【インタビュー】ネット世代のアーティストtofubeatsさん。「『俺.com』を持ったら、クリエイティブになると思う」

2015.12.21 20:00
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2015年9月にリリースされたアルバム「POSITIVE」が、アップルが選ぶ「Apple Music BEST OF 2015」のトップアーティストにセレクトされたプロデューサーでDJのtofubeatsさん。

メジャーレーベルからの1stアルバム「First Album」から約1年ぶりのリリースとなった「POSITIVE」は、E-girlsのDream Amiさんや、KREVAさん、小室哲哉さんとのコラボレーションが話題になってiTunesのJ-POPチャートでは見事1位を獲得。また今年は「Apple Music」日本版テレビCMにも出演、アルバム収録曲の「STAKEHOLDER」を演奏する映像が流れたことで音楽シーンを驚かせます。

さらに、2016年1月にはリミックス・アルバム「POSITIVE REMIXES」がリリースされ、中田ヤスタカさん(CAPSULE)やkzさん(livetune)、banvoxさんと共に新プロジェクト「YYY」を始めるなど、ネット世代を代表するクリエイターとして、今の日本の音楽シーンを席巻しているキーパーソンです。


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ギズモードは、世界のアップルも認めたクリエイターが何を考えてどのように現代と向き合っているのかを知るため、tofubeatsさんへインタビューを行いました。新作の話題からネットの話、さらにはサブスクリプションの音楽サービス、DJ活動の話までお話を伺っています。tofubeatsさんのリアルな言葉が紡ぐ音楽シーンの現代図をお楽しみ下さい。

* * *


ギズモード(以下Giz):いきなりのご質問なんですが、tofubeatsさんってスター・ウォーズお好きですか?

tofubeats:嫌いじゃないですね。

Giz:というのも、僕たちスター・ウォーズとtofubeatsさんって共通点があると思ってて。

tofubeats:え!? ダークサイトに堕ちるってことですか!?

Giz:ダークサイドに堕ちるってことではないんですが(笑)。スターウォーズの新作から思ったんですけれど。旧作(エピソード6)からのつながりがある新作でまた3部作やります的に時代を横断しているんですよね。70年代にオリジナル3部作やって90年代に3部作につながっています。テクノロジーもデジタルの力でCGが入ったり、モーションキャプチャーが入って変わってきてるんですけど、ストーリー自体の本質的な部分とSF映画の文脈は変わらずに、作品として完成されているところなんです。

tofubeats:たしかに。

Giz:どんどん進行しているスター・ウォーズをちょっと考えたときに、tofubeatsさんが音楽でやっていらっしゃるように、アーティストさんをサンプルしたりフィーチャリングして現在進行形のダンスミュージックにするアップデートの方法が似ているなあと。そういう本質的な部分は変わらないんですけど、どんどんアレンジして現代版に組み替えていくところがスターウォーズに似ていると思ったんです。

tofubeats:恐れ多いですね。つまり僕はルーカスってことですか!

Giz:そういうことですね(笑)。ジョージ・ルーカス&tofubeats。

tofubeats:恐れ多いですけどねー。僕は最近よく言ってるんですけど、自分のカウンセリングのために音楽をやってる、みたいなところがあるっぽくて。作品を作ってそれを後からパッケージで聴いて、自分が何を考えていたかがやっと分かる、みたいな感じ。だから、こういうインタビューをやって、質問されて自分で喋って、"あっ!今、俺ってこう思ってたんだ”って思うことや、自分のカウンセリングのために曲を作ってるところが結構あるので、ちょっとスター・ウォーズって大きな枠組みのルーカスの中と比べられると、嬉しい話な反面、意外という感じがしますね。

Giz:意識的にこういう風にアルバムを作ろうとかって、そういうクリエイティブは考えていますか?

tofubeats:どちらかというと、例えばアルバムって半年で一枚作るじゃないですか。半年ごとに大きくマインドセットって変わらないと思うんですね。だからその半年ぐらいのマインドで曲を作って、それを後からタグをつけてCDにしておいておくと、そしたら後から聴いた時にその半年のマインドがやっと分かる。だから、目標を立ててスタートするというよりは、その時の自分目標が何だったかを知るために集中してやるっていう音楽作りをやってますね。

