警察がテロリストの捨てた携帯からわかること

2015.11.28 18:00
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未来のテロ防止にも役立つかもしれません。

パリで起きた悲惨なテロ事件。容疑者3名が死亡し、8人が逮捕されたパリ郊外サンドニでの強制捜査は、警察がテロの際に容疑者が捨てた携帯電話から隠れ家となったアパートを割り出し、摘発に踏み切ったと言われています。

さて、どんな情報が携帯から復元されたのでしょう? 携帯電話には固有番号であるIMEIと、SIMカードに含まれた使用者の固有番号、IMSIがあります。捜査当局が携帯電話会社に協力を求めれば、このふたつの固有番号から携帯電話の持ち主を特定し、電話の発着信の情報を得ることができます。しかし、通話履歴はほんの始まりに過ぎません。

携帯電話のネットワークは、網の目のように敷き詰められた無線基地局でエリアができています。電源を入れると、携帯はIMEIで基地局に接続して登録。基地局と携帯は接続を維持するためと、携帯が基地局の範囲内にいるか確認するため、双方で頻繁に信号を送り合います。

携帯が基地局からの電波の届く範囲外に出てしまったときには、隣の基地局がその携帯を登録して、信号の送信を繰り返します。基地局どうしは他の地域への通話を贈るための携帯電話交換局を介して接続。異なる携帯電話会社どうしも、国全体をカバーするひとつの仮想ネットワークでつながっています。


ネットワークは知っている


つまり、携帯電話に電源が入っていて、基地局に接続さえしていれば、ある時点でのだいたいの場所がわかってしまうということ。基地局のエリアは郊外だと30kmにも及ぶことがありますが、都市部だと大体1km以下くらい。パリのような人口密集地では、一番小さくて100メートルくらいのところもあるかもしれません。

となると、携帯がどこにあるか、これまでどこにあったか、位置情報の精度がぐんと高くなります。また、携帯のネットワークはどこかでつながっているので、ベルギー、フランスだけでなく、世界のどこでも位置情報はわかるのです。人口過密都市では、その電話自体と使用された場所がどの住所なのか、あるいはどのビルなのか、特定することができるでしょう。

警察の捜査を通した機密情報を合わせれば、携帯ネットワークの履歴だけで、アパートの候補を絞り込むことが可能です。その上携帯がWi-Fiを使っていたとしたら、当局はさらに早くテロリストがどこに隠れているか見つけるでしょう。IPアドレスは通常物理的なアドレスと対応しているからです。


宝の山


携帯電話の中身を復元することで、パリの警察はテロの計画や、今後の攻撃について、機密情報の宝の山を手に入れたことでしょう。SMSや過去12ヶ月間のすべての通話など、出てきた番号に対する通信の記録を当局は要求することができます。メッセージの日時や携帯の位置情報によって、当局は名前、住所、関係者のビルのリスト、関係していた人のつながりにまで、詳しい捜査は及んでいきます。


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名前が特定されるやいなや、フェイスブックTwitterなどのソーシャルメディア、位置情報がわかるFoursquareなどでの捜査が始まります。関係者のつながりを見つけ出すのは活動中のテロリストグループや、そのグループがへのロジ面、金銭面での支援者もあぶり出し、そして捜査でもっとも重要となる、内部告発の可能性がある、しぶしぶテロリストに加担している人にたどり着くわけです。

今回捨てられていた携帯は、パリ警察の現在進めている捜査に使われるだけでなく、今後のテロを防ぐためにも一役買うことになるでしょう。発見された関係者のネットワークは捜査網に引っかかっていることに気づかず、自分の通信データが監視されていることも知らないまま、これまでと同じように行動するだろうからです。もし新しい携帯を買ったとしても、裏切り者が出てくる。だからこそ、今回パリ警察が携帯を見つけたのはとても重要なことなのです。


David Stupples:シティ大学ロンドンの電気電子工学教授、電子戦争研究ディレクター


image by Mikko Vento under Creative Commons license.

David Stupples- Gizmodo US[原文
(conejo)

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