パリ同時多発テロで通信暗号化を責めるのはやっぱりおかしい

パリ同時多発テロで通信暗号化を責めるのはやっぱりおかしい 1

パリ同時多発テロをきっかけに、メッセンジャーアプリなどによる通信の暗号化を解くための特別な権限を政府に与えるべき、ということが司法当局で話し合われています。ですが、テロリストたちがどのように攻撃を実行したかが明らかになればなるほど、この議論が間違ったものだということがわかります。

現地のニュースサイトの報道よると、バタクラン劇場で一台の携帯電話が発見され、その中には襲撃時に送信されたと思われる暗号化していないテキストメッセージが含まれてました。銃撃の直後に「開始する」というメッセージが送られていました。パリの検察官François Molins氏によれば、攻撃を行なったテロリストたちのアジトを見つけるために、警察は携帯電話のGPSデータを使用した、ということです。

もちろん、事件のすべてはまだ明らかになっていないので、大量殺人計画を実行するために別の場面で暗号化技術が使われた可能性は否定できません。ですが、私たちの知るかぎり、少なくとも計画に関わる一部の通信では暗号化が使われてなかった証拠がここにあります。

これはとても重要な事実です。なぜならアメリカの諜報局、司法局は今回の恐ろしい出来事をやり玉にあげて、暗号化を解除するための特別なバックドアを設置するように、テック企業に圧力をかけようとしているからです。「暗号化技術はテロリストたちの大親友であり、警察や捜査機関が人々の命を守るための活動を妨害する危険なツールである、だからテック企業は法の介入ができるようプライバシーツールを骨抜きにすべきだ」、というのが彼らの主張です。

この主張は、暗号化がテロリストの成功を後押しするものだということに終始し、暗号化技術が一般の人々の日々のインターネットライフをいかに支えているかという視点が欠けています。暗号化技術なしでは、ネットバンキングやネットショッピングの取引は非常に危険なものとなります。

暗号化はデジタルでのコミュニケーションにおいて誰もが必要とする防衛手段なのです。それはNSAからの情報傍受を回避するためだけではなく、オンライン上のあらゆる不正や盗難を抑止するための技術です。

司法当局が暗号化を解くための方法を用意するということは、すなわち、その利便性を本質的に台無しにすることを意味します。なぜなら、悪意を持った何者かがそのセキュリティホールを悪用することも可能にしてしまうからです。

テロリストが計画実行の合図を出したときですら、暗号化技術を利用していなかったことが明らかになった今、政府が暗号化を解く方法を持つべきという議論は、より中身のないものになりました。司法当局は人々の恐怖を逆手にとったプライバシーツールへの規制を諦めて、情報共有の人的ミスによる歴史的失敗を改めることに注力すべきです。

image by Stacey Newman / Shutterstock.com

source: Mediapart , Washington Post

Kate Knibbs - Gizmodo US[原文

(TOMOYOSHI)