雪を乗り越えマシンガンをぶっ放す! ロシアで発展した武装スノーモービルの華麗なる歴史...

2016.01.18 20:40
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この記事は2011年1月8日に掲載したものです。


これなくしては現代のロシアの繁栄はなかったとも...。

大雪で交通が麻痺した大変な正月休みだったという人も多かったかもしれませんが、国土の大半が厳しい冬の寒さに見舞われるロシアでは、たとえドカ雪でもものともせずに突き進む、すさまじい雪上装備マシンの数々が旧ソビエト連邦時代から世界で最も発達してきたのをご存知でしょうか? う~む、普段は不要ですけど、日本でも豪雪地帯では無性に欲しくなっちゃうかもしれませんね。

いまでは最新鋭の軍備としての意味合いは薄れ、チャレンジングな自然環境でも越えていく貴重な日々の生活の輸送手段として発展を遂げているそうですが、以前はマジで最前線の殺りく兵器として進化した知られざるスキーやスノーモービルの改良マシンの歴史を、寒い冬ですし今回は大特集してみることにしました。隣国のロシアの恐ろしい底力も伝わってくるかもしれないですよ。張りぼての戦車やミサイルまで駆使するロシアですが、そのパワーは決して見くびることなかれですぞよ!


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まるでSFの世界から飛び出したかのような武装スノーモービルの歴史ですが、これはれっきとした現実の記録です。しかもその始まりはなんとも単純なショボくも見える試作機に過ぎませんでした。こんなふうにむき出しの古い飛行機エンジンとプロペラのセットにスキーを履かせただけのアイディアからのスタートでしたからね。しかも肝心の雪上駆動部を担うスキーセットなどの大半は木製だったため、とてもじゃないけどタフな戦闘環境に使用することはかないませんでしたよ。


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時代が進み、なんとなく近代的な乗り物の形を呈してはきたものの、あくまでも完成したマシンは輸送手段として用いられる程度でしたね。雪上でもスイスイと荷物を運べる貴重な兵站の後方支援用マシンとして、あるいは高速移動のメリットを活かした連絡通信手段の一環で古くからプロペラ式のスノーモービルが活躍していたみたいですよ。

ちなみにこうした改良スノーモービルは、実は自動車を製造するよりも簡単で安価に済むので人気を博したそうですね。雪上を最高時速50kmでぶっ飛ばせる性能を、かなり早くから備えたとされています。しかしながら、冬の寒さが厳しいロシアならではの必然性から、世界でも他に例を見ないスピードで発展していった雪の上の高速移動手段に軍が目を付けて、恐怖の武装化を遂げるのもまさに時間の問題でしたが...。


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歴史をさかのぼってみますと、早くはロシア革命の成功直後から、政府から特命を帯びた開発エンジニアリングチームが結成され、戦闘とは直接的に関係がない輸送手段レベルでしかなかった雪上マシンを、バリバリと前線で戦えるタフな仕様にすべく日夜研究が重ねられたそうですよ。

そして誕生したのが「AEROSLEDS」なる特殊なスノーモービルでした! これまでの木造が主流だったデザインから一転して、頑強なアルミボディーに生まれ変わり、エンジンはFIATから供給を受けた初期のモデルが誕生です。どんどんと重装備化を遂げて大型のマシンガンを搭載し、第2次世界大戦中には、このAEROSLEDSが戦場の各地を飛び回り、雪に苦しむ敵を襲ってはソ連軍の戦闘を大いに助けた功績があったからこそ、最終的なソ連軍の勝利に導かれたという経緯まであるみたいですね。


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とはいえ、最も普及したのは、雪の上を軽快に移動していくスノーモービルの特性を最大限に引き出せる特攻モデルだったそうです。一時は戦車にも匹敵するような鋼鉄で固めた重装備が目指されもしましたが、やはり機動性を犠牲にしてはもったいないので、ボディーを重くするメタルパーツは最小限に抑え、雪上を高速で動き回っては攻撃を仕かけるスタイルが好まれるようになっていきましたよ。


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武装スノーモービルの発展の歴史を振り返りながら、ロシアならではの特別な事情も存在したことが語られるようになっています。世界の他の場所では、まさに目ざましい勢いで自動車やトラックが普及して一般大衆にも恩恵が及ぶようになっていきましたが、長い冬に雪で閉ざされ、それゆえに道路の整備も思うように進まなかった旧ソビエト連邦領内では、まず自国を守るためにも軍によるスノーモービルの積極使用を急速に進めざるを得なかったというのが実情でもあったみたいですね~


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しかしながら、早くからスノーモービルの軍用化を進めていたおかげで、本当に国が守られる結果ともなりましたよ。だって、ドイツ軍がソビエト連邦領内に奥深く進行してきた時も、兵士にスキーを履かせては武器を使用させるスタイルでてこずるドイツ軍を目の前に、次々と果敢に武装スノーモービルで接近しては撃退する作戦が大いに功を奏したと言われています。

この軽装備では、とても戦車部隊なんかと正面から向き合うことはできませんから、ソ連軍は急襲突撃目的に絞って、一気にピンポイントで武装スノーモービルを投入する作戦を多用したそうですね。ただし、より戦車に近いような重装備のスノーモービルも大戦末期には前線へと投入され、ちょっとやそっとでは撃退されない厚さの鋼板で身を固め、大口径のマシンガンをぶっ放しては雪上を移動しつつドイツ軍を圧倒し、押し返していったことも伝説として語り伝えられていますよ。


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しかしながら、20世紀後半には、より実用的な「DT-LP」シリーズの輸送車が全盛期を迎える時代となり、華々しい活躍を遂げたAEROSLEDSも、歴史の舞台からはひっそりと引退していくことになりました。DT-LPの最終モデルでは、AEROSLEDSのような機動性は薄れてしまいましたが、何トンもの巨大な荷物をマイナス50度の苛酷な環境でも最高時速50kmで走行して輸送できる性能を備えたとされ、たとえ前方に丘や川があったとしても構わず乗り越えていき、1度の航続距離は500kmを超える最強仕様を実現するに至りましたよ!

ただ、いまでも少なからぬロシアの人々の胸には、あの古き良きAEROSLEDSの栄光の思い出が熱く焼きついてもいるんだそうです。その技術が後代にも確実に継承されたことでしょうしね。より一般大衆向けの「Pobeda」自動車にプロペラを搭載してスノーモービル仕様に改良されたバージョンが有名になった頃だってあったそうですが...


source: Jalopnik, English Russia, Military Today

(湯木進悟)

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