中国の大渋滞を物理で説明

中国の大渋滞を物理で説明 1

ドローンで撮った北京の京港澳高速道路のUターンラッシュが世界の終わりレベルと話題ですね。

10億人の国 × 国慶節の大型連休 × 首都高料金所 = 渋滞。

こうして考えると無理ないよなーって思いますけど、いや~全米最悪の渋滞で知られるLAでもあんなの見たことないです。渋滞は大都市共通の悩みで、米国ドライバーが渋滞で動けなくなる時間は年間平均36時間ですけれど、中国は年間9日間だそうですからねぇ…(昨年の調査より)。

渋滞が起こる原理

原理がわかったところでどうするねんコレ、という気がしないでもないですが、いちおう学会では昔から渋滞を数理モデルで解明する試みはなされてきました。どっかで解決しないと、1993年映画「Falllin Down」のマイケル・ダグラス扮するD-FENSみたいになっちゃいますからね。

アメリカの渋滞はコレ…真っ昼間から道路工事。「どこも壊れてないだろ」と一発ぶち込むD-FENSは誰もが抱える心象風景

分けても大きな影響力で知られるのが、独シュツットガルトのダイムラー・ベンツ研究所の物理学者Boris Kerner氏が1998年に米物理学会誌「Physical Review Letters」に発表した論文です。氏はドイツの高速道路の渋滞から回収した数年分のデータを調べ、その結果、車の流れには「自己組織化」の物理原理が働いていることに気づいたのです。

氏が提唱したモデルでは、車の流れを3つのカテゴリに分けています。ふつうに流れてる車、渋滞で止まってる車(停止状態)、その中間の「シンクロナイズド・フロー」と呼ばれる状態です。この3つ目は、みっしり詰まった「車の分子(car molecules)」がマーチングバンドみたいに足並み揃えて前進している状態ですね。前にも記事で書いたことですが、この状態では以下のようなことが起こります。

これが起こると車間距離があんまりないので、車はみな同じような平均速度で移動するしかなくなり、互いに依存し始める。物理学者の目で見ると、この依存関係は金属内の電子の動き(ここから超電導などの奇妙な現象が生まれる)に似ているのだ。

互いに依存度が高いと、蝶の羽ばたきのようなほんの些細な変化(道路ならひとりのドライバーが突然急ブレーキをかけたり)でも波紋となって広がり、やがて後続車両全員がスローダウンする。車の合流地点、特に料金所や道路工事のレーン閉鎖地点でノロノロ運転と渋滞が多いののはそのためだ。

ちなみに、上の中国の高速道は50車線(…50車線! WTF、チャイナ!?)から20車線に狭まる鬼の区間とのことです。

中国は別格ですけど、この「ファントム渋滞(別名・Jamitons)」は、特にこれと言う原因もない場所でも起こります。交通量には臨界閾値があって、そこに達すると、もうちょっとした動きでも連鎖反応を引き起こして混み始めてしまうんです。で、「ピンチ効果(pinch effect)」という「ストップ&ゴー」状態になって、ひとつの塊をクリアしてもすぐまた次の塊に行く手を阻まれ、しまいには大渋滞で完全停止になる、とのこと。

混む区間は全員自動運転に切り替える、とかしか解決策はなさそうですね。

中国 × 道路工事 = 100km渋滞11日間。工事のトラックも身動きがとれなくなった@2010年8月北京

Jennifer Ouellette - Gizmodo US[原文

(satomi)