ロシアでは受刑者向けのECも導入。IT化が進む世界の刑務所

ロシアでは受刑者向けのECも導入。IT化が進む世界の刑務所 1

知られざる塀の中が、今変わりつつあります。

刑務所は先進国の中で、最も時代に取り残された場所のひとつかもしれません。日本の場合、受刑者とやりとりをする方法は面会、手紙、電報(!)だけです。米国は受刑者向けのタブレットを配布しはじめましたが、これもほんの一部の州でのこと。

ロシアの刑務所もまた、近代化されているとはいえない状態でした。通信手段がアナログなのはもちろん、刑務所内の購買所に長蛇の列ができるのが常で、家族などに手紙で差し入れを頼むにしても、届くまで数週間かかっていたんです。

ですが、最近になって連邦刑務所サービス(FSIN)は、民間企業と提携して受刑者が日用品を買う方法をオンライン化するのを試みています。

7人の従業員で運営しているロシアのベンチャー企業Konstantin Antsiferovは「FSIN-Zakaz」という刑務所用のECサイトを運営しています。今までは外部からの差し入れ用でしたが、今年からは受刑者も注文内容を手紙として刑務官に渡し、それをスキャンしてメール送信してもらうという形で利用できるようにしました。

その結果、2015年1月から8月の注文件数は6万9100件。昨年の同時期と比べて倍近くに増えました。このサービスは一件当たり285ルーブル(約540円)の手数料を取るので、収益は日本円に換算すると8カ月間で約1860万円増えているということになります。ロシアの受刑者数は世界3位なので、普及すれば良いビジネスになりそうですね。

Antsiferovの兄弟会社は2013年に、家族や友人が受刑者にメールを送るための「FSIN-Pismo」というアプリをリリースしています(受刑者はプリントアウトされたメールを読みます)。こちらの手数料は1件当たり55ルーブル(約105円)。2014年の送受信件数は32万件ですから、収益は約3360万円です。

もちろんAntsiferovの寡占事業ではなく競合会社もあるんですが、こういったサービスがロシアで整備される背景には、賄賂の撲滅という課題があるようです。

とはいっても、業務の効率化や受刑者に対する人道的配慮という目的があるのも確か。FSIN-Pismoは米国の他、オランダやリトアニアなどEU諸国にもローンチする準備を進めています。また、ノルウェーやベルギーでは、すでに他社との提携で受刑者用の制限付きメールシステムを提供しています。

ですが、テクノロジーが刑務所に与える影響はプラス面だけではありません。米国ではドローンを使って受刑者に麻薬や銃などの違法な差し入れをしようとする事件が相次いだため、ドローンの対策法を公募しています。一般社会と隔絶されていた刑務所も、色んな意味でテクノロジーと無縁ではいられなくなっているようですね。

Image by spacedrone808 / shutterstock

source: Bloomberg,Radio Free Europe / Radio Liberty,World Prison Brief,法務省

(高橋ミレイ)