップルの役員で、アップルでデザインスタジオを立ち上げたジョニー・アイブの前任者でもあります。世の中って本当に狭い

謎めいた部分の多い彼ですが、今後のアップルの製品は彼がデザインの責任者として携わっているものになりますので、注目しておく価値のある人物であることは間違いなさそうです。また、リチャード・ハワースがハードウェアデザインのVPとして初めて臨む、今回のiPhoneイベントは要チェックです!

ギズモードは、9月10日午前2時からアップルの新製品発表会の情報をリアルタイムで更新します。iPhone 6sや新型iPad、新型Apple TVなどが発表されるかも。リアルタイム更新はこちらのページ@gizmodojapanで。今夜は一緒に楽しみましょう!

Top image by アップル

source: New YorkerThe Next WebCult of Mac

(前田真希子)