ダミアン・ハーストの真っ二つ牛から毒ガスが出ていた!

ダミアン・ハーストの真っ二つ牛から毒ガスが出ていた! 1

1990年代にホルムアルデヒド漬けの動物の死骸の連作で一躍有名になった現代美術家、ダミアン・ハースト。彼の現代英国美術を代表する名作から危険レベルの発がん性物質ホルムアルデヒドガスが検出されました。

英王立化学会の学術誌「Analytical Methods」今月号でミラノ工科大学のPier Giorgio Righetti教授が発表したものです。

研究班はハーストの作品が2012年に展示されたロンドンのテート・モダンと、もっと最近展示された北京の夏の離宮・頤和園にそれぞれリモートセンサーを設置し、ガスの濃度を調べてみました。

テート・モダンの展示作品は羊のホルマリン漬け「Away from the Flock」と真っ二つ牛のホルマリン漬け「母と子、分断されて」(写真上)だったのですが、タンクの周りにはなんと「法定基準値の0.5ppmより10倍多い5ppmものガスが放出されていた」のだとか…。

ホルムアルデヒドと言うと、理科室のホルマリン(ホルムアルデヒド水溶液)漬けの標本でお馴染みのアイテムですけれど、ほかにも家具や建材に使用されている身近な物質です。ただ、こうした物質からホルムアルデヒドガスが排出されることがあり、そうすると鼻血やせき、長期化すると鼻腔がん・口腔がんの原因にもなるんですね。今回の場合は、「おそらくタンクの継ぎ目からホルムアルデヒドガスが漏れていたのではないか」と教授は書いてますよ? 作ってから年数が経っているので、こうなる前に再補強しなきゃいけなかったみたいです。

いちおうテートの広報は、かなり濃度は薄めて使っているので、一般の人にリスクはおよぼさないはずだと話しています。ハーストも自サイトに公式声明を出して大反論。

「僕らも定期的にテストは行っている。このジャーナルに書かれているようなレベルが本当なら、今頃みんな涙目になって、かなりの体調不良を訴えているはずだと、うちの専門家は言っている。この展示会の最中、そんな苦情は1件もなかったし、ホルムアルデヒド漬けの作品を出品したほかの展示会や会場でも1件も入っていない。一般見学者をリスクに晒したとは思えない」

これに対しRighetti教授は、一般見学者は体調不良を訴えるほど長居しないから、その心配はないだろうけど、美術館のスタッフは作品のそばにずっといるわけで、換気が不十分な場合も多いので、そちらは心配だ、とNYタイムズに話していますよ。一応テートの女性アシスタントからは「2012年の展示会で設営中に気分が悪くなりましたが、週60時間労働で、週末は12時間のシフトだったので寝不足だったのかも」というお返事が米Gizmodoに入ってます。

ハーストと言えば健康が結構重要なモチーフなので、あちゃ~と思っちゃいますよね。薬局がテーマの作品もあるし、今年は錠剤がテーマのレストランをロンドンにオープンしたし、自社名は「Science Ltd.」だし。ガス漏れまでがワンセットのアートなのかな?

image: Damien Hirst

source: The Guardian

Alissa Walker - Gizmodo US[原文

(satomi)