最新鋭のテクノロジーとアートの渦。6年ぶりに帰ってきた「SIGGRAPH ASIA」エキシビション

2015.11.09 12:15
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おかえりシーグラフアジア!!!

「SIGGRAPH(シーグラフ)」は夏に毎年アメリカで開催されているCG技術の学会+展示会。2008年からはアジア地域でも「SIGGRAPH ASIA」が開かれていて、今年はここ神戸が開催地となっていたのです!

1日目はディズニーやピクサーも参加するカンファレンスが中心で、2日目からは展示会「Exhibition」がスタート。目で見て触って最先端のインタラクティブ技術を体験できる「Emerging Technologies」や、新しいテクノロジーとアートの融合を楽しめる「Art Gallery」がにぎわいをみせていました。



国籍も年齢もバラバラな人が集まり最新のテクノロジーに熱狂する様子はまさにお祭り。ギズモードもそんな会場の空気にどっぷり浸かって、ずらりと並ぶ展示を堪能してきましたよ。


***


人間はロボットに、そして他の人間になれるのか


Chameleon Mask」は、遠くにいるユーザーの顔が表示されるタブレットを装着し、人間が遠隔ユーザーの代理人となる仮面型テレプレゼンスシステムです。ギズモードでも何度か紹介しているテレプレゼンスロボットならぬ、テレプレゼンス人間ともいえそうです。


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"Chameleon Mask" by Kana Misawa, Jun Rekimoto, The University of Tokyo


装着するとずしっとした重みはあるものの、しっかりとバンドを巻いているので安定しています。うなずいたり、お辞儀をしてみても問題ありませんでした。


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「Chameleon Mask」を装着した代理人であれば、テレプレゼンスロボットでは再現できない人間らしい動きにも対応できます。ロボットがどんどん人間らしい動きを実現しようとしている時代に、あえて生身の人間がロボットになるという発想にしびれます。

他人に指図されるだけのロボットになるなんて…と思うかもしれません。でも論文著者の三澤加奈さんによると、実験に参加した人には「他人に言われたとおりに動く代理人は(考えなくていいので)ラクだった」と言った人もいたそうです。やっぱり人間は自由の刑に処されているんでしょうか…?

詳しい研究内容/論文はこちらから読むことができます。


サッカーはアートになる


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"A Practical Ball Sports Platform Combining Dynamic Body Action With Real-Time Computer Graphics During Ball Play" by Sachiko Kodama, The University of Electro-Communications , Shuzo Matsuno, Mikasa Corporation et al.


電気通信大学と、スポーツ用ボールを製造する株式会社ミカサが協力した「M-digital ball」はパッと見たところ普通のボール、手に持ってみても普通のボール。なのですが、動かすと音楽や映像が連動して変化していきます。た...たのしい..!


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すばやく動かすと音楽のピッチが上がっていき、ボールの動きを止めると音楽と映像が完全にストップします。



当初はプラスチックのボールで研究を進めていたそうですが、「実際にスポーツでも使ってもらえれば…」ということでボールメーカーのミカサとコラボレーションしたとのこと。スポーツの試合でボールの動きに合わせたBGMが流れたらものすごい高揚感が味わえそうです。

詳しい研究内容/論文はこちらから読むことができます。


AR解体新書


まさにAR解体新書なのが「Living Book of Anatomy」。スクリーンの前に立つと画像のように仮想の骨や内臓などが表示されます。


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動きにあわせて内臓や骨がどんなふうに動いているのかを観察することができます。なんとなく不気味にみえますが、しばらく動いてるとけなげに自分のついて動くガイコツがちょっと可愛くみえてきました。



詳しい研究内容/論文はこちらから読むことができます。


脳をだますテーブル


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"CalibraTable: Tabletop System For Influencing Eating Behavior" by Sho Sakurai, The University of Tokyo et al.


