グーグルのライフサイエンス部門、新会社Verilyとして独立

古風な言い回しには意味がありました。

12月7日、企業紹介ビデオとウェブサイトのローンチとともに、グーグルのライフサイエンス部門が新会社Verilyとしてデビューしました。これまで同社はアルファベット傘下の一部門として、スマートコンタクトレンズ採血用のウェアラブルデバイスなどを開発してきましたが、今後は独立した企業として事業を継続していきます。

ところで、企業名となったVerilyは、古英語で「誠に」「確かに」といった意味で、少し特別なニュアンスを持っています。「Verily, I swear,(確かに誓います)」はシェイクスピアの「ヘンリー八世」に出てくる台詞ですし、17世紀初頭にジェームズ1世の命令で翻訳された「欽定訳聖書」にも似た言い回しが出てきます。ですが、最先端のテクノロジー企業が、どうしてこのような古めかしい単語を企業名にしたんでしょうか?

Verily のCEOで細胞生物学者のAndy Conrad氏は、STATのインタビューの中で次のようにコメントしています。

真実によってしか自然に打ち勝つことはできません。私たちは健康と病気の真の姿を明らかにしていくでしょう。

これについて、長寿療法に取り組んでいるグーグルの関連企業Calicoの命名に関与したクリエイティブディレクターGreg Balla氏は、Verilyというネーミングこそが同社にふさわしいとコメントしています。「彼らが取り組んでいる課題は、聖書(に影響を受けた価値観)の軛から抜けだし、次の段階に向かうことだと言えるでしょう。今世界で起きているあらゆる問題に立ち向かうために」。

Verilyがやろうとしていることは、従来型の医療からの脱却であり、予防医学に重点を置いた事業です。同社は、糖尿病治療に役立てるコンタクトレンズだけでなく、癌や他の疾患を検出できるナノ粒子ベースの診断ツールやウェアラブルな医療機器、小型センサーを開発しています。

これらの予防や治療の研究は、遺伝学や行動学といった生物学的な知見や環境データに基づいて行われます。つまり、人類の多様性や世界との関わりを理解することは、彼らの事業に欠かせないことなんです。そのために、医師、エンジニア、化学者、データサイエンティストといった学際的なチームを作っています。「哲学者は化学者と同じぐらい大切です」とConrad氏は言っています。

ライフサイエンスは、ハイテク業界のなかでも最も注目されている分野です。壮大な野望を持ってグーグルからスピンオフしたVerilyの動向から目が離せなくなりそうですね。

source: STAT, Verily

(高橋ミレイ)