素数の出方はランダムではなかった。1億個調べて浮かんだ奇妙な数

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数学者の最新研究で、素数の出方に驚くべきパターンがあり、従来は知られていなかった「バイアス」が働いていることが明らかになりました。

小4の算数(アメリカの場合。日本は中1)で習ったように、素数とは「その数と1でしか割れない数字」です。 2、3、5、7、11、13、17など。その出方は神出鬼没で予測不能。求める公式すらありません。

パターンが存在するかどうかも不可知なら、人類の数学者の叡智を結集してそれが解けるかどうかも不可知。ただ唯一、数学者の一致した見解は、「この素数がこれだから次の素数はこれ、という予測はできない。なぜならば、素数の出方はランダムだからだ」ということぐらいでした。

ところがこの「ランダムネス」の仮説をスタンフォード大学のKannan Soundararajan数学科教授とポスドク(博士研究員)のRobert Lemke Oliverさんが実証しようとしたら、なんとランダムネスすらも存在しなくて、その並び方には想定外のバイアスがあることが判明したのです。ニュー・サイエンティストが早速内容を報じてます。

ふたりが調べたのは最初の1億個の素数。この1億個で出方のランダムネスを調べてみたら、「1で終わる素数」の次がまた「1で終わる素数」になる確率はたったの18.5%だったのです。本当にランダムならこの確率は25%じゃないとおかしいですよね(素数の末尾はかならず1、3、7、9なので、確率は4つにひとつ)。「パターン」と呼ぶにはあまりにも弱い。でもさりとて100%ランダムでもない。なんなのだ、この18.5%という中途半端な数字は!!!!となった模様です。

試しにほかの数字でも調べてみました。「3」と「7」で終わる素数が連続して出る確率は30%、「9」で終わる素数が連続して出る確率は約22%でした。ここで重要なのは、この傾向は十進法とは無関係なこと。つまり素数それ自体に本来備わった属性なのです。

なぜそうなるのか? まったくもって理解不能です。その辺のことについてSoundararajan教授とLemke Oliver研究員は、古くからある「素数k組予想(k-tuple conjecture)」(双子素数、三つ子素数、四つ子以上の素数の出方に関する考察)とたぶん関連があるんじゃないか、と睨んでます。

…と言われてもサッパリわからないのでClearerThinking.org創設者の数学者Spencer Greenbergさんに取材してみたら、素数k組予想とは素数同士の近さを理解する試みなのだと教えてくれました。「というか、もっと正確に言うと、数が大きくなればなるほど、隣合った素数の幅はどうなるのかってことだね。それがだいぶ詳しくわかるのさ」。たとえば、数学者は「5つ等間隔で並んでる素数」とかも調べられるんだそうですよ? 素数k組予想とはいわば近くの素数を見つける際の「constraint(拘束)」の研究。今回の研究ではこの「拘束」で面白いことがわかった、ということですね、はい。

「数が大きくなっていくと、束縛は減っていって、末尾の数の配分も等分になっていくように思えますよね。だって素数はどんどんレアになっていくんだから」(Greenbergさん)。でもここで忘れちゃいけないのは素数は円周率πと同様、ものすごくランダムに見えるんだけど、実際はランダムでもなんでもないことです。「素数は数のもつ属性によって、カッチリ正確に決められている。単に人間がその出方を見ても、われわれの脳にはパターンが見えない、だからデタラメの狂気に見える、それだけの話なんでしょう」と語ってくれました。

いや~、今回の発見はかなりワクワクしてしまったのですが、双子素数予想、リーマン予想をはじめ、ほかの素数の研究のブレイクスルーになる研究ではないらしいです。というか、数学や数の定理の解明にはまったくなんの影響もないし、なんの用にも立たない発見とのことです。でも数学者Andrew Granvilleさんはニュー・サイエンティストにこう語ってますよ。

「これでさらに理解が深まった。どんな小さなことでも助かる。それまで当たり前と思っていたことが違うとわかれば、ほかの自分ではもうわかりきってると思ってることも考え直すきっかけになるからね」

source: New Scientist, Nature News

George Dvorsky - Gizmodo US[原文

(satomi)