未来のチップは、100年前の高層ビルに良く似てる

未来のチップは、100年前の高層ビルに良く似てる 1

コンピューターの世界を大きく変えるかも知れませんね!

高層ビルは、都市の仕組みを大きく変え、全く新しい社会的なシステムや都会的な構造を形成した、現代の象徴とも言うべき存在です。そして高層ビルが都市に変化を促した理由は、これから将来、コンピューターのメモリの仕組みが変化していく理由と驚く程共通点があるのです。

超高層ビルを頭に浮かべてみてください。それぞれの階には異なった会社や事業が存在しています。たとえば、アパートだったり、オフィスだったり、あるいは店舗かもしれません。では、今度はそれらの異なる存在が郊外に平らに広がっている所を想像してみてください。

高層ビルのほうが、空間を効率的に使用していると思いませんか? ビル内にすべてがあれば、わざわざ家とオフィスを車で行き来する必要がないし、渋滞もありません。ビルとビルの間の行き来も車無しで行なうことができます。歴史家のRosemarie Haag Bletter氏によれば、「超高層ビルは中央都市の大きさや密度に、鉄道や学校よりも劇的な影響を与えた」そうです。つまり、縦方向という新しい次元を導入することで、世界を永久に変えたのです。

同じ原理は現在のコンピューターチップの開発にも適用できます。いまコンピューターを開けると、郊外各地に家やモールが散らばっているように、ボードのいたるところにチップが配置されており、長いワイヤがそれらを繋げ、車や電車のようにデータを運んでいるのです。Stanford Newsの説明によれば、これはコンピュータ内で情報をやりとりする際に効率が悪いそうです。

「郊外スタイルのレイアウトは、電子回路に長い通勤時間や渋滞を作り出し、時間とエネルギーを無駄に消費してしまいます」とStanford NewsのRamin Skibba氏は語ります。しかし彼によれば、複数のチップを重ねて「超高層ビル」を作るのもいままでは解決策とはなりませんでした。その理由は、制作過程で下層のチップが高温により破損してしまうからです。

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Skibba氏は、Stanfordで行なわれているN3XTというプロジェクトについて書いており、プロジェクトは今月のComputer誌特別号にて紹介される予定です。N3XTはSubhasish Mitra氏とH.S. Philip Wong氏によってリードされており、非常に複雑なナノレベルのエンジニアリングを、実にシンプルな方法で行ないます。それは、メモリを高層ビルのように積み上げ、各層を「数百万の電子エレベーターで繋ぐ事で、いままでのワイヤよりもより多くの情報量を短い距離で運ぶことができる」と説明しています。

その結果は、一般的なメモリーの1000倍速い「スーパーデバイス」の誕生です。

昨年の2人の説明によると、これを達成するには多くの要素がかかわってくるのですが、まず手始めに彼らは、ウエハーに1度に詰め込めるトランジスタをカーボンナノチューブ(CNT)で作りました。

彼らはテープのような役目を果たすメタルのフィルムを作りました。この接着プロセスを使うことで、水晶基板上に形成されたCNTをウエハーに転写するのです。このシリコンウエハーが、高層チップの基盤となりました。

これと同時に、Wong氏が発明したRRAM(Resistive Random Access Memory - 抵抗性ランダムアクセスメモリ)を利用することで、N3XTシステムはより多くのデータをより少ない電力で移動させることができるのです。さらに、ワイヤや熱によってデータが停滞することもありません。「超高層ビルに換気装置があるように、N3XT高層チップのデザインは熱冷却レイヤーも備えています」とSkibba氏は解説しています。

コンピューターメモリの世界においてこれは全く新しい考え方です。しかしこのプロジェクトの非常に興味深い点は、そのアイデアがいかに、建築の世界で1世紀以上前に起きたマクロな革命と類似しているかということです。

超高層ビルは、鉄やガラスなど既存の材料を新たな方法で利用することで、上にそびえる建物を支えられる土台に大きく依存していました。同様にN3XTの超高層チップも、カーボンナノチューブなどの素材を新たな方法で利用してチップを重ねることで、下層のチップを破損しないように工夫しています。そして、巨大なご先祖様と同じく、この新たなチップは私たちの世界を動かしているシステムを根底から変えてしまう力があるかも知れないのです。

IEEEでより詳細を知るまでは待つしかありませんが、米ギズモードではこの刺激的なプロジェクトを注意深く追っていくつもりです。より詳しくはStanford Newsでご覧ください!

Kelsey Cambell-Dollaghan - Gizmodo US[原文]

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