グーグル、イスラム国の参加希望者にカウンター広告を見せる

2016.02.08 16:00
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どういう基準で表示するのか明確じゃないと、人種差別とか言われそう。

対イスラム国対策に力を入れているように見せるため、テック企業は次々と変わった手段を講じ始めています。その最新の一例は、原理主義関連のコンテンツを検索すると表示される、グーグルの対テロ広告です。

グーグルの役員であるAnthony House氏はThe Telegraphに対し、原理主義のコンテンツを検索した際に行なわれるカウンタープログラムの2つのパイロット版を紹介しました。


まず1つは、より平和主義な考え方のコンテンツが検索に引っかかりやすくなること。そしてもう1つは、そういった危険な思想を検索すると、それに対抗する思想を説明するコンテンツも表示されるようにすることです。


では、これによってサーチエンジンはどう変わるのでしょうか? グーグルはテロリズムに関する検索結果を隠すわけではありませんが、「暴力はダメ! ゼッタイ! 」的な広告を一緒に表示するのです。

「『イスラム国に参加』などの検索に対し、効果的なカウンター広告を表示するため、NGO団体などにグーグルアドワーズ助成金を提示します」とグーグルのスポークスマンは米Gizmodoに説明しました。

しかし、色々な意味でこの計画は奇妙です。まず、「イスラム国に参加」以外のどんな検索でこのカウンター広告が表示されるのか不透明です。もっと曖昧な、「ホットなイスラム国の若者」とか「ダーイッシュは良い? 」とかでも同じようになるのでしょうか? そして、これが行われるのはイスラム国を希望する人だけなのでしょうか? ほかのマイナーで、あまりトレンディーではないテロ組織に対しては行なわないのでしょうか?

また、もしテロリストのなり方を何度も検索していたら、グーグルにマークされるのでしょうか? あるいは警察関係に情報を提供するのでしょうか?

米GizmodoのKate Knibbs記者はグーグルにこれらの質問を投げかけてみましたが、専門用語だらけの定型文が返ってきました。

同時にKate記者は、単純に情報収集をしている(Kate記者みたいな)人と犯罪を計画している人を区別する機能があるのかも質問しました。というのも、彼女はそういった機能があるかもと考えて試してみたのです。

結果、彼女はプログラムの対象とならなかったようです。


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言い訳が不可能な「イスラム国に入りたい」でもカウンター広告は現れず


このプログラムは、「自殺」を検索すると自殺対策ホットラインの番号が現れるようにする取り組みと非常に近いものです。しかし、この2つには大きな違いがあります。自殺するというのはつまり死ぬということで、そこにはグレーゾーンも何もなく、ただ死という現実のみが存在します。しかし、過激化するというのはより曖昧で主観的で、生か死かという簡単な話ではないのです。

「イスラム国に参加」というグーグルの例えは、あくまでイスラム国のみを標的にしていますが、ではほかに適用されるグループはあるのでしょうか? 特定のグループに参加するのを防ぐために、表示される広告を変える権限をほかの団体に与えるというのは、どれだけそのグループが憎らしくても、あからさまに政略的です。グーグルから見たユーザーのイデオロギーを元に、検索結果を調整することが可能であるという前例を作ってしまう、非常に大きな一歩なのです。つまり、グーグルは検索を通してユーザーが何をしようとしているのかを推測したいという意思があり、検索次第では犯罪を犯す意図をも読み取りたいという意思があるということです。いずれはマイノリティーリポートみたいに、検索結果を理由に突然警察が踏み込んできたりして…?


image by INTUIT PHOTOGRAPHY / Shutterstock.com

Kate Knibbs - Gizmodo US [原文]
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