“盗撮”されたというネフェルティティ胸像の3Dスキャンデータ、真偽はかなり怪しい

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真偽はいかに?

先月末に話題になった「ネフェルティティの胸像、美術館が知らないうちに3Dスキャンされデータが公開される」というニュース。使用したのがマイクロソフト・キネクトであった点、データが非常に精密であった点から多くの人を驚かせたわけです。しかしどうも美術館に入ってキネクトで隠しスキャンをした、というのはかーなーり怪しいようです。

マルチメディア・アーティストであり3DプリントのコンサルタントでもあるCosmo Wenmanさんはこの件について調べた専門家の一人。以下のように述べています

私は2月19日に、Hyperallergicで初めてこの話が報道された時に、それについて読みました。そして私もすぐに怪しいと思ったのです。(3Dスキャンをした)アーティストたちが公開した(ネフェルティティ胸像の)モデルのクオリティはとても高いものでした。ですから、これは美術館による未公開のスキャンデータであるか、彼らがクオリティの高いレプリカをスキャンして、オリジナルをスキャンしたと主張しているかのどちらかだと最初考えました。

ネフェルティティのレプリカで一番高品質な物はどこにあるのか探し始めて、すぐにこの2つの説が互いにつながるということに気づきました。私が探したところ、辿り着いたのは美術館自体が持っている胸像のレプリカ、そして美術館による3Dスキャンでした。私が見つけたのはドイツのスキャン会社であるTrigonArtでした。その会社はベルリン新博物館のためにネフェルティティの高品質スキャンを行ったということです。

正当なことですがTrigonArtは彼らの仕事を誇りに思っており、彼らのウェブサイトに行くと彼らが新博物館のために作ったネフェルティティのスキャンが360度回転でき、ズームもできるページが見つかります。是非みなさんも直接見てみて、件のアーティストたちのスキャンと比べて見てください。制限のあるプレビューですら、フルスクリーンにしてズームインしてみると、超極細のサブミリメータのディテールに至るまで、アーティストたちが公開したモデルと完璧に一致しているように見えるのが分かるかと思います。

と、このスキャンが非常に似通っている点以外にも、Wenmanさんがもう一つ重要なポイントを述べています。

この話がセンセーションとなった背景にはNew York Timesといった大手の新聞社たちもそれを報じたことがあります。しかしNew York Timesが記事を出す4日前の2月26日、隠し3Dスキャンをしたというアーティストの一人Jan Nikolai Nellesさん自身が出演しているインタビュー映像がYouTube上にアップロードされているんです。

3Dのスキャン、プリント、デザイン全般に関するビデオを公開しているこちらのYouTubeチャンネル「All Things 3D」では、Nellesさん自身が登場し、今回のベルリン新博物館での隠しスキャンについて語っています。

このビデオの中でNellesさんは「本当にキネクトでスキャンしたのか?」と単刀直入に質問されています。Nellesさんは「キネクトでスキャンした」と答えるものの、All Things 3DのMike BalzerさんとChris Kopackさんは「キネクトにここまでのスキャンをする性能はない」とかなり疑問なよう。さらにこのインタビューの中で、なんとNellesさんは「自分がしたスキャンの方法が有効か自分でも保証することはできないと言っているんです!

どういうことか? Wenmanさんの説明を読んでみましょう。

Nellesは完全にテクノロジーに疎い人のようで、匿名のパートナーが装置を彼に渡し、使い方を説明したと(All Things 3Dのインタビューの中で)言っています。博物館で隠れてスキャンをした後、Nellesはデバイスをこの匿名のパートナーに渡し、処理はこの人物がしたと言っています。また匿名のパートナーが渡してきたモデルのクオリティにNelles自身も驚いた、と語っています。Nellesの説明によると、彼はデータを使って何が行われたか全く理解しておらず、ただ単にこの匿名のパートナーによって渡されたモデルを運んでいただけということになります。この匿名のパートナーはそれ以来、ヨーロッパから離れているそうです。

あやしすぎるー!!

多くの専門家たちがキネクトの性能でここまでのモデルを作るのは無理だ、と言っています。この記事を書いたWenmanさんもこのモデルがキネクトによって3Dスキャンされたものではないと考えています。

この「匿名のパートナー」にNellesさんたちが騙されたのか、それか別ルートで入手したモデルだということをNellesさんたちも知りながらキネクトでスキャンしたとウソをつき隠しているのか、どちらかの線が濃厚なようです。

Wenmanさんの調査と推測、とっても説得力があります。博物館はNellesさんたちが公開したモデルと美術館のデータを比較することはしないと言っているようですが、真実が明かされることはあるのでしょうか…。

Kate Knibbs - Gizmodo US[原文

(塚本 紺)