ドローン配送が(まだ)うまくいかない7つの理由

2015.12.01 21:00
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期待はあるけど、すぐには無理。

米国が感謝祭の二日酔いから醒めやらぬ中、アマゾンがドローン配送サービスPrime Airの新コマーシャル動画を発表しました。この動画の中で、BBCの自動車番組「トップギア」の元司会者ジェレミー・クラークソンがその素晴らしさを語っています。たしかにドローンが荷物を置いて飛び去る姿には未来を感じますが、現実的には今すぐ僕らに新しい靴を届けてくれるわけではなさそうです。


今はマーケティングのネタに過ぎない


アマゾンのドローン配送サービスは、いかに革新的であろうと、少なくとも今は昔ながらのマーケティングの道具に過ぎません。最初の発表は2年前のこの時期で、年末商戦にぴったりと照準が合わされていました。

今年のPrime Airのプロモーションも、1時間以内に配送が受けられるPrime Nowの大々的広告キャンペーンのさなかに投入されました。なんか混乱する気もするんですが、とにかく彼らは今それをやっているんです。

最初の発表から2年経ったPrime Airですが、その実体はプロトタイプのYouTube動画やプレスリリース、曖昧模糊とした特許から推測するしかありません。今回発表したPrime Airのプロモーション動画に登場するジェレミー・クラークソンは、Amazon Prime Videoで自分の番組をリリースする予定になっています。つまり、Prime Airというネタは二度美味しいんです。アマゾンはPrime Airの宣伝をすることで、Prime Videoのプロモーションにもつなげられるんです。アマゾンとしては、近々みんなにドローン配送を使ってほしいというよりは、とりあえず番組を買ってねというのが本音じゃないでしょうか。

ドローンで配送しようとしているのはアマゾンだけではありません。グーグルも1年以上前にProject Wingの広告動画をリリースし、そこでは独自の未来型飛行機がオーストラリアのおじさんにドッグフードを届けていました。でもグーグル自身、そのプロトタイプが実サービスに向かうまでには「何年もかかる」と認めていました。同じことはアマゾンにも、他のサービスにも言えます。



規制の問題


ドローン配送がまだまだである理由は、アマゾンがそれをマーケティングに利用しているからというだけではありません。最新の規制案によると、連邦航空局(FAA)はアマゾンの配送ドローンプロトタイプの飛行を許可しないはずです。ポイントは、FAAが商用ドローンに対し「パイロットと監視者の見通し距離内にいること」を求めていることです。アマゾンはFAAが作ったドローン委員会に参加してルールのアップデートを試みていますが、彼らが実験用に受けた承認が新しいプロトタイプで適用されるかどうかはわかりません。他のドローン配送を試みている会社にも、同じ問題があります。


技術もまだまだ


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アマゾンは、ドローンに搭載できる貨物のサイズを明らかにしていません。ドローン本体は55ポンド(約25kg)です。でも動画に出てくる箱の大きさからして、靴の箱より大きいものは運べないように見えます。現在商用に使われている最新のバッテリー搭載のドローンでも数ポンド程度しか運べないので、靴の箱程度というのはわりとリアルな制約になりそうです。


距離的に微妙


荷物が重くなればなるほど、飛べる時間は短くなります。というのは、荷物を飛ばすのにより多くのパワーが必要だからです。アマゾンは30分以下での配送を実現すると言っていますが、それを距離にすると10マイル(約16km)ほどになります。つまりPrime Airを使うには、アマゾンの配送センターから16kmの場所に住んでいる必要があります。だとすると、車で行って帰る方が早かったりするはずです。


着地できるのか


都市とか、多少でも木に囲まれた場所に住んでいるとしたら、アマゾンのドローンでも他の会社のものでも、無事に着陸するのは至難のわざです。ドローンは木とか高いビルが苦手で、地上に降りるのが難しいんです。グーグルは下の動画のように、荷物を地面まで下ろすウィンチでこの問題を解決しようとしています。そしてそのグーグルでさえ、上に書いたように、ドローン配送を実現するには何年もかかると言っているんです。



低高度の航空管制システムがない


アマゾンは「いつか、Prime Airのドローンが路上の郵便トラックと同じくらい普通に見られるようになる」と言っています。でも今後10年間でそんな未来が訪れるとは考えにくいです。ドローンは400フィート(約120m)以下でしか飛行を許可されておらず、現在の管制システムではその空間を対象にしていないんです。でもドローン同士が衝突しないようにするには、ドローン用の航空交通管制システムが必要です。アマゾンのドローンには障害物を検知して避ける機能があるものの、ドローンで混雑した空を飛ぶ環境ではまだテストされていません。


みんなドローンが好きじゃない


実際、アマゾンのドローンに家の周りを飛んでほしいと思っている人はどれだけいるんでしょうか? ドローンはうるさいし、あやしいし、カメラで家の中を隠し撮りしているように見えます。ドローンといえばアフガニスタンの殺人マシンか、そうじゃなければビーチでビキニ美女をしれっと撮影しようとする好色マニアの道具だと思われているんです。みんなが本当にドローンにドッグフードを持ってきてほしいのかどうか、今はまだわからないんです。みなさんはほんとのところ、どうですか?


Images via Amazon.

Adam Clark Estes-Gizmodo US[原文
(miho)

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