キツツキがあんなに頭を振り続けても頭痛を起こさないワケ

2016.03.01 15:00
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そう言われてみると、めちゃくちゃヘッドバンギングしてるけどフラフラになってない!

キツツキファンと材料科学ファンのみなさん、お待たせしました。マサチューセッツ工科大学(MIT)が、1日中木に頭を打ち付けているキツツキがなぜ脳の損傷を受けたり、頭痛にならないのかを動画でまとめました

どうしてキツツキが脳の損傷を受けずにつっつき続けられるかを説明してくれる動画シリーズ「Built To Peck: How Woodpeckers Avoid Brain Injury」にはMITの材料科学の教授Lorna Gibsonさんが出演しています。彼女は熱心な「バード・ウォッチャー」でもあります。「工学的な視点から、鳥たちの活動を観察してみたかったんです」とGibsonさん。Gibsonさんは、研究プロセスとして、まずハーバード大学の比較動物学博物館の何世紀にもさかのぼる標本を見てみました。



「頭を振ることで起こる脳への損傷」というトピックは、アメフト選手たちの脳しんとうや長期的な脳損傷への懸念が大きくなるにつれて、最近では科学的な研究の対象となってきています。このトピックに対してGibsonさんは楽しくて魅力的な答えをみつけました。「キツツキの熱狂的なつっつきというおもしろい観察をキッカケに、物理学や機械工学に少しだけ足を踏み入れて、それからもっと勉強してくれたらと思っています」とGibsonさんは話しています。


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キツツキの頭は衝撃を吸収するようになっている、というのが以前の研究でわかっています。オスのキツツキは1日に500〜600回1秒に18〜22回も木をつつきます。そして求愛シーズンにはその数が2倍に増えるそうです。減速力は1,200gで、ゆっくり減速すればするほど、衝撃は少なくなります。時間が長くなるとエネルギーが分散されて消費されるからです。

人間は100gの急な減速力で脳しんとうを起こします。では、キツツキは? 全然それくらいなら平気です。Scientific Americanに投稿された論文でこのように説明があります。


キツツキが慢性的な頭痛や深刻な脳しんとうにならない訳は、彼らの頭の構造がカギとなっています。「分厚い筋肉、スポンジのような骨、そして3つ目のまぶた」が一緒になって衝撃を吸収しているのです。そしてキツツキはまっすぐできれいな直線状のフォームで打ち付けるのです。特にくちばしは、硬さと弾力性の両方を兼ね備えています。普通、頭蓋骨にはスポンジ状の衝撃を吸収する骨がありますが、キツツキには頭蓋骨の後ろにhyloidと呼ばれるもう1つの弾力構造があるのです。この頭蓋骨の構造は、脳せき髄と合わせて振動を制御します。


このような研究は、携帯電話や飛行機のブラックボックスに内蔵されているマイクロ・エレクトロニクスを保護するためや、宇宙船が「宇宙に浮いているゴミ」にぶつかる時に保護してくれる衝撃吸収システムを開発するのに役立ちます。そして、キツツキと人間の頭の構造は解剖学的にかなり異なっているとはいえ、キツツキからアメフト選手の脳しんとうを防ぐためによりよいヘルメットをデザインすることだって考えられます。小さなキツツキの不思議には、人間の生活に役立つヒントがたくさん隠れているんですね。


source: MITx Media

Jennifer Ouellette - Gizmodo US[原文
(リョウコ)

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