昔書いた文章って読み返すと、あぁこういうこと考えてたのかって思うじゃないですが? そういうことを音楽でやってます。特に音楽って言えないことをできるから、言語化できない部分からもっと高次元に自分のことが分かると思います。言語化できないことを分かろうとしている自分のことは分かった、そういう感じですかね。

Dream Amiさんとのコラボはこれまでとは違うアプローチだし、出来たのが良かった


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Giz:過去を振り返って今の自分の見つける意味で、90年代のCDを今でも買っています?

tofubeats:もちろん。過去のモノから学ぶではなく、知った上でやるかやらないかみたいなほうが近いですね。例えば、RHYMESTERの宇多丸さんが好きなんですけど、ラップをするのって韻を踏まなきゃいけない決まりの中で、いろいろラップすると、思いもよらないことを言ったり、「こんなこと思ってたんだ」みたいな自分が縛りの中で見えてくる。それって自分の中の、思いもよらない自分じゃないですか。そういうのを引き出すためにいろんな手を使っていくって感じですかね。

だから昔のCDを聴くし、いろんなゲスト呼ぶのもそういう思いから下駄を履かせてもらってます。例えば自分が玉城ティナさんの曲を作ったらどうなっちゃうんだろうって興味がある感じですかね。

玉城ティナさんみたいなアーティストって日本に一人しかいないわけじゃないですか。その玉城ティナが歌う曲を作るってことは玉城ティナを演じることなので、僕が玉城ティナの気持ちになったら、どうなっちゃうんだろうとか、どんなことを言っちゃうんだろう、そういうことに興味があるって感じですかね。



Giz:今回のアルバムの作品の中で、違った印象、コラボレーションってどなたかいますか?

tofubeats:やっぱりリード曲の2曲は違いますね、「POSITIVE feat. Dream Ami」と「すてきなメゾン feat. 玉城ティナ」は違います。これまでの自分じゃ結構ありえないタイプの曲。これまでは自分の中にある女の子っぽい部分を増幅させて女の子の曲を書いて、自分の中の男らしい部分を増幅してラップを作ったやり方だったんですけど。タイトル曲の「POSITIVE」に関しては、完全にもう別人くらいに分かれました。だから、プロデューサーとしてだいぶ立ち位置が作れるようになったというか。これまでは「もし俺がきゃりーぱみゅぱみゅだったら...」みたいな考えにどうしてもなってたのが、もうちょっとだけ切り離しが上手くなったというか。
 
だからDream Amiさんがどういうこと言ってくれたら嬉しいかとか、そういうのが俯瞰で見れる度合いがちょっと増えたかなっていうのがPOSITIVEの音や歌詞を聴いても思うし。

Giz:少し引いてみる?

tofubeats:そうですね。そもそもDream Amiさんとやるっていうコラボ自体がこれまでとは違うアプローチだし、そういうのが自分の中で出来たのが良かったなって思います。



Giz:今回ワーナーミュージックさんからリリースされた2作目「POSITIVE」を経て、メジャーに行かれてからファンとの距離感って変わったと感じますか?

tofubeats:距離感自体はインターネット経由の時点で変わりはないんですけど、ネットだけをやってる人以外にも知ってるもらえるようになりましたね。それまでワーナーさんに入るまでなかったことで、ロックフェスに出たり。ロックを聴く人が一緒に聴いてくれたり、開拓できなかったところで聴いてもらえるってのはすごい感じてます。

Giz:tofubeatsさん的にクリエイターとしてのご自分は客観的に見てお好きでしょうか。それとも何か違和感を感じて、これ自分じゃないなって思ったりします?

tofubeats:最近よく言うんですけど、ちょっと図太いなと思って(笑)。僕が多分リスナーだとしたらそう思うなって思いますねー。自分がやってる側なんで頑張ってるから、まぁしゃーないって思うんですけど
 

POSITIVE CD+DVD Unboxing. http://www.tofubeats.com/positive/

@tofubeatsが投稿した動画 -


tofubeats:さっきもクリエイターのTeddyLoid (テディロイド)君と喋ってましたけど、彼の場合ちゃんとピアノやってたりとか、そういう人たちに対してはコンプレックスはずっとありますね。

前に小室哲哉さんとも話してた時も、ああいう風にミュージシャンとしてしっかりキャリアを積んできた人に対して、コンプレックスとか劣等感はずっとあるんで、そういうのをコラボとか発言とかで乗り換えていこうという姿勢は図太いな俺...とは思う時がありますね(笑)。

