約4万5千年前のマンモスの骨発見で、人類の歴史が変わるかも

約4万5千年前のマンモスの骨発見で、人類の歴史が変わるかも 1

傷だらけのマンモスが伝える新事実?

このマンモスの骨は大変良好な状態で残っていたんだそうですが、何かが明らかに違っていたとのこと。頬骨の内側には丸い穴。肋骨に沿って深い切開あと。そして左の肩甲骨にへこみと割れた下顎。

この4万5000歳のマンモスの一生は、ハンターの手によって残忍な形で終焉を迎えたようです。と言っても、それは驚くべきことではないんです。更新世の時代に生きていた人類は、マンモスハンターとしてのスキルがとっても高かったと知られているからです。でも驚くべきことは、この発見場所。中央シベリアの巨大な川が北極海に合流する遠隔地にある、エニセイ湾の永久凍土の堤防から出土されました。

つまり、この傷だらけのマンモスは人類が高北極へも進出していたことを示す最古の証拠ということになります。サイエンス誌で今日発表されたこの発見は、人類が北米へ最初に渡った時代を含め、最北端に渡ったタイムラインを押し戻す可能性があるのです。

およそ5万年前に人類が東シベリアから北極の限界点まで進出し始めていたということです」と語るのはロシア科学アカデミーの考古学者であり、この研究の著者でもあるVladimir Pitulkoさん。

今回の発見でまだ未開の地への扉が大きく開くかもしれません。

この古代の動物の骨は2012年に川の土手から発見され、ロシア科学アカデミーはこの骨の研究のために発掘チームを発足。そしてこのチームは、PitulkoさんとAlexei Bystrovさんの2人がリーダーとして研究をすすめ、何か普通ではないものを見つけたのです。

「この骨が凍った状態でセンクトペテルブルグに到着したとき、私は動物学博物館に骨と牙を見に行きました。2つ目の骨を拾い上げたときに、人間による明らかな傷を確認しました。そしてほかの傷も見つけたのです」とPitulkoさん。 この傷は間違いなく人間のハンターによるものだとPitulkoさんは話しています。

考古学者たちが放射性炭素年代測定のための土壌サンプルを収集しに発掘場所に戻ると、おもしろいことがわかりました。放射性炭素分析によると、このマンモスは4万5千年前に殺されたものだと判明。でもその頃、そこには人間は住んでいなかったと考えられていました。そこから人間が住んでいたとされる1番近い場所でも、約1,600kmも発掘場所から離れていたのです。

そしてそこに人間が住んでいたのは、1万年も後のこと。 今回の発見は、現在私たちが認識している人類の歴史を変えるかもしれません。はるか北の寒い気候の中で生き残るための能力が、象牙狩猟槍の普及など技術の発達に関連していたと考古学者は考えているようです。これらの発達が4万5千年前にすでに起こっていたとしたら、人間はこの頃にはベーリング地峡を渡って北米にたどり着いていたということになります。現在、北米で人間がいたという1番古い証拠は、1万5千年前のものなんだそうです。

しかし、もちろん北米に人間が移動できただろうということだけでは、本当に住んでいたということにはなりません。でも可能性は大です。これから考古学者たちは一生懸命探り始めるでしょう。「これらの発見によって答えよりもさらなる疑問が生まれました。人間がこの地球上をどのように移動して行ったのかという概念を変えるかもしれないです。」とPitulkoさんは話しています。なんだか壮大なプロジェクトになりそうですね。

image by Pitulko

source: Science

Maddie Stone - Gizmodo US[原文

(リョウコ)