立って仕事すると健康によい…に科学的根拠はなしか

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えぇっ、健康器具まで買ったのに…。

座ったまま仕事をするよりは、立ちながら仕事をこなすほうが生産性が上がるし、健康によいという話を耳にしたことがありませんか? あまり長い時間、座って仕事ばかりしていると寿命が縮まるなんて恐ろしい忠告を聞かされたことだってあったような~。

おかげでスタンディングスタイルのデスクスペースを用意するオフィスなども増えてきたそうですが、どうやらあまり効果は期待できないというのが現実のようですよ。ゆったりと仕事は快適に座れる環境で進めつつ、もっとほかのことに労力や時間を使ったほうが、よっぽど健康的な生活を送れるんだとか!

このほどフィンランドの労働衛生研究所(Finnish Institute of Occupational Health)などが中心となって、スタンディングデスクで仕事をする効能を調査した20種類に上る論文の分析が行なわれ、医療や健康についての研究の分析データを蓄積・公開している「Cochrane Database of Systematic Reviews(CDSR)」のデータベースに発表。いずれの調査論文からも、スタンディングデスクを社内に設置しても、なかなか利用されないというのが現状で、たとえ利用しても、座ったまま仕事をしている場合と比較して健康面でのメリットはあまりないという、やや衝撃的な結果が紹介されていますよ。

この研究を通じて判明したことは、スタンディングデスクは、せいぜい洒落たインテリアにしかならず、健康によいとのデータは特に出そろっていないという現実だ。座っているよりも、立っているほうが身体によいという証拠は、実際には存在していない。むしろ、長時間立ったままでいるほうが身体に悪いことを示す証拠のほうがそろっているだろう。

同研究に携わった、労働衛生研究所のJos Verbeek博士は、こんなふうに調査結果の発表を行なっていますね。立ったまま仕事をするほうが、座って仕事をするよりも健康によいとした過去の調査は、いずれも調査方法に問題があり、偏った調査結果ばかりが発表されてしまっていたそうです。また、わずか半年ほどの短期間での追跡調査しか実施されてこなかったため、科学的に十分な根拠にはならないとの見解が示されていますよ。

一方、16年という長期間にわたって、5,132名の労働者を追跡調査した結果、何時間座って仕事をするのかという職場環境と寿命の長さには、大きな関連性がないと判明。 無理に立ったまま仕事をしようとするよりは、仕事を終えてからジョギングをするなど、仕事時間外の運動が健康におよぼす影響のほうが、よほど効果性が高いと発表されているようです。

これに対して、アイオワ大学Lucas Carr教授は、立って仕事をすることに、なんの健康的なメリットもないとする見方には疑問を唱えていますよ。

立っていることが健康面でよいかどうかは、いまだにわかっていないことのほうが多い。だが、座ったままでいるよりは、明らかにカロリー消費する。その消費量はごくわずかかもしれないが、毎日の積み重ねが何年も続くことを考えてみてほしい。

同教授は、こんなふうに反論しています。確かに過去の調査方法に問題はあったものの、これからスタンディングデスク効果性を実証するような研究論文が誕生してくる可能性は十分にあるとも語っていますよ。科学的に詳しいことはわかりませんけど、何時間も座り続けて仕事をするよりは、意識的に立って身体を動かす時間を持つのに越したことはなさそうですよね。

source: NPRCDSR

Chris Mills - Gizmodo US[原文

(湯木進悟)