ドメインを持つと、勝手にクリエイティブになると思う


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Giz:このまま自分が図太さをどんどんどん追及していったら、過去のtofubeatsを振り返る時代はいつか終わりが来ると思ったりもします?

tofubeats:それは多分ないと思います。昔の自分をいっぱい並べてそれを更新していくのが好き。例えば、陶芸をいっぱいして作った皿を並べて、「これ全部俺が作ったぞ」っていう嬉しい感覚があるので。

だから、自分のウェブサイトは、今でも自分で更新してるんです。「WORKS」を自分で更新してる時がめっちゃ嬉しい(笑)。曲ができた瞬間の次に嬉しいですね。

Giz:以前、小室哲哉さんとお話しされていたのですが、自分でサイトを更新されてるって、面白いなって思ったんです。自分で管理することで安心できるからですか? それとも人任せにはできないというところがあります?

tofubeats:どっちもですね。人任せにできないってことは、つまり安心するってことなんで。「俺の.com」みたいな(笑)Twitterとかも一緒。だから、友達にウェブのデザインを任せることはあっても、レコード会社にパスワードとかを任せるとかあまりしたくない。あと仕事のメールアドレスも自分のサーバーにあるわけで、それを明け渡したくないっていうのは、ありますね。

Giz:アカウント、SNS、ウェブサイト、ご自分が自分のドメインのITマネージャをやられているってことですよね。

tofubeats:まぁそうですね。実際そうだと思います。

勿論、任せて良いこともあるなってのは分かっていて。でもウェブサイトだけは最後の聖域として持ってる。

やっぱり、高校生の時に.comが取りたくて、tofubeatsって名前にして.comを取ったことが自分の中ですっごい大きいんですよね。自分の少ない持ち金で頑張って買った.comだから、自分で持っておきたいっていう子供みたいなこと言いますけど(笑)。

Giz:自分のおこずかいでネームサーバーを買って。

tofubeats:.comを取って、俺はずっと持ってるぞみたいな(笑)。だからPVとか見て、最後に.comって絶対最後に出すんですけど、あれは出てくるのをいっぱい見ててそれってかっこいいなって思ったんですよ。インターネットって世界の中で自分の名前の住所があるってことなんで。家があるみたいなことだと思うんですよね。だから、世界に自分の住所があるっていいことだなと思って。

いや本当に、今の高校生は月千円とかでドメイン持ったほうが絶対良いと思いますよ(笑)。

Giz:いいアドバイスですね(笑)。

tofubeats:でも、ドメインを持ったら逆に何を発表するかってことを考えるから、すごい勝手にクリエイティブになると思うんですよね。

未だにガタガタのHTMLで配列してますし。でも、自分はいくらみんなにコーディングがおかしいよって言われても俺はそれが良いって(笑)。めっちゃ言われますよ。Tofuのコーディングほんとおかしいねとか。めっちゃ言われるんですけど、僕は「いや、そういうことじゃないんだよ。これが温もりなんですよ」って言ってる(笑)。

だから、僕が愛を込めてイラストレーターとかで画像を配置したりサイトを作ることによって、ユーザーにそういう想いが伝わっていると良いなって思うんですよね。


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Giz:tofubeatsさんの周りにも、同じ考えでドメイン取れられたり、Webサーバーを管理されてたり、同じようなマインドセットでやられてる方って多いですか?

tofubeats:やっぱり「Maltine Records」(マルチネレコード)の影響は大きいですよ。ドメインを高校生で持ってることのカッコよさに異常に憧れてて。だから、マルチネは、今みたいに売れる前からマルチネレコード.bizで取ってて、高校生ながらそれがあるのがなんか良いなと思ったんですよ。

Giz:やっぱりそこからの影響が強い?

tofubeats:そうすね、レンタルサーバーじゃないことのデカさみたいな(笑)。まぁ、自前のサーバーっていうのの凄さ(笑)。なんなんですかね。

どっちもどっちなんですけど、まかせてユーザーが増えるかはギャンブルなんですよね。凄い信用できる人には任せてます。最新アルバムをやってるデザイナーのグラファーズロックとかイラストレーターの山根慶丈さんとか。そうじゃないときに、人に頼むとお金がかかるので自分でやるって選択肢は有効だと思います。

