血管新生できる耳、3Dバイオプリントできました

2016.02.17 12:30
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移植に耐える強度の部位をなんでも再生できる3Dバイオプリンター、できました。 とりあえずアゴの骨、筋肉、軟骨、耳をプリントしてみたんですけど、ラットに移植後もピンピンしているそうですよ?

ウェイク・フォレスト再生医療研究所のアンソニー・アタラ医師率いるチームが10年近くかけて開発したもの。名前は「Integrated Tissue and Organ Printing System(ITOP)」といいます。

臨床で安全性が確かめられれば、ケガや病気の部位に移植用パーツをつくることができます。デザインはコンピュータで行うので、各患者個別のニーズに合わせて再生が可能。すごいですね。このブレイクスルーの成果はNature Biotechnologyに掲載中です。


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工程は通常の3Dプリンターと同じで、1枚1枚のレイヤーを積み上げていくんですけど、プラスティック、樹脂、金属の代わりに、生体適合性に優れたバイオマテリアル(生体材料)を使うのが違い。

ただ既存のバイオプリンターはサイズと強度の調整が難点で、弱すぎたり構造が不安定で移植には不向きでした。しかも血管や脈管構造といった繊細なものはプリントが難しいという問題も。血管がないと、細胞に必要な栄養や酸素を行き渡らせることもできません。

「細胞は血管抜きにサバイブすることはできない。サバイブできる距離は200ミクロンが限界。これはプリンティングだけでなく、自然界でもそうなんだ」と、アタラ医師はギズの取材に答えてますよ。この血管確保の問題が、バイオプリンティング技術の実現に立ちはだかる「限界要因」だったのだといいます。


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こうした弱点をひとつひとつ片付けたのが、こちらの新システム。生分解性プラスチック(ポリマー)風素材を型に使い、そこに含水ゲル(細胞に毒にならない)で細胞を分配し、製造工程の型くずれを防ぎます。また、デザインにマイクロチャネル(微小流路)を組み込むことで、栄養と酸素がどの細胞にも行き渡るようにし、サイズの限界の問題も解消しました。

「要は毛細血管床の働きをする毛細血管を再生したのさ」とアタラ医師。


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3Dプリントしたバイオパーツは、生きた動物で何度も実験を重ねてきました。人間の耳と同じ大きさの耳複数は、マウスの皮膚の下に移植してみたんですが、2ヶ月置いても形状は元のままで、軟骨組織と血管が形成されてたんだそうですよ? ひょえー!!!!

3Dプリントした筋肉細胞はラットに移植しました。耳と同じく、こちらも構造は元のまま維持できました。

アゴの骨のかけら。これは幹細胞を使って再生し、ラットに移植しました。5ヶ月置いて確かめたら、血管が新生された骨組織がきちんとできあがっていたんだそうな。これなら将来、3Dプリントの骨をつかって顔の形成手術もできるねって話ですよ?


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3ヶ月後。3Dプリントの耳に血管新生が確認された


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3Dプリントされた筋肉の免疫蛍光の画像。初日、3日目、その7日後


チームが3Dプリントした組織は見たところサイズ、強度、機能ともに人間の使用に耐えうるものだ、と医師。新システムではどんな形状でも構造的に安定した部位を、患者のニーズに合わせてコンピュータでモデリングできます。

安全性と効果が確かめられたら次は人体の臨床実験ですが、「安全性は現在確認中。まだまだやることが山なので、もうしばらく時間はかかりそうだ」(医師)とのこと。いやーうまくいくといいですね!


image: Credit: Wake Forest Institute for Regenerative Medicine
source: Nature Biotechnology

George Dvorsky - Gizmodo US[原文
(satomi) 

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