水深100mをスイスイ、水中ドローンを試してきました

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海底調査に、難破船の探索に、ただの現実逃避にも。

ドローンと言えば空を飛ぶもの、とは限りません。海の中を泳ぐドローンだってあるんです。2012年にカメラ搭載の水中ドローンを発表したOpenROVでは今、さらにスマートに高速化したモデルTridentを開発中です。米GizmodoはTridentのテストフライトに招待され、取材してきました。

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The Aquarium of the Bayの水槽トンネル。

OpenROVのEric Stackpoleさんは、元NASAのエンジニアです。彼は、小規模で見やすく、管理された場所でTridentをテストしたいと考え、サンフランシスコの水族館Aquarium of the Bayにコンタクトしました。それはサンフランシスコの埠頭エリアにあり、サンフランシスコ湾の生態系を巨大な水槽の中で再現しています。サメやエイ、イワシ、バスなどなど湾内の野生種が水槽に入っていて、トンネルを通りぬけながら観察することもできます。

OpenROVには注目してきたので、このテストフライトにはワクワクです。ちなみに、ROV(Remotely operated vehicle、遠隔操作無人探査機)に関しては、泳ぐのであっても「フライト」と表現されます。たしかにTridentは高速で、そんな表現がふさわしいです。

水族館のガイドのひとりは動物行動学者のNoel Fongさん、カワウソなど水槽の中の生き物の専門家です。FongさんはTridentが魚を脅かさないようにすべく我々に同行しました。

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サンフランシスコ湾から水族館に引き入れた水をろ過する装置。

我々は展示の中を通り、塩水と魚の匂いのする黒い階段を抜けて、さっき歩いてきたトンネルの上に出ました。

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水槽にはたくさんの蛇口からつねにきれいな水が流れ込みます。足の下ではサメやエイが海草をつつき、イワシの群れが泳いでいます。

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Tridentは先代よりもずっとすっきりした形です。操作は使いやすいゲームコントローラーで行います。

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デザインで主に改善されたのは、ドローンの「ピッチ」操作がより細かくできるようになったことです。「ピッチ」とは前後の角度で、その調整によってROVが一定の深さにとどまったり、より深く潜ったりできます。さらに中心よりやや前方にタテのスラスター(上の画像で、丸く空いている部分)が搭載されました。後方にふたつあるヨコのスラスターと併せて、このデザインだと後方の抵抗が少なくなり、ピッチのコントロールが細かくできます。

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カメラのフレームレートも改善されました。Tridentは水深100メートルまで潜れるので、水上からは見通せない部分まで撮影できます。

テストフライトの準備ができると、StackpoleさんはTridentをケーブルで引き寄せ、水槽に入れました。このケーブルを通じてデータがアプリに送られてきます。

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Fongさんは魚が緊張していないかをウォッチしていました。特に巨大バスがすごくシャイで、ROVが迫ってくると落ち着かなくなるってことで心配だったそうです。でもStackpoleさんがTridentをゆっくり動かしていたので、魚たちはほとんど無視していました。

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ただTridentの動きはすごく速いので、魚にフレンドリーなスピードを保つためには慎重な操作が必要でした。FongさんもStakpoleさんのあとでTridentをテストし、その後我々にコントローラーが渡されました。

コントローラーを使うとき、指す方向はROV視点であって、自分から見た方向ではないことに注意が必要です。つまりROVが自分から見て左に動いていて、その方向に動かし続けたいときは、コントローラーでは「左」じゃなく「前」に動かさなきゃいけません。

我々は無事に海草の中をくぐり抜け、イワシの群れにもぶつからずにTridentを泳がせました。それから深いところに潜って水中をホバリングしたりもできました。水槽の壁に衝突することもなく、ホッとしました。

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Stackpoleさんいわく、Tridentは難破船の探索や海底地図の作成などいろんなことに使えます。ピッチコントロールが改善したTridentは、海底調査には理想的です。低コストで調査ができるので、つねに資金難の海洋生物学者・地質学者にとってありがたいはずです。

さらにStackpoleさんは「リアルな世界で現実逃避ができる」と言います。Tridentを使えば水中の普段は見えない世界が見え、まるでバーチャルリアリティみたいなんです。OpenROVのソフトウェアエンジニア、Charles Crossさんは、Oculusと共同でTrident用のVRインターフェースを開発中です。我々はそのテストもできました。

VRインターフェースではTridentのコックピットに座れて、まだ非常にベータですが、完成すればすごく楽しいはずです。自分の周りを水が流れていき、魚がのぞき込んでくるのを3Dで見られるんです。まるでテーマパークのVRの乗り物みたいですが、ただその映像が実物で、海中をリアルに探索できるんです。

TridentはKickstarterキャンペーンを開いていて、そこで資金提供すればTridentを手に入れることもできます。このキャンペーンでは記事翻訳時点で、すでに5万ドル(約600万円)の目標をはるかに超える63万ドル(約7600万円)が集まっています。Stackpoleさんいわく、Tridentの発売は2016年のクリスマスシーズンには間に合いそうとのことです。価格は1台1200ドル(約14万円)を予定していますが、Kickstarterに早めに参加すれば数百ドル安くなります。

Annalee Newitz-Gizmodo US[原文

(miho)