モナリザの下に別の女性が隠されている? 新たな仮説に、専門家は…

モナリザの下に別の女性が隠されている? 新たな仮説に、専門家は… 1

ある科学者の仮設に、寄せられた専門家たちのコメント。これは果たして...?

1503年から1517年に描かれたとされるダ・ヴインチの傑作、モナリザ。その表面下に隠された本物が眠っていると主張するのは、フランスの科学者Pascal Cotte氏。アートの専門家たちは、これについて懐疑的であるようです。

モナリザを分析するために用いられたのは、LAM(Layer Amplification Method)とよばれる手法。これは、カメラで絵画に対して激しい光をあてて、その反射を測定するというもの。モナリザの表面の下の層に隠れた部分を確認するのに使われたのだそうです。

Cotte氏は、その手法について「タマネギの皮のように、絵画の全ての層をめくって正確に分析することが可能です」とBBCのドキュメンタリー"The Secrets of the Mona Lisa"で語っています。そして下の画像が、同氏がLAMで復元したというモナリザの“隠された”ポートレイトです。よーく、ご覧になってください。

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Credit: BBC

頭、鼻、手は大きめに、唇は小さめに描かれた女性。モナリザの象徴的な表情である微笑みは顕在、といってよいものか微妙なところ。ただ当のCotte氏は、この女性はダ・ヴィンチ本人が描いたオリジナルなものであることを主張しつつ、「同一の女性ではない」とコメント。「私はこのポートレイトを目の前にして、彼女が今日のモナリザと全く異なることを発見しました。」といいます。...うーむ、まさか別の女性とは。初心者目線ではモナリザにも見えてしまいそうだし、よく見るとモナリザではない女性にも見えるような...みなさんはどう思いますか?

世界的に有名でミステリアスな絵画だからこそ、同氏の発言は、モナリザのアイデンティティにまつわる議論に油を注ぐかのよう。ちなみに現行の理論のひとつは、彼女がリザ・ゲラルディーニ(Lisa Gherardini)というフィレンツェのシルク商人の妻であるというもの。

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Pascal Cotte氏 (Credit: BBC/Brinkworth Films)

Cotte氏の理論を支持する専門家は、そう多くないようです。事実、今回の仮説についてルーヴル美術館はコメントを控えているのだとか。BBCでアート・エディターを務めるGompertz氏は、次のように述べています。

私は懐疑的です。アーティストが一つの作品に対してオーバーペイントしたり変更を加えたりするのは極めて一般的なことなので、たとえモナリザにそうした下塗りがあったとしても、特別驚くことではないのです。

テクノロジーが生み出すデータは、個人の解釈だけでなく、学術的・専門的な分析や裏付けが必要です。Cotte氏の説についてコメントを出さないというルーブルの決断は、効果的だといえるでしょう。世界的に有名な絵画は、芸能ネタのように面白く話を掻き立てられやすいものです。今回の場合は、慎重さが求められると思いますが。

オックスフォード大学で芸術史の名誉教授を務めるMartin Kemp氏は、Gompertz氏に同意。BBCのドキュメンタリーで次のように語っています。

(Cotte氏による)復元は、ダ・ヴィンチが当時考えていたであろうことを見事に表現しています。しかし、モナリザの表面下に“隠された”絵画があるという考えについては支持しきれません。...多かれ少なかれ、完成までには継続的な発展プロセスがあるのはわかりますが、異なる人物のポートレイトが段階的に描かれたとは思えません。わたしはモナリザが最初から1人の女性であるということは絶対的に確信しています。

Cotte氏の復元手法については評価されているものの、その見解については、まだまだ真偽が問われているようです。500年前に描かれた謎多き絵画・モナリザに対して、現代のテクノロジーを駆使した新たな発見や、専門家たちによる議論は、これからも止むことがなさそうですね。

source: BBC

George Dvorsky - Gizmodo US[原文

(Rina Fukazu)