世界へ広がる新幹線の輪…インドに続きシンガポールでも走るか

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日本の誇れる技術!

米国人が日本と聞いて思い浮かべるもの。それは「寿司」に「桜」が一番だそうですけど、その次に「新幹線」を日本の象徴と考えている人も少なくないんだとか。日本へ観光に来たら、ぜひとも乗ってみたい乗り物のトップでもあるそうですよ。

そんな新幹線ですけど、日本国内から外へ飛び出し、もっと世界の各地を走る時代が間近に迫っています。安倍首相が積極外交を展開し、諸外国へ新幹線方式での高速鉄道整備を売り込んでいるのをご存じの人も多いでしょう。

すでに米国では、新幹線を大都市間の輸送システムとして導入しようとの動きが活発化しています。もっとも有力なのは、テキサス州のダラスとヒューストンを、まるで新幹線そっくりな新高速鉄道網で結ぼうとの計画が、実現に向けて着々と進行中。建設を最大限にバックアップすべく、JRのサポートも万全のようですね。

さらに、2015年は、タイインドでも、新たに新幹線方式の高速鉄道受注が正式に決定した、記念すべき年となりました。とりわけインドでの導入事業は、総額150億ドル規模とビッグスケールで、ムンバイとアーメダバードの2都市間を結ぶ計画です。完成すれば、これまで電車で8時間もかかっていた移動が、わずか2時間に短縮される予定ですよ。この受注成功の勢いをかって、2016年は、シンガポールとマレーシアのクアラルンプールの間にも新幹線を走らせるべく、いま協議が続いているところです。

新幹線の先を見据え、マグレブ(リニアモーターカー)の先取りを狙っている国だってありますね。2015年に画期的な時速600kmの壁を超えたリニアモーターカーに試乗すべく、米国からはアンソニー・フォックス運輸長官が、自ら来日。ワシントンDCとボルチモアを結ぶ高速鉄道を、未来のリニア中央新幹線方式で受注できるよう、安倍首相まで熱心に働きかけています。

新幹線の課題

新幹線の歴史は古く、すでに50年以上も運行を続けてきました。でも、自国に高速鉄道を走らせているのは日本だけではありません。欧州ではドイツフランスが、長きにわたって、独自の高速鉄道網を整備。そして、このところ急速に成長しているのは、中国でしょう。特に中国は、単に自国内での整備にとどまらず、日本を抜き去って、海外でも高速鉄道計画の受注に次々と成功する勢いですよ。

現在、日本が他国に勝る強みとして新幹線を売り込んでいるポイントは、これまで100億を超える乗客を運びながら、走行に絡む事故で死亡した人がゼロという、高い安全性です。あの未曾有の大災害となった東日本大震災のときでさえ、緊急停止ブレーキが作動し、地震の大きな揺れで壊滅的な被害をこうむる前に、新幹線を安全に停止させることができました。この技術は、地震の多いカリフォルニア州などでも、大いに威力を発揮するはず……。

ただし、この優れた安全性能は、単に新幹線方式で高速鉄道網を整備すれば、それだけで同じように安全な輸送システムが整うわけではないのが難点ともされています。例えば、新幹線は安全で信頼できる交通機関の証拠として、まさに秒単位での遅れしかない運行記録を誇ってはきました。でも、同じシステムでも、日本人以外が運用すれば、こんな緻密な運行状態にはならないかもしれません。そうすると、日本国内と同じように安全な新幹線を、外国でも走らせるためには、どれだけ輸出先での運行に関わる人々にも努力と鍛錬が求められることか?

建設事業にお金がかかるだけではなく、完成後の運用にも、多大の資金が必要になることは目に見えています。そこまで膨大な犠牲を払ってまで、たとえ高速で安全でも、新幹線を自国に導入する必要があるのでしょうか? いま新幹線を輸入しようとしている国では、同時にこうした反対論も活発に展開されていますよ。技術面のみならず、運用面も含めて、やはり新幹線は日本の特殊な高速鉄道の域を出づらいのかもしれません。そんな壁を超えてでも、広く世界を走る新幹線になっていってほしいものですけどね~。

Bryan Lufkin - Gizmodo US[原文

(湯木進悟)