ヨーロッパの新排ガス規制に、EU自動車メーカーが悲鳴

ヨーロッパの新排ガス規制に、EU自動車メーカーが悲鳴 1

よりによってこのタイミングで…。

EUには、EURO 6という自動車の排気ガスに関する規定が存在します。EURO 1が1993年に導入されて以降、規制は次第に厳しくなっていき、二酸化炭素や窒素酸化物、粒子状物質の削減に大きく貢献してきました。勿論、規制に従わなければいけない自動車メーカーからすればある種迷惑ではあるのですが、環境と健康の事を考えればこれがしっかりと守られている事は重要でもあるのです。

しかしAutoExpressによると、今度の更に厳しくなる規制に、EUの自動車メーカーが「もー、ついて行けません!」と悲鳴をあげているようなのです。フォルクスワーゲンが現在の規制ですら守らなかった事がバレたばかりなのに…。

EUは2017年から更に厳格なディーゼルの排ガス規制を開始し、最終的な目標は、ヨーロッパで発売される新車全てが1km辺り0.080gの窒素酸化物を排出するようにする事だそうです。EURO 5が0.180gであった事から考えると、かなり大幅な規制強化です。EU側はこの数字に関して一切妥協するつもりはないようですが、当然メーカーはそれに見合うように開発を行わねばならないので、いきなり0.080gにするのではなく、2017年から段階的に規定のハードルを近づけるようにしたそうです。

ところが、AutoExpressの持つEU内の情報源によると、欧州自動車工業会(ACEA)はそれでも納得がいかないらしく、最初の3年は新規定の2.75倍、2020年になっても1.7倍を排出する車にも認定を与えるように要求しています。それでは最初の3年は0.220gとなり、EURO 5ですら合格できません。更に、2020年になっても0.136gを排出する事になります。

ちなみに、不正が発覚したVWのジェッタとパサートはそれぞれ窒素酸化物の量が0.610g~1.500g0.340g~0.670gとEURO 5を大幅に超える量を排出していた事が明らかになっています。

更にGuardianによれば、明らかな不正を行ったのがVWだっただけで、他のEUの自動車メーカーも平然と細かい不正を行っているそうです。

手口はいくつもあります。まず、EU政府のテスト施設の中でもスタッフ全員が事情を知っている施設に向かい、車に細かい、しかし全てを合わせる事でテスト結果に大きな違いを生む調整を施します。グリルやドア周りの隙間にテープを貼って空気抵抗を和らげたり、ホイールのアライメントを調節したり、特殊なタイヤをつけて必要以上に空気を入れたり、通常より効率よく走る為に高めのギアを使ったり、エネルギー節約にオルタネーターを外したり、ブレーキパッドを外したり等です。

他にも、恐らく節約の為にバッテリーの再充電を止めたり、非現実的な高温下のとてもスリックなテストトラックでテストしたり、シートヒーターやエアコン、ナビやメディアシステムなどを全て切ってエネルギー節約したり、低気圧でテストしたりもします。

これらの調整により、結果に10%~20%の違いが出るそうです。こうなると、発言に裏がある可能性はあっても、先日、VW問題について「ガソリンとディーゼルの技術に限界が来ているということです」と言っていた、イーロン・マスクが正しいのかも…と思わざるを得ません。

しかも、AutoExpressの情報元によれば、ACEAはVW問題の根底に、米国の陰謀が隠れていると考えているそうです。VWが自分で不正を行ったのが明るみに出ただけなのになんでそうなるのかはよく分かりませんが、そんな事を考えている暇があったらEURO 6の基準に沿った車の開発を進めた方がいいのではないでしょうか? あるいは、それこそマスクの思惑通りに電気自動車に開発を集中した方が、皆の為に良いのかも知れませんね。

source: AutoExpress via AutoBlogGuardian

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