新しいApple TVレビュー:もう少し待ってもいいかも?

新しいApple TVレビュー:もう少し待ってもいいかも?  1

新しいApple TVが発売されて1週間強。値段も機能も一新された新Apple TVのギズモード・ジャパン編集長の感想は先日お届けしましたが、米GizmodoのAdam Clark Estes記者による辛口レビューもお届けしましょう。

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セットトップボックスを手に入れてから、テレビを見るという体験のすべてが変わりました。これまで多くのセットトップボックス型のストリームガジェットを試してきましたが、アップルの「コンテンツ囲い込み」型は避けてきました。でも今回の新しいApple TVのアップグレードが素晴らしそうだったので、手に入れてみました。1週間使ってみた感想ですが、まだいい製品であるという確信を持つことができません

もちろん新しいApple TVは美しく、クパチーノから生まれたほかのハードウェア同様、素晴らしいガジェットだと思います。速くて、エレガントなデザイン。App Storeは安心感がある。でも、いいプロダクトであるとは思えません。少なくても、いまのところは

これは何?

150ドル(日本では18,400円)から購入できる、アップルの新しいセットトップボックスです。ちなみに前モデルは70ドル(日本では8,200円)なので、2倍以上の値段になりました。

高価になった分、何が変わったかというと、Siriで音声コントロールができるようになったこと、App Storeが導入されたこと、A8プロセッサーで速くなったこと、サードパーティーのコントローラーに対応、そのほか全体的なスペックアップ…といったところでしょうか。また残念なことに、4Kビデオは非対応です。

これは何がすごいの?

生前、スティーブ・ジョブズがApple TVについて語った言葉。「秘密の鍵をついに見つけた(”I finally cracked it.”)」。当時アップルのテレビ市場への本格参入が噂されていた時期でしたが、あの小さな黒い箱以外のものは出てきませんでした。そして、ティム・クックは、App Storeが搭載された新しいアプローチのApple TVのことを「テレビの未来」だと言いました。でも、アップルが本当に「秘密の鍵」を見つけたのかどうか、疑問が残ります。

デザイン

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新しいApple TVは古いApple TVを食べ過ぎて太った感じ。約2倍の厚さで、光オーディオポートが無くなりましたが基本的なハードウェア構成はほぼ一緒です。

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一方、新しいリモコンは、完全に生まれ変わりました。形は初代のiPod Nanoのようで、細長いアルミニウムとガラス製のデザインはゴージャス。リモコン上部はガラス製のTouchサーフェスになっていて、下部は5つのボタン「メニュー」「ホーム」「Siri」「再生/一時停止」、そしてわかりやすい「音量を上げる/下げる」ボタンで構成されています。

リモコンは、加速度センサーとジャイロスコープが搭載されているので、ゲームコントローラーとしても使えるようになります。

使ってみて

記事中ではこれまで、Apple TVの素敵な部分だけ伝えてきましたが、そろそろ本音の話をしましょう。Amazon Fire TVや、Roku 4といった競合プロダクトをそれなりに使い込んできた身として、まず、新しいApple TVの「コンテンツ囲い込み」に違和感を覚えます。Apple TVをオンにするやいなや、iTunesで購入したコンテンツに遷移し、そしてもっとコンテンツを購入するように促されます。Siriも、iTunesでもっとコンテンツを買うように促すし、ディスプレイミラーリングは、SafariQuickTimeといったアプリに限定されています。

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別にこのスキームに対して驚くほどのものではないけれど。Apple TVは、上手にデザインされていますが「コンテンツ囲い込み」戦略はもともと好きではありませんでした。自分が献身的なアップルのカスタマーだったなら、このインターフェースや仕様をすごく気に入っていたとは思います(でも実のところ個人的にiTunesは嫌いです)。

Siriリモコン

1週間ほど使用してみましたが、新しいSiriリモコンはいいですね。最初は全然好きではありませんでした。タッチパッドの感度がよくなかったので、設定を微調整し、ナビゲーションのインターフェースを改善することができました。一般的に言えば、新しいSiriリモコンは古いリモコンよりも良くなっています。