Giz:ご自分でドメインやサイトを管理していくことで、なにかそれをどんどん大きくしていこうって考えますか。

tofubeats:大きくしていこうというか、大きくなってると思います。

Giz:もっと株式会社tofubeatsみたいな感じに?

tofubeats:結構タイムリーな話題で。結構検討しています。ただ、どこににメリットがあるか、自分で管理するのか大きくするのかは別なので、大きくすると管理ができなくなってくるので、できる範囲ってのは本当に考えてますね。自分にどこまで管理ができて、どこからまかせればいいのかとか、どうまかせたら一番効率が良くて、嫌じゃないかとか考えますね最近。

60分以下のアルバム容量はサブスクの影響だと思う


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Giz:ネットとリアルの世界って、今まで考えられてた世界と全然違ってたのかそれともある程度予想していたもの?

tofubeats:4~5年前までネットをまじめにやってた時は遠いと思ってましたけど、今は前提になってると思います。

Giz:まじめにやってたというには?

tofubeats:ネットをやっていたころはちょっとエッジなことだったというか、mp3を配るってちょっと特殊だったと思うんです。今はサブスクもでてきて、YouTubeもあって、音楽に金を払わないで聴くって倫理がおかしいものじゃないとエンドユーザーの高校生とか見ていても感じます。そういう意味では追い越された感じがしますね。

Giz:「追い越された」って表現が、印象的です。

tofubeats:サブスクって本当にそう思いますね。音楽がリリースされればされるほど、単価って下がっていくじゃないですか、単純にいうと。カタログが増えていくんで、全部の曲数で割ると、限りなくゼロに近づいていくシステム。mp3を配るやり方ってボーダーがあったから、面白い行為として注目されたんですけど、いまや公式のシステムがそれを追い越してしまった印象がありますね。だから、来年の頭ぐらいは様子を見ないと、自分がどうしたらいいかわかんないなってありますね。

Giz:配信をどうするかとかですか?

tofubeats:まぁ、サブスクに関しては「提供をやめます」とか考えてないですけど、これがどうなっていくのかを考えていかないと音楽の作り方とか聴き方が変わりすぎているから、しかも自分は旧時代というかCDを買ってデータを買っていくタイプだし、DJだから買わないといけないわけなので。ストリーミングでは今はDJができないんですよね。そういう意味では旧時代の人になってるので、どうなるか見極めないとマズイなってのはありますね。

Giz:サブスクリプションがきたから、自分のプロダクションで変わったことはありますか?

tofubeats:今回の「POSITIVE」ですけど、これまでのアルバムは、CDフォーマット
を使い切りたいって欲があって、容量マックス入れようと目標があって入れるか迷った曲は入れてきた入れて作っていたんです。でも今回は60分切りました。この60分以下の長さは明らかにサブスクの影響だと思うんですよね。もともとは今回はプレイリストってカルチャーに戻ってきた感じがして。入れるか迷った曲は外したんですよ今回。だからジャンルが散らかっても、たくさん入れておきたいっていうCDとしてサービスってよりは、系統をポジティブで揃えるっていうプレイリスト的な概念に選曲を変えたから、こういう曲目になった感じですね。

Giz:そういうアルバムの作り方になってくるほど、DJとしての強みというかキュレーションを発揮される気がします

tofubeats:だといいなって。それに関しては。

Omg This is me #applemusic

@tofubeatsが投稿した写真 -



Giz:Apple Musicの印象はいかがでした? 

tofubeats:一番聴いているのは「Beats 1」。ある程度のクオリティが担保されてる。ただ普通に聴く前に、自分のクラウドのライブラリを同期してないので。まず自分の家にMacが多すぎる。容量が普通にテラ単位なんで同期すると面倒くさいし、曲数も足りない。Wi-Fiで普通に聴くだけなんですけど、リファレンス用になってます。

Giz:CDでは出すけど、サブスクでは出さないとリリース方法も今後はあると思いますか?

tofubeats:今回に関してはサブスク即日解禁です。

いろいろモデルケースを作ろうとは思ってるんですけど、自分の生活に繋がってることなんであまり看過はできないなっていうか、全部売ってしまいしょうってわけにはいかないですね。

Giz:その辺の感覚は、今のアーティストとしては常識的なものなんですか。

tofubeats:正直言って、全然収入が違うと思んですよ。同じ2万回再生されるっていっても。サブスクとダウンロードでは違うと思うんで。そうやって考えてない人は、食い扶持を失くだけって話。これを考えていかないとやっていけないってのが違いんじゃないですかね。

