さようなら。SFロックスター、デヴィッド・ボウイ死去

さようなら。SFロックスター、デヴィッド・ボウイ死去 1

デヴィッド・ボウイがこの世を去りました。69年の生涯でポップカルチャーに与えた説明出来ないほどの影響を残して逝ってしまいました。ですが、彼が与えた影響はポップカルチャーだけに留まりませんでした。デヴィッド・ボウイはもしかしたら「サイエンス・フィクション」に多大な影響を与えたミュージシャンだったかもしれません。彼の音楽やメッセージは私たちが宇宙人や不可思議現象、使い魔などを見る目を変えたと言えるからです。

ボウイのシングル「スペイス・オディティ」(Space Oddity)は、彼を宇宙旅行といったサイエンスフィクション・ネタを歌うアーティストとしての地位を確立させただけでなく、宇宙と対置する人類の戸惑いを受け入れた人物像を作り上げます。連続的なギターのリフとサイケデリックなノイズは、まるで空き缶に閉じ込められたまま、見知らぬ場所で方向感覚を失ったままフワフワと浮いている錯覚に駆りたてるようです。その後も長い間、デヴィッド・ボウイは宇宙人の来訪や救いようのない高尚さ、苦悩の超人など最も悲痛的な作品を作ってきました。最近記事を執筆中に「世界を売った男」(原題:The Man Who Sold the World)をループさせて聴きましたが、聴けば聴くほど切なさと後悔と自責の念がレイヤー状にこみ上げてきたことを発見しました。

2013年、ISS(国際宇宙ステーション)から「スペイス・オディティ」を歌った宇宙飛行士クリス・ハドフィールド(Chris Hadfield)氏

デヴィッド・ボウイからサイエンス・フィクションへ最大の贈り物はというと、切なさと解離のミックスではないでしょうか? アルバム「ジギー・スターダスト」はミステリアスなキャラクター率いるバンドのロックオペラで、黙示録や両性具有、ロックスターをボヘミア調のドラマで一つにしている作品なのです(デビッド・ボウイがウィリアム・バロウズにジギー・スターダストの背景を説明している様子はこちらをどうぞ)。ジギー・スターダストは、Thin White Dukeと同じで、ボウイが長いキャリアの中で作り出したペルソナの一つとして歴史に残ります。

ボウイは映画「地球に落ちて来た男」(The Man Who Fell to Earth)で、不穏で心理的に複雑な宇宙人のありのままを演じています。この映画は地球人を装った実験的な宇宙人を取り扱う先駆け的な作品として重要な役割を果たしています。もし復刻版アンカットバージョンを見る機会があれば、迷わずにそうしてください。

女優ティルダ・スウィントンはヴィクトリア&アルバート博物館で行われた彼の展覧会のオープニングで彼女の生い立ちにデヴィッド・ボウイのイメージと音楽が影響を与え、怪物が素晴らしき統一者になったことに気が付いたと、素晴らしい賛辞を贈っています。

長い間、デヴィッド・ボウイは自身のロックスターダムと戦っていたようです。アルバム「レッツ・ダンス」以降、彼の音楽を知らない新たなリスナーにリーチしていく中で、ポップ界の新たなスターとしての自分と葛藤することも少なくありませんでした。「ロックスター」であることは、違う惑星からやって来たグラムロックの訪問者の概念よりも、もっと異質で奇抜だったように見えました。

デビッド・ボウイが残した音楽は、孤独感へのサウンドトラックだったのかもしれません。「火星の生活」(Life on Mars?)は今ではイギリスのSFミステリードラマのタイトルになっただけでなく、ドラマに重要な感情の本質をもたらしてくれました。デビッド・ボウイは、私たちが抱えている違和感や解離という感覚は、イメージするより遥かに大きく素晴らしいものであることを理解する手助けをしてくれたのです。

彼の死は多くの人によってとても惜しまれるでしょう。しかし彼の音楽はこれからも現実を作り変えていくことでしょう。

Charlie Jane Anders - Gizmodo io9[原文

(Yohei Kogami)