Apps

ティム・クックが、「テレビジョンの未来」だと語ったことを信じたいところ。新しいApple TVを発表したとき、テレビをキャンバスにして、インタラクティブな新しい類のアプリを開発可能にするtvOSについても発表しました。Netflix、HBO、YouTube、Hulu、PBSなどは、Apple TV用にアプリを即座に構築、その他ゲーム会社も土俵に乗ってきました。アップグレードした Crossy Roadでは、Siriリモコンを使ってレーシングゲームを楽しめます。

tvOSは、テレビと人の関わり方を変える機会を提供するプラットフォームであることは明らかです。Apple TVからAirbnbのアプリで宿泊先を予約したり、Giltのアプリで靴を買うという、奇妙な体験もすでに可能です。でも、テレビで買い物がしたい人ってどれだけいるのでしょうか? 一部の人はこの体験を歓迎すると思うけれど、もっと面白いアプリが今後出てきてくれることを期待します。

そしていまのところ、アップルの「テレビの未来」に対して、若干もやっとした気持ちも残っています。リモコンはいい感じだし、話しかけるという機能は楽しいですが、新しいApple TVを、コンテンツストリーミングの機器として使うなら、ほかの安いセットトップボックスと大差ありません。インターフェースはエレガントだけれど、既存のその他製品より、ずっと優れている、というほどでもないと思います。

Siri

今回のレビューしていく中で、私が1番腹ただしく思っているポイントです。アップルの幹部は、ボイスアシスタントの存在でリビングルームの在り方を変えたかったのかもしれませんが、Apple TVのSiriには全然感動していません。むしろ逆です。

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たとえば、「Siri、もっとSF映画を見せて」と指示するとします。SiriはSF映画のリストをスクリーン下部に表示してくれるでしょう。そして気になるものを選んだら、Netflixやほかのアプリでも提供しているコンテンツへのリンクを表示してくれてもよいはず。でも検索結果はiTunes Storeのみで、つまり、その出てきた映画を購入するか借りるかの選択肢しかありません。検索結果に、NetflixやHuluのコンテンツも出て欲しい。たとえば「It's Always Sunny in Philadelphia」のような広く流通しているようなテレビドラマコンテンツとかね。Rokuのいろんなコンテンツの視聴方法を提供してくれる、非常に便利なアプローチからは大きな隔たりがあります。

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天気やスポーツの結果を聞けるのはいいけれど、実際のところそんなに使わなそうですよね。そしてSiriが、ほかのアプリで機能することが限定されていることにもがっかりしています。Siriでは、音楽を流すように指示できますが、テレビで音楽を聞く人がどれだけいるのでしょうか?

ゲーム

これを評価するのはもう少し待つ必要がありますね。いまのところ、ゲームの種類はかなり限られていますし、App Storeにはゲームに特化したセクションがまだありません。リリースされているゲームをいくつか試してみましたが、いまのところそんなに面白くありません(ちなみに私は経験値高めのゲーマーです)。もし「Monument Valley」や「SimCity」がApple TVで遊べるようになったらきっと感動すると思います。それまでは、マインスイーパーでもやっておきます。

好きなところ

新しいリモコンは素晴らしいと思います。スワイプ操作はだんだん慣れてきました(感度を遅めに設定にするとよさそうです)。また、見た目もかっこよく、手に持った感じもいい。完璧ではないけれど、リモコンはいままで使ってきたセットトップボックスの中ではベストです。全体的なデザインとインターフェースも気に入っています。そしてゴージャスな新しいスクリーンセーバーにも虜になりました。

嫌いなところ

コンテンツの囲い込み思想は最悪。でも、この辺りについてはアップルには期待していません。希望があるとすれば、新しいApple TVは新しいアプリと新しいコンテンツの楽しみ方を提供してくれる可能性があるということ。初代のiOSが出た当時のような感じです。

これは買うべき?

もしすでに、iTunesでたくさんのコンテンツを購入している人なら、Apple TVはほかにはない選択肢です。でも本当の問いとしては、前モデルから1万円近く高くなった新しいApple TVを買う価値が本当にあるかどうか?です。リモコンの改良だけでは、この価格差を正当化するには足りません。Siriは論外。急いでないのなら、tvOSとApp Storeに何が起こるか見て、しばらく待ってみるのが賢明だと思います。新しいApple TVは高すぎるし、その割には面白くありません。アプリのエコシステムが開花する可能性を信じたいですね。現在のところ、このガジェットはテレビジョンの未来を担うには至らず。でも将来的にはその可能性はあるでしょう。

image by Michael Hession.

Adam Clark Estes - Gizmodo US[原文

(mayumine)