Giz:デジタルを考えないとサバイブできない時代?

tofubeats:そうですね。しかも、デジタルでリクープできるサービスも減ってきて、サブスクも出てきて、それをどう捉えるかって難しいですよね。だから、まだ様子は見みなきゃなって感じですね。

Giz:変な話ですけど、昔だと自由にネットを楽しく使っていた時から、だんだんそれに制約がかかってきて合法化されていって、マニュアル化される中でみんなが同じようなものを追っていくちょうと分岐点にいるような気がするのですが、どうでしょう。

tofubeats:どうなんでしょう。サブスクですけど、トップに入ったものは飛び込んできやすいし、検索するには自分が知ってないといけないし、どっちかというと2極化してるって言ったほうが正しいかもしれないですね。そこで、「Beats 1」のように僕らミュージシャンのキュレーションなのが必要になってくるんでしょうけど、それに関してはまだ成功までは届いている印象はないですね。

サブスクとかのレコメンドが自分に近くなって、絶対好きなのを教えてくれるんですね。例えば日本語のヒップホップを初めて聴いた時、初めての音楽なのにかっこいいと思ったんですよ。または、ヘビメタとか全然分からないんですよ。でもそれは嫌いとか好きとかじゃなくて、まだヘビメタの良さがわかんないって表現が正しいんですよね。
 
自分のパラダイムが変わる瞬間って音楽を聴いていて気持ち良い瞬間だと思うんですけど、それを作るのが難しくなるんじゃないかって考えがちょっとあるんですよね。

僕は聴きたいように聴いてもらうのがいいですけど。CD作ったり、サブスクに流してるのも好きなように聴いて欲しいという思いがありますね。



Giz:今はmp3をフリーダウンロードしたりとか数年前まで成立していた文化って続けたいと思いますか?

tofubeats:今のまま続けられたらなって思いますね。サブスクに追い越されちゃったので、本当にどうなるか分からないのが正直なところですね。

Giz:サブスクのレコメンドでtofubeatsが出てきた時に、知らない人にどう聴いて欲しいかありますか?

tofubeats:いろいろやってるぐらいの人に思ってもらったら(笑)。よく分かんないなぁくらいがちょうどいい(笑)。それで検索してもらえると嬉しいですね。

Giz:その中で、ダンスミュージックのDJとか、J-POPのコラボレーターとか、特定のジャンルに縛られていると思われたくないですか?

tofubeats:現時点で、あまりこれだって決まり文句はないので、森高さんが好きな人はあーゆうの作る人だと思ってるし、マルチネカラー好きな人ならクラブミュージックを作ると思ってるし。いろんな人から違う見られ方をするのが健全なプロデューサーだと思います。

DJって単純にみんなが好きなものだけ並べてもかっこよくならない


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Giz:さっき、サブスクのDJの話、ちらっとされてたと思いますけど、サブスクでDJできると思いますか?

tofubeats:たまに話ますけど、来たら怖いですね。世の中の人が平等に曲を入手できる環境でDJをやるってことはすごい話。プロと素人の差が無くなり、そこでプロとして裁かれる日が来るって話かもしれませんけど...。
 
あと、逆にそうなったらそうなったらで、自分のダブとかを作るカルチャーになってるかもしれないですし。遂にリミックスが光ってくるかもしれないですし。

Giz:サブスクから出てくるDJとかってでてくると思います?

tofubeats:どうなんですかね。でも、そういうDJが出てきてビックリしたいっていうのもありますね。僕25歳で、17~18歳の子で思いにもよらないことを言うやつとか、生まれたときからApple Musicがあるやつとかがでてくるじゃないですかね。

Giz:一番最初のデバイスがスマホみたいな

tofubeats:そうですね、それはちょっと下の世代でも思いますね。

Giz:実際にtofubeatsはいろいろな場所でDJされてると思いますけど、デジタル化が進んでいって音源も見つけやすくなった今と昔で違いってありますか?

tofubeats:どうなんですかね。Ultra JapanとかEDMのイベントに出る機会がないので、どちらかというとお客さんがYouTubeで音楽を聴いてから来ることが簡単になったと思います。今は全然知らないアーティストでも明日フェスに出るからYouTubeで1、2曲聴いてから行けるじゃないですか。それは昔と全然違うと思います。だからCDが売れていたとかあるかもしれないですね。

