EU、ローミング料金を撤廃しようと奮闘した結果...

EU、ローミング料金を撤廃しようと奮闘した結果... 1

「EU市民は、EU圏を滞在中どの国でも、普段国内で使用するのと同じ金額の通話料やネット通信料のみ請求されます。これまでかかっていたローミング料は追加徴収されません」

一見、かなり良さそうなこの法案。欧州議会で長らく議論されてきたにも関わらず、今回の最終法案を受けて、"法の抜け目"を懸念する声が高まっています。

論点となっているのが、「ネット中立性」。インターネットを無料でオープンな空間として保つうえで最適だとされる原則で、今回の法案ではその例外が認められるというので波紋を呼んでいます。

英ガーディアンでは、今回の法の抜け目について次のように説明されています。

インターネットは"オープン"で平等だと謳いながら、プロバイダーたちが特定のサービスを優先的に提供することが可能になる。一部のプロバイダーがfast lane(高速回線)を提供できるようにするなどのイタリア政府の提案も多くの人が目にしてきた通りだ。

高速回線を許すことについて不平等性を懸念した声が高まる一方、同誌はその他の法の抜け目についても指摘。

速度でなく、データ使用量に制限をかけることも許されることになる。特定のサイトやアプリケーションは対象外にさせるなど、モバイルユーザーのインターネット利用にデータ使用の上限を設けて、一部の者が利益を享受することも可能になるのだ。新たな法案において、これを許可するかどうかは各国の責任者に委ねられている。

これは、フェイスブックCEOマーク・ザッカーバーグ氏が掲げるInternet.org.と一部共通する部分があります。同氏は、すべての人にインターネットをと、ビジョンを掲げる一方でネット中立性とインターネット普及活動の矛盾について悩み中?ネット中立性について理解が追いついていない?などと以前、指摘されていました。

今回の法案においては、そもそも決議前の議論に参加した欧州議会議員数が、定数751人のうちわずか50人のみだったこともあり、本当にネット中立性への理解が十分だったのかと非難の声が上がるのもたしか。

そんな最終法案について、その他の例外事項は次の通り。

インターネットサービスプロバイダーがピーク需要期間を予測すること、"合理的なトラフィックマネジメント手法”を導入すること、そしてトラフィックを意図的にスピードアップもしくはダウンできるサービスのグルーピングなど。

言い換えれば、インターネットトラフィックに新たなカースト制度を設けるようなものだ、と米ギズ記者は表現しています。

今回の新たなルールがEU諸国で採用されるまで、最低でも6ヶ月はかかると見込まれています。そのあいだに異なる指導者が出てきて異論を唱えることだって可能性として有り得るわけですが、それでもやっぱり一度適用されれば、グローバルなネットワークに何かしらの影響が起こるのでしょうか。

地図上では日本から遠い地域、ヨーロッパ。とはいえインターネットに国境あらず...。今後のニュースに注目です。

Image by Getty

source: The Guardian, Ars Technica, BBC

Adam Clark Estes - Gizmodo US[原文

(Rina Fukazu)