コペンハーゲンでは洪水を避けるため、貯水池にもなる広場を建設中

コペンハーゲンでは洪水を避けるため、貯水池にもなる広場を建設中 1

雨ニモ負ケズ。洪水ニモ負ケズ。 

コペンハーゲンのとある公園では、気候によって役割が変わる広場を建設中です。上の画像は、市内にあるEnghaveparkenの改修工事後の姿。園内の広場は晴れた日にはスポーツを楽しむスペースとして活用され、大雨の時には洪水が起きるのを防ぐために雨水を溜めておける貯水池となるのです。

改修によって、大量の雨水を溜められるような貯水槽が地中に設置され、さらに地下水をろ過して園内の花壇に水を供給するための土手もできるとのこと。1920年代に設立された公園がこのような改修を行うのには、とある理由があります。

その理由というのが、気候変動への適応です。この先増えるであろう豪雨とそれに伴う洪水に備えて、コペンハーゲン市は新たな街づくりを進めています。同市が取り組む気候変動に適応した地域づくりは雨水や洪水への対策のみならず、ひいては市民の生活の質の向上にも繋がるとか。

デンマークの首都コペンハーゲンは、2011年と2014年の2度にわたってひどい洪水に見舞われました。激しい豪雨の降水量に対して下水処理システムが追い付かなかった結果、地上に雨水が氾濫してしまったのです。気候変動に関する政府間パネルの予想によると、デンマークでは今後そのような激しい豪雨の頻度が増えるとか。さらに、コペンハーゲン周辺の海面は100年後には1.6mも上昇する可能性があるというリサーチ結果もでています。

このような状況から、市内のサンクト・ケル地区周辺を豪雨や洪水を乗り越え、歓迎できるような地域、つまり世界初の気候変動に適応する地域にしようという計画が動いています。この計画の基となるビジョンを設計したのは、同市を拠点とするランドスケープデザイン事務所Tredje Natur。同事務所の設立者であるFlemming Rafn Thomsen氏は、これを気候変動への適応という仕事によって、マイナスに思えるものがどのようにしてプラスに変わるのかを示す良い例だとして、「我々はコペンハーゲンを自然、都市部の生物そして人間とが適切なバランスで融合できるハイブリッドな都市だと思っている」と述べています。

ロッテルダムやフィラデルフィアなど水と共存する方法を模索している他都市のように、コペンハーゲンの進める計画も大規模です。洪水が起きるのを防ぐために大量の雨水を港へ排出するには2つの方法がありました。1つは、既存の下水処理システムを拡張して、地中に埋まる下水パイプを使って雨水を一気に流し出すというもの。2つ目は公共スペースや舗道といった地上のインフラに工夫を施して、雨水を排出するというもの。同市は、主に後者の方法で気候変動に適応する計画を採択したのです。

冒頭のEnghaveparkenのように、園内にあらかじめ雨水を溜められるスペースを作る、あるいは道の両端に高低差を設けることで大雨時の水路を作るなど、この方法は雨が降っていなくてもその場所に価値をもたらすことを目標にしています。

コスト面からみても、このように地域内の道路の一本一本に至るまで活用する方法にかかる費用は13億ドル(約1555億円)、前述の下水処理システムを拡張する方法でかかる費用の約半額になります。さらに、なんの対処もしなかった場合、コペンハーゲンが今後100年以内にこうむる洪水の損害は23億ドル(約2750億円)に及ぶと推定されているので、オランダのシンクタンクSustainiaいわくこの方法は「経済的にも生活の質を向上するといった点からも、良い投資」なんだとか。

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気候変動に適応する地域第一号として開発されたのが、画像のTåsinge Plads。雨水が流れるように傾斜を持ち、三角形の庭園は雨水を溜められるように道路よりも低く作られています。雨水が溜まった時には、庭園を横切るように作られた歩道が水上に架かる橋のように見えるのです。右下にある傘を逆さまにしたようなオブジェは、庭園の水やり用に雨水を集めるためのもの。このように安全を保ちながら雨水を港に流せる水路の整備、そして活用するための仕掛けが広場のいたるところにあるのです。

コペンハーゲンでは今後20年かけて、このような改修を行っていくそうですよ。

このプロジェクトにより、市には1万3000人分もの雇用が生まれます。気候変動の脅威から居住者を守るだけでなく、生活の質の向上などのメリットもある。どれも、地下に新しい下水パイプを導入するだけじゃ得ることのできないメリットばかりです。

source: Citylab

(たもり)