テスラのModel X「生物兵器防衛モード」は役に立つ? 専門家の見解は…

2015.10.02 12:10
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北京の大気がバイオテロレベル、という見解なのはわかりました。

テスラの新車、Model Xの空調システムには、3つのモードがあります。ひとつは車外の空気を取り込むもの、ひとつは車内の空気を回すだけのもの、そしてもうひとつが、「生物兵器防衛モード」です。これはダッシュボードのボタンを押すとオンになり、車内の圧力を車外より高くすることで外の粒子を車内に入れないようにするものです。で、これがあれば本当に生物兵器から身を守れるんでしょうか? 専門家に聞いてみました。

元米空軍大佐で現在はInstitute for Homeland Securityのディレクター、Randall Larsen氏は、長年テスラがほしかったのだと言います。「今新しい家を建てていて、ガレージにはテスラを買ったときのために充電器を用意しています」とまで言っています。でもテスラのModel Xの「生物兵器防衛モード」について彼は一笑に付し、「で、マスク氏は本当にそれを宣伝しているんですか?」と。


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ほんとに宣伝してます。


フィルターの限界


Model Xの生物兵器防衛モードを実現しているのはHEPAフィルターだそうです。HEPAフィルターは0.3マイクロメートルの粒子を99.97%取り除けるので、幅1~1.2マイクロメートルの炭疽菌もキャッチでき、ペストや細菌、花粉やホコリ、菌の胞子にも有効です。HEPAフィルターには0.2マイクロメートルの細かいものもありますが、それよりさらに細かくすると逆に空気をフィルターに通すのが難しくなってしまいます。これに対しLarsen氏は、「炭疽菌やペストのような細菌に関しては、よいフィルタリングシステムがあれば身を守れるでしょう」と言っています。

でもウイルスは細菌より小さいので、空気からフィルターで取り除くのは難しいんです。「0.3マイクロメートルでは、ウイルスは取り除けません。細菌は取り除けても、ウイルスはだめなんです。バイオテロで使われるのが全部細菌だったら、かなり防御できますが...」カリフォルニア大学アーバイン校Pacific Southwest Regional Center for Biodefense and Emerging Diseasesのディレクター代理、Michael J. Buchmeier氏の見解はこう。

たとえば天然痘ウイルスは幅0.2~0.3マイクロメートルで、標準的なHEPAフィルターの効果があるかどうか、ぎりぎりのところです。なので、何らかの事情で天然痘ウイルスいっぱいの空気の中を運転するとしたら、HEPAフィルターを使っても多少は通り抜けてくるということです。またインフルエンザAウイルスは幅0.08~0.12マイクロメートルと、0.2マイクロメートルのHEPAフィルターでも楽々と通過できてしまいます。Buchmeier氏は「これは統計的なゲームです」と言います。「そのようなフィルターは何でもある程度は有効ですが、必ずしも100%除去できるとは限らないのです」

イーロン・マスク氏は、Model Xの空調システムのウイルス除去効果は他の車の800倍、だと豪語しました。それは多分本当なのでしょう。多くのウイルスが、一般的なフィルターは通過し、HEPAフィルターでは除去できる程度のサイズです。ただ、HEPAフィルターでは除去できないウイルスも数多くあり、そこには生物兵器になりうるものも含まれているのです。


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ウイルスは本当に小さい。


フィルターが無敵でも…


テスラは、「生物兵器防衛モード」では車内の気圧が高くなる、とも言っていました。そうすれば車内に外の空気は入ってこないはずですが、気圧を高めるための空気はどこかから持ってくる必要があります。テスラではその詳細を明らかにしませんでしたが、おそらくは同じHEPAフィルターを使ってくるのだと思われます。「その空気の量は少なくなく、それ自体で問題は解決しません。いずれにせよ何らかの方法で空気をフィルターしなくてはならないからです。」とBuchmeier氏。

もうひとつの問題は、生物兵器モードを使うには、生物兵器で攻撃されたことを知らなくてはならないということです。通常生物兵器が使われたことを知るには、被害を受けた人が病院に行くなりする必要があり、それには数日、あるいは数週間かかる可能性があります。放射能の「汚い爆弾」とか化学兵器とは違い、生物兵器は気づかれにくく、気づいた時には手遅れになるのです。「生物兵器の大きな問題は、放出されたときに検知できるかどうかということなのです」とLarsen氏は言います。「爆発音とかそういうのはないのです」

つまり、症状が出てからダッシュボードのボタンを押しても間に合わないのです。「生物兵器をタイムリーに検知できてフィルターが役に立つだろうという考えには、無理があります」


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都市ごとのPM2.5による余命短縮期間。北京は22カ月、ナポリは11カ月など。


なくてもいいし、あってもいい


結局、「生物兵器防衛モード」は多分過剰機能なのです。気圧とかHEPAフィルターがない状態で生物兵器攻撃されたとしても、ただ車の中にいるだけでだいたい大丈夫なんです。

「これは9.11の直後、みんなが現実的に(身を守るために)どうすればいいのか検討していたときに考えたことです。できることのひとつは、ほとんどの車にある、外気の取り入れを止めるボタンを押すことです」とLarsen氏。「ドアや窓がしっかり密封されていて、車内の空気を回すだけにすれば、それだけでかなりの防御になると思います」それはHEPAフィルターと同レベルには及びませんが、生物兵器が放出されたすぐ横にいるとかでない限り、HEPAフィルターがなくても大丈夫なんです。

というのは、車は動いていればかなりの空気を通すので、それによって車の周りのウイルスの濃度を薄めるのに役立つんです。「薄めることで防御になります。高速道路の速度で走ったとき、いかに多くの空気を通しているか、そして車内の人がいかにその空気を吸い込んでいないかを考えてみましょう」とBuchmeier氏。

一方、Model Xのバイオテロ対策空調システムにはもっと普通に役立つ機能もあります。たとえばブタクサとかヒノキの花粉といったアレルゲン、渓谷熱を起こすような菌の胞子、煙やホコリといった刺激物を除去するためには本当に役立ちます。それから牧場とか、車にひかれた動物の死体とか、そういった路上のにおいも遮断できます。

「その種のフィルターを使う理由はたくさんあり、バイオテロはそのひとつに過ぎないのです」とBuchmeier氏は言っています。


Kiona Smith-Strickland - Gizmodo US[原文
(miho)

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