アルジャジーラ米放送局が開局2年半で閉鎖になった理由

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カタールのドーハに本社を置く中東の衛星テレビ局アルジャジーラは、米国での放送拠点アルジャジーラ・アメリカを4月末日に閉鎖すると発表しました。2013年8月のローンチから、わずか2年半での閉鎖です。

米国の政治メディアPOLITICOによれば、このことが従業員に知らされたのは1月13日に行なわれた全社ミーティングでした。約700人の従業員が90日分の給与と引き替えに職を失うことになりました。

閉鎖の原因は米国での視聴率の伸び悩みによる経営難。ニールセンの調査によれば、ゴールデンタイムでさえ視聴者数は28,000人程度。米国で持続的にビジネスを続けるには厳しい数字でした。

アルジャジーラ・メディア・グループは、欧米視点から報道をする他メディアとは違う視点と、ときには過激な表現も辞さない報道姿勢が評価されています。だからと言って反米メディアという訳ではなかったんですが、米国人からすればローンチ前から、あまり良いイメージがありませんでした。2001年の9.11の後に、アルカイダ経由で入手したビン・ラディンの肉声を放送したことで「テロを支援している」とみなされましたし、その後のイラク戦争のときに戦死した米国兵の死体を放送したことも米国人の神経を逆なでしました。

その上、米国放送局のローンチ後から国際的にイスラム国(IS)の脅威が増したことや保守層の反イスラムキャンペーンの影響もありました。そのため取引先も契約を躊躇してしまい、配信網を十分に確保できなかったんです。

また、CNNによれば近年は社内での性差別や人種差別、取材対象への中傷の疑いなどで複数人から訴訟を起こされたことに加え、原油価格の低下も打撃となりました。親会社のアルジャジーラは石油大国のカタール政府が出資をしていましたから。

今後は米国から配信されるAJ+のようなオンラインメディアを拡大していくとのことなので、全事業を米国から撤退させるという訳ではなさそうです。それに、ケーブルニュースチャンネル数社がアルジャジーラの事業を買収することを検討しているという情報もあります。米国内での社会的な評価や資本の面で厳しい状況なのは変わりませんが、まだ起死回生のチャンスはあるのかもしれません。

image by Gil C / Shutterstock.com

source: POLITICO,CNN

(高橋ミレイ)