宇宙誕生直後の重力波を追う、南極のBICEP3が始動

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2014年のぬか喜びを越えて。

先日、米国の大学によるプロジェクト「LIGO」が重力波の直接検出に成功したと発表し、地球は歓喜に沸きました。が、重力波検出を試みてきたのはLIGOだけではありません。米国やカナダの大学を中心に組織され、南極に観測装置を置くプロジェクト「BICEP」でも、LIGOとは違うアプローチで重力波の存在に迫り続けています。

2014年、BICEPの2代目プロジェクトであるBICEP2の研究者たちが重力波を裏付けるものを見つけたと発表しましたが、その主張は間もなく否定されました。彼らが「発見」したデータは、重力波でなく宇宙塵によるものだったことがわかったのです。それでも彼らはあきらめることなく、先週ついにアップグレード版となるBICEP3でのデータ収集を開始しました。

BICEPは、LIGOが検知したようなブラックホールの合体によるものとは違うタイプの重力波を見つけようとしています。原初の宇宙の急速な膨張によって原始重力波が起こり、それが宇宙マイクロ波背景(CMB)にわずかな歪みを与えた、と考えられていて、BICEPはその歪みを検出しようとしているのです。以前ギズモードでは、このようにお伝えしました

一部の科学者たちは南極の米アムンゼン・スコット基地にあるBICEP2望遠鏡から得たデータを用いて、宇宙マイクロ波背景(CMB)から「Bモード偏光」とよばれる、宇宙形成時から残る放射パターンを発見したと発表しました。原始重力波によって発生したと言われているこの「Bモード偏光」は、予測はされていたものの実際に観測されたのは今回が初めてでした。

この発見は結局フライングだったのですが、だからってCMBから重力波の影響が見つけられないと決まったわけではありません。それに、BICEP3は新たな検知器や高解像度のカメラでアップグレードされ、BICEP2の10倍の性能があるとされています。また、「実質的に5セットのBICEP2をひとつの望遠鏡にまとめ、ふたつの補完的周波数で運用」されているケックアレイとも協力することで、検出精度をより高めようとしています。

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ケックアレイ。Credit: Christopher Michel/Flickr

「BICEP2の信号の、全部ではないにしろほぼすべてが、塵に起因するものでした」。BICEP3に携わるSLAC国立加速器研究所のZeeshan Ahmed氏はSymmetryで語っています。でも彼は、BICEP3については強い期待を表明しています。「より広い周波数帯があれば、CMBの信号を塵の信号から選り分けやすくなるのです」。Symmetryにも次のようにあり(強調は訳者)、期待を高めています。

BICEP2が見た天の川銀河の塵の種類は、シンプルだったようだ。というのは、ある周波数では他の周波数より大きく偏光させていて、それが予測可能だったからだ。塵の影響の小さい周波数では、重力波による偏光が浮き出てくるかもしれない。広い周波数帯全体をスキャンすることによってのみ、あらゆるマイクロ波の周波数帯における銀河の塵の正確なふるまいを知り、引いてはその影響を差し引くことができる。それが正しくできれば、影響を差し引いた後に残るものが、インフレーションによる重力波である可能性がある。

現在のデータ収集は今年11月まで終わらず、その後の分析にも数カ月かかります。それに前回ぬか喜びだったので、分析結果の検証も通常以上に入念にされるはずです。またそもそも、アップグレードした機器ですら、彼らが見つけようとしている歪みが小さすぎて見つからない可能性だってあります。うまくいくかどうかはまったくわかりませんが、三度目の正直を祈るばかりです。

source: Symmetry

Jennifer Ouellette-Gizmodo US[原文

(miho)