みなさんはどちらの皿に乗っている食べ物の量が多いと思うでしょうか? おそらく多くの人が右だと感じるはず。そんな人間の錯覚を利用しているのが東京大学「CalibraTable」。表示されるバーチャルお皿の大きさを変えてくれるテーブルディスプレイです。


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ほんの少しのことなのに脳がしっかり騙されてしまうから不思議です。

皿のサイズを段階的に小さくしていくことで満足感を得られるようにしたり、たくさんの量を食べられない人が抵抗を感じず食事をできるようにしたり。ゆくゆくは食生活の指導などに役立てていきたいと研究チームの方は話してくれました。

詳しい研究内容/論文はこちらから読むことができます。


結露に情報を込めて



こちらは結露で表示されたディスプレイ「Ketsuro-Graffiti」。入力した場所に電流を流すことで結露を発生させているそう。


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おそらく多くの人が窓の結露に絵を描いた経験があるはず。それをディスプレイで体験できたら面白いのでは...? という思いつきから制作が始まったといいます。新しいのにどこか懐かしさも感じる不思議なディスプレイでした。

詳しい研究内容/論文はこちらから読むことができます。


現実以上に「見える」


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"Scope+ : A Stereoscopic Video See-Through Augmented Reality Microscope" by Yu-Hsuan Huang,National Taiwan University et al.


のぞきこむと対象についてのデータが表示されるAR顕微鏡Scope+」。まっさらの電子回路基板をAR顕微鏡でのぞきこむと、抵抗器やスイッチなどが3Dで表示されます。どこに何を組み込むべきなのかなどを、顕微鏡から目を離していちいち確認する必要はありません。


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こちらは蝶の模型。ARで表示されるボタンに指をかざすと、ズームで表示されたり、幼虫が表示されたり。最後には蝶々が飛んでいってしまうアニメーションで楽しませてくれました。すばらしい遊びごころ!


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将来的には生物の観察だけでなく、医療手術のトレーニングなどに応用していく予定なのだとか。

詳しい研究内容/論文はこちらから読むことができます。


「生きもの」をつくる


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"Apostroph" by Mitsuru Muramatsu, Keio University, Shunji Yamanaka, The University of Tokyo


起き上がる動きを研究するためにデザインされたプロトタイプロボット「Apostroph」。人間らしく起き上がる動作をごくごくシンプルな設計で実現しています。



美しい曲線の動きに見惚れます。なにより顔などもついていないシンプルなロボットなのに、たしかに人間っぽいなと思えてくるのがとっても面白い...。


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嘘みたいな現実


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"Unnecessary Signage" by Don Ritter, City University of Hong Kong


道路標識...?のようにみえたその内容はぶっとんだものばかり。たとえば「ファミレスにアサルトライフルを持ち込むの禁止」や「ハネムーン中に夫を崖から突き落とすの禁止」など。


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しかし、バーコードリーダーで読み込んでみると、スマホに表示されるのは標識に書かれたとおりの内容をふくむニュース記事。嘘みたいな文章が書かれた標識は、すべて実際に起きた事件を示していたんです。

このアート作品のタイトルは「Unnecessary Signage(不必要な標識)」。…ほんとうは必要なんでしょうか?


メメント・モリ


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"Neuro Memento Mori: Meditations On Death" by Jane Prophet, CIty University Of Hong Kong


こちらの作品では3Dプリントした頭蓋骨のモデルに実在する女性のMRIデータを投影しています。ビデオからわかる通り、頭蓋骨モデルに表示される情報はめまぐるしく切り替わっていきます。



ちなみにMRIによるスキャンを行なったときは、タイトルの通り「Neuro Memento Mori(メメント・モリ)」という死を思い起こさせるようなテーマの芸術作品を見ていたのだそう。


空気を見たことありますか?


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"Furnished Fluid" by Akira Wakita, Keio University


こちらは椅子の周りに流れている空気をビジュアライズした作品「Furnished Fluid」。




普段ほとんど気にすることのない空気の流れを表現した作品。つぎつぎ変化していく幻想的なビジュアライゼーションをいつまでも目で追いかけていたくなります。


目線を変えると違う姿が見えてくる


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"Three Dimensional Anamorphoses" by Francesco De Comité, University of Sciences Lille


「Anamorphosis」とは、円筒型の鏡に映したり、違う角度から見たときに正しい形があらわれるようなデザインの手法。


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これを二次元の絵画ではなく3Dの彫刻でやってみせたのが「Three Dimensional Anamorphoses」。鏡をのぞきこむことで、本来の形がみえます。


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***


「Emerging Technologies」と「Art Gallery」に世界中から集結した数々の展示。そこから伝わってくる研究や制作に携わった人たちのテクノロジーやイノベーションへの並々ならぬ好奇心と探求心に圧倒されながらも、これから彼らがどんな未来を描くのか楽しみで仕方なくなりました。


source: シーグラフアジア2015

(Haruka Mukai)

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