モノのインターネットに追い風。消費電力1万分の1の受動的Wi-Fiシステムが開発される

2016.02.26 13:00
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何かが発想の転換で1/10000になるって、あった?

もはやWi-Fiなしの生活なんて考えられません。ただ問題はWi-Fi接続って消費電力も馬鹿にできないんですよね。これから家電から何からあらゆるモノが色々なデバイスと相互につながるわけで。それら全てがWi-Fiでつながることを考えると電力消費が跳ね上がるのは目に見えています。

しかしワシントン大学の科学者たちは遥かに少ないエネルギーで稼働できる「受動的Wi-Fiシステム」なるものを開発したようです。

「受動的Wi-Fi」は、標準的なWi-Fiシステムと比べて約1万分の1の電力消費量。エネルギー消費の少ないBluetooth LEやZigbeeなどと比べても1000分の1になるとか。理論としては前から提唱されていたものの、実証されたのは初めてとなります。

数字だけですごいのは分かります...やっぱり気になるのはその仕組み。

私たちの持っているデバイスの中にはWi-Fiとつながるためのチップが含まれています。

一般的なWi-Fiチップにはデジタル・ベースバンドアナログRF回路の2つが存在します。デジタル・ベースバンドの方はここ20年ほど、ムーアの法則に従って圧倒的にエネルギー効率がよくなりました。しかしアナログRF回路はまだまだエネルギーを大量に消費するんですね。

そこで研究者チームが考えたのは、Wi-FiチップからアナログRF回路を取り外した受動デバイスを作ること。そうすることで受動デバイス内にはエネルギー効率の良いデジタル・ベースバンドだけが残ることになります。今回開発された受動デバイスのデジタル・ベースバンドは受け取ったRF信号を選択的に反射することでWi-Fiパケットを作って送りだすことができるそう。

RF回路を持たずに、スマートフォンやタブレットなどにちゃんとWi-Fiパケットを送れるデバイス。モノのインターネットがますます加速していく中、これはかなりの朗報じゃないでしょうか。現時点では11Mbpsの速度が達成されているそうです。消費電力は16〜60μW(マイクロワット)。

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大学のキャンパスで試験的に運用してみたところ、問題なく既存のスマートフォンなどと連動できたそうです。しかもこの受動デバイスからのデータが届く範囲は30メートルにも及んだとか。こちらの研究チームによる動画では日常の周りにあるあらゆる物がWi-Fiデータを気軽にあなたのスマートフォンに送信できるようになる!と言っています。



消費電力がすっごく小さいということは、小さなバッテリーを付けるだけであらゆる物がモノのインターネットになれるということ。コーヒー、砂糖、キッチンペーパー...スマホで残量や現状を知ることができる物が一気に増えるかもしれません。

研究は全米科学財団、ワシントン大学、クワルコムにより資金援助されました。来月のUSENIX「ネットワーク化されたシステムのデザインと実施に関するシンポジウム」で結果が発表されるそうです。おそらく我々の身の回りで実用化されるにはまだ時間がかかるでしょうが、モノのインターネット時代に最適な研究ですね。


Image by University of Washington YouTube
source: University of Washington via Phys.org

Bryan Lufkin - Gizmodo US[原文
(塚本 紺)

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