アップルのクックCEOが社内メモ、FBIバトル解決を政府の委員会に求める

2016.02.24 11:05
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

160224_cookmemo1.jpg


長い戦いになりそうです。

アップルがFBIからのiPhoneロック解除要請を拒否している問題で、同社のティム・クックCEOは、米国政府に委員会を設置してもらい、そこで解決することを期待しているようです。

クック氏は社員に対しメモを送り、BuzzFeedがそれを入手しました。そこには、暗号化の議論に関するアップルのスタンスがわかりやすい言葉で書かれています。クック氏は、今回の政府の命令が単にサンバーナーディーノのテロ犯の捜査以上の意味があると主張しています。「この件は、1台のスマートフォン、1事件の捜査以上のものになっており、政府からの命令を受け取ったときには、声を上げる必要があるとわかっていました」と彼は言っています。「ここには、法を順守する数億人の人のデータの安全性、そしてあらゆる人の人権を脅かす危険な前例となるかどうかがかかっているのです。」

そのメモではまた、アップルのWebサイトにポストされた顧客向けのFAQについても触れられています。そのFAQでは、FBIがいかにアップルに対し「セキュリティ機能を削除し、OSにiPhoneの暗号化を攻撃する能力を付加すること」を求めているかを説明しています。FBIはアップルに対し、セキュリティ機能を削除した特殊なiOSを作るよう求めていて、それはどんなiPhoneでもアンロックできる道具、マスターキーを作り出すということになります。このFAQではまた、アップルが命令を拒否しているのは「それによって政府の力を拡大するような法的前例になる」からだと言っています。

ただし政府側にも言い分があるようです。2月21日の夜、国防ブログLawfareの記事で、FBIのジェームズ・コミー長官が声を上げました。彼は「前例を作ろうとか、何らかのメッセージを送ろうとかいうことではない」と言っています。いわく、

我々はただ、捜査令状でもって、iPhoneが壊れたり何年もかかったりすることなく、テロリストのパスコードを推測できるチャンスを手に入れたいのです。(注:iOSには、パスコードを10回続けて間違えたらデータを消去する設定とか、次にパスコード入力できるようになるまで時間を開けなくてはならない仕様といったセキュリティ機能があります。FBIはアップルに対し、それらの機能をなくしたiOSを作り、パスコードの総当りができる状態にするよう要求しています。)それだけです。我々は誰かの暗号を解読しようとか、マスターキーを出回らせようといったことは考えていません

というわけで、今は「言った・言わない」みたいな状況です。クック氏が社員向けメモで書いているように、政府の委員会を作るという考えは議会でも議論されています。アップルもFBIもお互いにあっちが悪いと言い合う膠着状態なので、第三者的立場のパネルを作るのは事態打開のためのひとつの手ではないでしょうか。

それでも、このバトルはまだまだ続きそうですが…とりあえず、クック氏のメモを以下に貼っておきますね。



チームのみなさん、

先週、我々は顧客や米国全体の人々に対し、我が国が直面する重要な問題についての公的な議論に参加するよう呼びかけました。そのレター以来、私は自分が聞いたり読んだりした考えや議論、そして全米からのあふれるような支持に感謝しています。

我々は個人としても企業としても、テロリストに対し許容も共感もしません。彼らがサンバーナーディーノで起こした悲惨なテロのような言葉を失うほどの事件を起こすとき、我々は当局による被害者のための正義追求を助けるべく働きます。そしてこの件でも、我々はまさにそれをしていたのです。

この事件は、1台のスマートフォン、1事件の捜査以上のものになっており、政府からの命令を受け取ったときには、声を上げる必要があるとわかっていました。ここには、法を順守する数億人の人のデータの安全性、そしてあらゆる人の人権を脅かす危険な前例となるかどうかがかかっているのです。

みなさん知っての通り、我々は暗号化によって顧客を保護し、顧客のデータを囲い込んでいます。我々はあらゆるソフトウェアリリースにおいてセキュリティを改善すべく努力しています。なぜなら脅威はつねにより頻繁になり、より洗練されていくからです。

政府の命令を支持する人たちの中には、データ保護を2013年9月にリリースしたiOS 7にまで戻すよう求めている人もいます。iOS 8以降、我々はiPhone自体もユーザーのパスコードなしでは読めないようにデータを暗号化するようになりました。このためもしiPhoneが紛失されたり盗まれたりしても、我々の個人データや会話も、金融や健康の情報も、はるかに安全になったのです。我々はみんな、その進歩に関して時計を逆戻りさせることはひどい考えだと知っています。

我々の仲間である市民のみなさんも、そのことを知っているのです。先週ずっと、私は全米50州の数千の人たちからメッセージを受け取り続け、圧倒的多数の人は強い支持を表明していました。ある13歳のアプリデベロッパーは、我々が「未来の世代すべて」のために立ち上がったことに感謝してくれました。30歳の退役軍人は「私の自由と同じく、私はつねに私のプライバシーを宝だと考えている」と言っていました。

社員の皆さんからも多くの声を聞き、その支持にとても感謝しています。

多くの人がまだこの件について疑問を持っていて、我々はぜひその人たちに事実を理解していただきたいと考えています。そこで我々は、apple.com/customer-letter/answers/に疑問への答えをポストし、この件についてより多くの情報を提供しています。みなさんもぜひ読んでください。

アップルは他でもない米国の企業です。政府が保護するはずの自由(freedoms and liberties)を中心とした事件において、政府と反対の側にいることが正しいとは感じていません。

我々の国はつねに、我々が結束するときにもっとも強くなってきました。我々が考える前進するための最善の道は、議会の一部で提案されたように、政府が全令状法に基づく要請を引き下げ、委員会または他の諜報や技術、人権に関する専門家のパネルを作り、法執行や国防、プライバシー、個人の自由に対する意味を議論することだと感じています。アップルはそのような取り組みには喜んで参加したいです。

人々はアップルがデータの安全を守るものと信じており、そのデータはあらゆる人の生活の中でますます重要な部分を占めつつあります。みなさんはそのデータを、我々が製品の中に作りこんだ機能によって保護するという素晴らしい仕事をしてくれています。どうもありがとう。


ティム


source: AppleBuzzFeedLawfare

Adam Clark Estes-Gizmodo US[原文
(miho)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
・関連メディア