ドバイの超高層ビル火災が止まらない

「またドバイの超高層ビルで火災か…」

大晦日のビル火災でそう思った人も多いはず。なぜこうも多いんでしょうね?

2015年2月には79階建ての「ザ・トーチ(たいまつ)」が燃えたばかりですが、今回燃えたのは63階建て高層ホテル「アドレス・ダウンタウン・ドバイ」。Kirill Neiezhmakovさんのタイムラプス映像で眺めると、火の手が瞬く間に広まって、火の粉が地面に落ちていくのが鮮明にわかります。

この直後、付近の世界一高いビル「ブルジュ・ハリファ」まで全体が爆発するかのように見えたんですが…。

…カウントダウンの花火でした。

なんでも「火事ではなく花火を記憶に刻んで欲しい」という願いを込めて、市のトップがGOサインを出したということです。

ドバイの高層ビル火災は2012年から4件目

2012年4月29日には40階建て「Al Tayer Tower」が燃え、入居していた数百世帯が焼け出されました。出火原因はおそらくタバコの吸い殻と言われています(映像)。

同年11月18日には30階建て「Tamweel Tower」も炎上(映像)。出火原因はまたまたタバコの投げ捨てでした。

そして2015年2月、名前がしゃれにならないと世界を驚かせた「ザ・トーチ」火災。

よく燃える原因

2012年の2つの火災では、火の勢いを増した建材が特定されています。超高層ビルでは重量を抑えるため、断熱材の中が熱可塑性樹脂(熱で溶けるタイプのプラスチック)になってます。つまりアルミニウム建材の中身が多層のポリウレタンのものを使ってるんですが、このポリウレタンがものすごく燃えやすいんです。

そこで2つの火災の後、ドバイ市ではこのアルミニウム合成パネル(ACP)の新築ビルへの使用を禁じ、既存のビルに対しては防火パネル補強とスプリンクラーの設置を義務付けました。

昨年火災になったザ・トーチもザ・アドレス(今回燃えたホテルの通称)もこの規制は守っているはずなんですが…燃えるときは燃えるのね…。

ザ・アドレスの方は年が明けてからも、いまだに黒い煙がくすぶってます…。

美しさの代償

ドバイの人はキラキラしたメタリックなビルがとにかく大好き。それもあってプラスチックを詰めたアルミニウムは割と広く使われています。だいたいどれぐらい使われているのかと言いますと、ドバイで一番高いビルのうちACP使用のものは約250棟もあり、市内全域の建物のうち実に3分の2近くで使用されているんだそうな

ザ・アドレスは2008年に完成したビルなので、あとで防火パネルとスプリンクラーを補強した組でした。実際このスプリンクラーのお陰で屋内の延火はだいぶ食い止められたみたいですよ。

その調子で、労働環境の監督も強化して欲しいところですよね。カタール同様、アラブ首長国連邦でも不法移民は奴隷のように酷使されていて、キラキラしたドバイの摩天楼の影は想像していたよりも真っ黒だったと非難されています。建設の質を高めるには、労働者の住環境をもうちょっとなんとかしないと…と注文をつけてみる…。

ドバイ市は「改善プランはある」と言ってますが、ちょっとやることが斜め上でありまして、昨年11月には、35,000ドル(約410万円)のジェットパックを導入しました。その目的はずばり、「高層ビル火災で空飛ぶ救助隊を派遣すること」。残念ながら今回その姿は目にできませんでしたが、きっと次回の高層ビル火災ではドバイのビル街をびゅんびゅん飛ぶ救助隊の姿が目にできるはずです。

いやあ…なんというか…燃えるビルから住民が避難する脇で花火を何百発も打ち上げるドバイが、いかにも考えそうなことですよね。派手なもので注意を逸らすばっかりで、問題の本質は何ひとつ片付いてないような気がしないでもないです。

Alissa Walker - Gizmodo US[原文

(satomi)