今年のベスト建築は、積み木みたいな巨大集合住宅

今年のベスト建築は、積み木みたいな巨大集合住宅 1

平行のタワーじゃなく、あえて複雑な作りに。

多くの人が都市に住んでいる現代において、「村」ってどんなものなんでしょうか? 現代の都市で、緊密なコミュニティなんて存在しうるんでしょうか? 先週行なわれたワールド・アーキテクチャー・フェスティバルでビルディング・オブ・ザ・イヤー受賞したアパートメント建築、「The Interlace」を作った人たちは、それが可能だと考えているようです。

シンガポールにあるThe Interlaceは、ドイツの建築家Ole Scheeren氏の設計による集合住宅建築です。彼は大手建築事務所OMAでパートナーを務め、北京のCCTVビルなどを手がけたことでも知られています。

The Interlaceの考え方はとてもわかりやすいものです。都市に住んで孤独を感じたことのある人なら誰にでも、その意義が伝わるはずです。The Interlaceは高層過密な集合住宅に健全なコミュニティを作り出そうとする試みで、そこには賢いアイデアがあります。

20世紀の多くの都市では、住宅不足を解消すべく、巨大な空間に巨大な建物を並べた集合住宅が雨後のたけのこのように建てられていきました。問題は、こうしたタワー群の中には、公共スペースがぜんぜんなかったことです。たしかにそこには人の住む家があり、廊下やエレベーターがあり、地上には草の生えた面が少々ありましたが、それらはただそこにあるだけで、公共スペースとしての役割を果たしていませんでした。むしろそれらはたいていメンテナンス不足で、そこに積極的にいたいと思えるような場所にはなりえず、ともすれば危険な空間ですらありました。

つまりこの種の集合住宅には、コミュニティが形成される余地がありませんでした。しかも建物はのっぺりとどれも同じように見えて、場所の感覚も失われがちでした。それでも住宅需要が恒常的に高い都市において、高密度な集合住宅は必需品であり続けています。

Scheeren氏の事務所では、このジレンマに対応した考え方を下の図で端的に説明しています。

今年のベスト建築は、積み木みたいな巨大集合住宅 2

彼らはアパートメントのタワーを、積み木に変えたのです。高いタワーは小さなピースに切り分けられ、異なる角度や高さで積み上げられて、31個のブロックが8つの中庭を囲む、独特なパターンを作りだしました。

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ここには、いくつもの異なる空間があります。コミュニティガーデンもあれば、プールや池もあり、読書室や映画館、ドッグランなどもあります。これをScheeren氏の事務所では「タテの孤立をヨコのつながりに変え、コミュニティ意識を現代社会の中心的課題としてとらえ直した」ものだとしています。

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各スペースには名前もついています。これは、空間をそれぞれ個性的で特別なものだと感じさせるためには不可欠です。また各部屋までの道は、ただ外の通りからエレベーター、廊下、部屋へとまっすぐ行くようにはできていません。竹の庭を歩いたり、BBQをしている横を通ったり、運動中の人を見かけたりしながら進むようになっています。考え方としては、知っている人と出会ったり、挨拶したり、人間同士がふれあう瞬間ができるようにと作られているんです。

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「多様な提案や自然環境の雰囲気があることで、社会的対話が推進されつつ、プライバシーと共有の間の段階は自由に選択でき、それが全体的なコミュニティ感覚の形成に貢献している」とScheeren氏の事務所は言っています。彼らはそれを「タテの村」(vertical village)と呼んでいます。

高密度でありながら人間味のある集合住宅を作ろうとするこの試みは、なるべくたくさんの住宅をひとつの土地に詰め込もうとする20世紀的考え方には逆行しているかもしれません。2015年もいろいろな考えのもとにいろいろな良い建物が作られましたが、現代の都市のジレンマをここまで解決したものはないのでしょうか。

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…と、ここまで米GizmodoのKelsey Campbell-Dollaghan記者でした。訳者はこれを読んで、自分の出身地の東京江東区にある1974年築の公営住宅「南砂二丁目住宅」を懐かしく思い出しました。ここも棟がジグザグに配置されていて、中には公園とか小さなスーパーとか個人商店とか公園、習い事のできる部屋とかがあって、よく遊びに行ってました。その団地を作った人たちにも、当時すでにScheeren氏と同じような課題意識があったのかもしれません。

Lead image: World Architecture Festival via Bustler

source: World Architecture FestivalBuro Ole Scheeren

Kelsey Campbell-Dollaghan-Gizmodo US[原文

(miho)