Giz:お客さんとのやり取りに変化も?

tofubeats:ちょっとやりやすくなったかもしれないですね。聴いたことのない曲を聴いて、この曲良いな、何だろうって言わせられると気持ち良いですね。

ハウスのイベントにいったのに突然ロックがかかって、この曲すごい良いなって気持ちになれるのが、良いDJを聴いた時って感じがするんです。盆栽もそうですけど、盆の上で松を育てたら急にかっこよく見えるみたいな(笑)。そういうことをやるのがDJだと思っています。

DJって単純にみんなが好きなものだけ並べてもかっこよくならない。まして、一個だけでも必要の無いものを並べないとかっこよくならない気がしています。例えば、最近EDMって、エネルギー100、100、100って感じがする気がしています。それはそれで機能的っていうか100の中でも差がありますけど。でも、もっとそうじゃなくて、50ぐらいの曲を100に錯覚させるDJが良いDJだと思うんですよ。

「泳げたい焼き君」の曲があるじゃないですか。素敵なメロディーで、あれを流せばめちゃくちゃ泣ける。「泳げたい焼き君」の力を130%出すってことが良いDJにはできる。そういうことができることが、人の個性だったりするんですよね。
 
それこそ、サブスクでDJできるようになったら全ての人の個性が見れるから面白い反面、プロとしてどうやっていくのかなというのことが難しいと思います。

Giz:ロボットがDJしてるのか、人がDJがしてるのか区別が付かなくなる時代がくるのかもしれませんね

tofubeats:人はもうロボットになろうとしてるなって、EDM見てるとすごく思いますね。

Giz:そうなってくると感動体験ってなんだろうってなりますよね

tofubeats:でも、感動ってシェアできることだと思いますよ。昔は精度が低かったから、ある程度いろいろなひずみがあってカルチャーがその間にあった。検索できない人たちはトップに表示されるものを聴くしかない、そしてその中で共有するしかない。テレビもそうですよ。12個あるチャンネルの中で共有するしかないっていう。
 
それが前提にあるから、パワーが大きくなるって話でラフな部分が無くなって、大きいオピニオンになってきたというのはすごく思いますね。

Giz:ネットの上っていうか、ネットで一番最初に表示されるものですよね。

tofubeats:ヤフトピみたいな(笑)。僕ヤフーじゃなくてグーグルなんで、ヤフーニュースとかわからないけど、周りのみんなはヤフーニュースの話とかするし、ヤフーニュースにミュージシャンのニュースが載ったり。自分がそういう一般化されない側に生まれてしまったっていう劣等感を持っているだけに、EDMをやってアナ雪を見て泣くことができたらどれだけ幸せかっていう話でもあるのかと思います。
 
ただ、そうじゃない人もいるわけで、自分たちみたいな人のためにやるしかないっていう気持ちもある。自分もいつかは人口の0.5%ぐらいが好きな音楽って勝手にAIにされるかもしれないし、生物学的なものでいっちゃたら悲しいなってものがありますね。

Giz:tofubeatsの人工知能があって、今日はこっちで作業しようかなって

tofubeats:そこまでいくと、もう僕の作業じゃないですけどね(笑)。

Giz:確かにそういう意味で文化の深堀って減ってきてるって感じがします。

tofubeats:.comの話もそうですけど、広い範囲を持てなくなったという話で、一人で全部やらなきゃいけないし、そこである程度深みを持たせないといけない。YouTuberがいい例だと思うんです。一人で出来る量は知れているし、でも消費する人たちはその中から面白いものを消費するだけなので。悪く言えばインスタント。よく言えばアクセスしやすいものにアクセスするって印象があります。

Giz:音楽もそういう方向に向かってると?

tofubeats:音楽がまさにそうで、ラップトップで作れるようになってるから、その速度はものすごい早くい。だけどその代わりにその恩恵に預かってる自意識もあるので、その気持ちの整理が難しいところもありますね。


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Giz:tofubeatsさんはサブスクがどうなるか、未来予測はありますか?

tofubeats:二通りで、拡大し続けるか、みんな撤退ていう2択ですかね。

Giz:拡大というのは?

