物議を醸す新体外受精、幹細胞から卵子はできるの?

物議を醸す新体外受精、幹細胞から卵子はできるの?  1

非常にデリケートな話です。

マサチューセッツ州はボストンにあるノースイースタン大学の生物学者Jonathan Tilly氏は、成体マウスの体内に卵子を作る幹細胞を発見したと発表しました。もしこれが本当ならば、雌のほ乳類は産まれる前、または産まれてすぐに卵子を作るのをやめるという数十年の研究を、覆すことになります。

ネタ元のScienceでは、Tilly氏と彼が協力する不妊治療を行なうOvaScience社の今回の発見、主張に対して、多くの生殖生物学者が懐疑的であることを取り上げています。Tilly氏は考えられるあらゆる方法で、この幹細胞の存在を証明していますが、一方で懐疑的な学者たちは、Tilly氏の証明は、見た目や遺伝マーカーばかりだというのです。発見された細胞は減数分裂の途中だったのではと主張する人もおり、これらの卵子が実際に受精できるとわかるまではなんとも言えないという意見が大多数なわけです。つまり、Tilly氏が見つけたという卵子の前身(=卵子を作ることができる幹細胞)を認める前に、これが本当に卵子になるのか証拠をみないと納得できないというわけ。まぁ、この意見は理解できます。本当にできるならやってみて、とね。

さて、そんな懐疑的な人々を尻目に、OvaScience社は早くもこの発見をもとに改善した体外受精「AUGMENT」を、カナダ、パナマ、スペイン、トルコ、ドバイで提供し始めています。AUGMENTは、今回発見されたウワサの的の卵細胞からミトコンドリアを切り離し、患者の卵子に精細胞とともに注入するという方法。AUGMENTは、通常の体外受精の料金にプラスして2万5000ドル(約300万)ドルが必要。いまのところ、成功例はすべて、患者が若者だった場合。しかし、OvaScience社は、この方法は古い卵子にエネルギーを与える効果もあると主張しています。一方、一部批評家は、AUGMENTの成功率は通常の体外受精とかわりないと反論。

まぁ、現段階ではあれこれグレーなわけです。この新体外受精は本当に意味のあるものなのでしょうか。もし、今後の研究でこの方法に意味がないとなれば、患者は通常料金の約2倍の額を無意味に支払ってしまうことになります。妊娠したいと望む人、不妊治療を受ける人の中には、藁にもすがりたいと思う人もいるわけで、非常にセンシティブな問題だけに、物議をよぶのも当然でしょう。さすれば、多くの生物学者が懐疑的になるのも納得ですね。そりゃ、論より証拠をだしてくれ、とね。

image by RWJMS IVF Laboratory via Wikimedia

source: Science

Diane Kelly - Gizmodo THROB[原文

(そうこ)