東京五輪エンブレムの公募でデザイナーがタダ働きさせられている?

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新たな問題が浮かび上がってきました。

一度は佐野研二郎氏のデザインに決まったものの、盗作が指摘され使用中止になってしまった2020年東京五輪のエンブレム。その後、新たなデザインは一般公募によって決めることになり、12月7日の締切までに1万4599件もの応募がありました。今後は公開されている審査方法にしたがって順調にことが進むかと思いきや、米グラフィックデザイン団体AIGAが新たな問題を指摘しています。

今回AIGAが公開書簡で指摘した内容は以下の4点。組織委員会の森喜朗会長宛に書かれています。

1. デザインが採用される可能性を引き合いにし、応募しているすべてのデザイナーに無報酬で仕事をさせている

2. 組織委員会は一般からデザインを募集することで、一般人とプロのデザイナーを同列に扱い、プロのデザインを軽視している。

3. 選ばれたデザインに対して十分な対価が支払われない

4. 知的財産権がそれを制作したデザイナーにない。

エンブレム選考特設ページにある応募要項を確認すると、選ばれたデザインの制作者に対して支払われる賞金は100万円。また注意事項として、「当該作品に関する著作権、商標権、意匠権、その他の知的財産権、所有権等一切の権利を組織委員会に無償で譲渡」と記載されています。

AIGAが指摘しているように、今後選ばれたエンブレムデザインがさまざまな場面で使われていくことを考えると100万円という金額は安すぎるように感じます。では、はじめに指摘されている「応募しているすべてのデザイナーに無報酬で仕事をさせている」という点はどうでしょうか? デザイン業界ではこの無報酬で仕事をさせる行為はスペックワーク(Speculative Work)と呼ばれ、問題となっています。

より良いものを選ぶため、多くの人からデザイン案を募り、その中から一番を選び報酬を与えるという方法は、コンペ主催者視点で考えると、一見悪くないようにも思えます。主催者に至っては、選ばれた1人に対してのデザイン料を支払うだけで、たくさんの作品の中から一番いいものを選べるわけですしね。しかし、デザイナー視点で考えるとどうでしょうか? デザイナーにとっては報酬が未確定な仕事をするということになってしまいます。選ばれなかった場合、デザインを制作するうえでかかった労力と時間に対して支払われる金額はゼロ。主催者はたくさんの作品から一番良いものを選ぶことができるという利点を得ているにも関わらず、です。これは問題でしょう。

今回は東京五輪のエンブレム公募を通して、スペックワーク問題が指摘されましたが、これに限った話ではありません。今後デザイナーという職業を成り立たせていくために考えていかなければいけない問題です。東京2020組織委員会はこの問題に関してどのように考えているのでしょうか? 回答が待たれます。

source: AIGAエンブレム選考特設ページ #東京2020エンブレム

(kazoomii)