tofubeats:サブスクにどんどんカタログがiTunesストアから移動していって、サブスクしか選べなくなっていくとか。ユーザー数でもサブスクのアクセスが増えれば増えるほど、iTunesストア時代と比較すると利益が目減りしていくんですよ。つまり、業界的には喜ばしいことではない。さらに、サブスクの総ユーザー数が上がらないと、アーティストの利益は一生上がらない。

IT企業が影響を拡大し続けられるのか、とか思いますけど。現状システムとしては魅力だし、可能性としてまだみんなが開いたことない扉だから、開けてみないと中が分からないという意味で応援してます。そこから先は何があるか。怖い話、開けて爆発させてみてようやく分かるみたいな感じ。それはすごくApple Musicを見て思うし、ミュージシャンとしては複雑なところです。

Giz:もう一つの撤退ってほうは、どんどんなくなってくと?

tofubeats:メジャーレーベルとかが撤退していくってのはない話じゃないと思います。アメリカ版インディーズレーベルとか引き下げてるとこも多いじゃないですか。海外だとデジタルストアしか配信元がないから、デジタルの収入が数千、数万じゃ生活できないい。アップルは違うと言っていたところもあるので、どうなるか見てみないと分からないですね。

Giz:今日はお忙しいところお時間いただいてありがとうございます。

* * *

ネットと音楽の距離感を自然な感覚で掴めるtofubeatsさんだからこそ、1人でできることとコラボレーションの率直な気持ちを語ってくれた話には説得力があります。サブスクやダウンロードといった技術だけじゃない。音楽の世界をアップデートするクリエイターの存在が、僕たちの音楽の楽しみ方に新しい価値観を作っているんだ、そう気付かされたインタビューでした。

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アーティスト:tofubeats
アルバム:POSITIVE
レーベル:unBORDE/ワーナーミュージック・ジャパン

収録曲
1. DANCE&DANCE (intro)
2. POSITIVE feat.Dream Ami
3. T.D.M. feat.okadada
4. Too Many Girls feat.KREVA
5. STAKEHOLDER
6. Throw your laptop on the fire feat.小室哲哉
7. I know you (skit)
8. Without U feat.Skylar Spence
9. すてきなメゾン feat.玉城ティナ
10. くりかえしのMUSIC feat.岸田繁(くるり)
11. 閑話休題 (skit)
12. 別の人間 feat.中納良恵(EGO-WRAPPIN’)
13. I Believe In You

iTunesストアアマゾン


アーティスト:tofubeats
アルバム:POSITIVE REMIXES
レーベル:unBORDE/ワーナーミュージック・ジャパン
リリース日:2016年1月20日
収録曲
ディスク:1
1. POSITIVE feat.Dream Ami -中田ヤスタカ(CAPSULE) REMIX
2. T.D.M. feat okadada -okadada enxtended mix
3. Too Many Girls feat.KREVA -ILLICIT TSUBOI REMIX
4. STAKEHOLDER -小室哲哉 REMIX
5. Throw your laptop on the fire feat.小室哲哉 -PART2STYLE SOUND REMIX
6. Without U feat.Skylar Spence -in the blue shirt REMIX
7. すてきなメゾン feat.玉城ティナ -tofubeats REMIX
8. くりかえしのMUSIC feat.岸田繁(くるり) -tofubeats REMIX
9. 別の人間 feat.中納良恵(EGO-WRAPPIN’) -PUNCH & MIGHTY REMIX
10. I Believe In You -cherryboy function REMIX

ディスク:2
1. Don’t stop the music feat.森高千里 -Yoshinori Sunahara Remix
2. populuxe -RAMZA Remix
3. Come On Honey ! feat.新井ひとみ(東京女子流) -spazzkid Remix
4. 朝が来るまで終わることのないダンスを -banvox Remix
5. CAND¥¥¥LAND feat LIZ -Pa’s Lam System Remix
6. おしえて検索 feat.の子(神聖かまってちゃん) -PARKGOLF Remix
7. 衣替え feat.BONNIE PINK -tofubeats Remix
8. 衣替え feat.BONNIE PINK -John Gastro&tofubeats 1960s Remix

iTunesストアアマゾン
詳細:tofubeats公式サイト


source: tofubeats公式サイトtofubeats@SoundCloudYouTubeInstagramワーナーミュージック・ジャパンYYYマルチネレコード

(企画/取材/執筆:Yohei Kogami、撮影/取材:斎藤真琴、テキスト:ロバーツ町田)

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