NY市警察、iPhoneロック解除問題は前例になると認める

2016.02.25 13:00
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FBIは「この事件だけだから!」って言ってたのですが…。

アップルとFBIが、米国サンバーナーディーノで起きたテロの犯人が所有していたiPhoneのロック解除をめぐってバトル中です。FBIはアップルに対し、iPhoneのロック解除を簡単にできる特殊なiOSを作るよう要請し、「これを前例にしようという意図はない」と主張していました。それに対しアップルのティム・クックCEOは、「この事件は1台のスマートフォン、1事件の捜査以上のもの」であるとして、政府の要求に抵抗しています。

でも、ニューヨーク市警察のトップがニューヨーク・タイムズに寄稿した記事では、やっぱり「この争いの結果はサンバーナーディーノを超えて影響する」と認めています。記事を執筆したのは、ニューヨーク市警察委員長のウィリアム・ブラットン氏と、諜報・テロ対策委員のジェームズ・J・ミラー氏です。

ブラットン氏らに言わせれば、政府が要求しているのは「17ヵ月前」までは使えたキーを取り戻したいということに尽きます。17ヵ月前というのは、アップルがiOSをアップデートし、アップル自身もユーザーの暗号化されたデータを読み取れなくした時点を指しています。

政府側が「前はできたんだから今もできるでしょ」と思っているのは想像がつきます。でもiOS 9になった今、以前と同じ状態を実現するために政府が要求しているのは、犯罪捜査用のiOSを作ることなのです。アップルは、政府にはアップルすら持っていないものを要求しうる、企業に対してソフトウェアへの裏口を作るよう強制しうるという考え方に抵抗しているのです。そして今回アップルが政府に従ったら、今後他のテック企業も政府のためにセキュリティをゆるめるのが当然になると懸念しているのです。

たしかに、この件が前例になるのは間違いない、というかもうなりつつあります。ウォールストリート・ジャーナルによれば、司法省はすでに他のiPhone約12台についても裁判所命令を出そうとしています。

ただ、アップルが政府向けにiOSを作らなかったとしてもiPhoneからデータを取り出す方法が他にまったくないわけではありません。FBIの考え方は、たとえば家宅捜索するときに家のカギがかかっていたら、ドアを壊すよりもカギメーカーにマスターキーを作らせた方が簡単、ということなんです。

たしかに犯罪捜査がしやすくなるのは良いことのように聞こえますが、今存在しないマスターキーができてしまえば、そのために我々のiPhoneのセキュリティレベルは下がってしまいます。政府はその点を我々にきちんと説明していません。誰だってテロリストを逃したいとは思っていませんが、「アップルが政府に従わなければ、テロリストの勝利」みたいな論調はフェアじゃありません。

「Androidシステムを所有するグーグルは、アップルに追随する意志を示している」とブラットン氏らは書いています。「彼らや同様の企業にとっては、間接的にであっても、政府の一部門にはなりたくないという健全な議論がある。しかし2社合計で世界のモバイル通信の90%以上を扱う企業であれば、ただ売る以上の責任を負うべきだ。」

アップルにもグーグルにも、売る以上の責任があるのはたしかにわかります。でも、彼らがユーザーの安全のために講じた策を無効にしてまで警察の仕事を楽にしなきゃいけないという考え方は、行き過ぎなんじゃないでしょうか。


Kate Knibbs-Gizmodo US[原文
(miho)

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