ロッキー山脈にある、超効率的な建物のひみつ

ロッキー山脈にある、超効率的な建物のひみつ 1

こんなに寒い土地でも、暖かくて心地よい屋内って不可能じゃないんです!

一見、ごくごく普通な建物がそびえ立つのは、コロラド州ベソルトの標高6,600フィート(約2,011m)地点。年間約90インチ(約228cm)の積雪が確認されるこの地域に、敢えて最近移転してきたのは、RMI(ロッキーマウンテン研究所)のイノベーションセンターです。

1982年に創立された環境団体の建物の屋内は、超効率的。この土地の夜間の平均気温はマイナス15度である一方、屋内は真冬の最も寒い夜でも約15度ほどの暖かさなのだそう。そのひみつは、がんがんエアコン機器を使っている......なんてわけじゃありません。建築家科学者(と太陽)の協働作業によって、中央暖房システムいらずの構造が実現したようです。一体どんな仕掛けが隠れているのでしょう?

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冬は風が強く、豪雪地帯である一方で、快晴の日も多く、辺りはアスペンやスノーマスなど有名なスキー場に囲まれています。

ここでは、晴れた日の天気こそが最高の熱資源。年間を通じておおよそ242日間は晴れる、太陽光に恵まれた土地なのだそう。そこでまずZGFの建築たちは、最も日差しを浴びる建物の側で、太陽光を最大限取り入れる方法に向き合い始めたといいます。

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暖かく、そよ風が吹くような構造のポイント:(1)日陰からの気流、(2)空からの自然な光、(3)コンクリート床面の熱質量、(4)換気性のあるオープンなオフィス、(5)ファンによる適温調整

高機能な四重窓のうち、二重部分は単純に熱を閉じこめるための役割。大きな外構の日よけは、建物に搭載された天候を感知するセンサーから受け取ったデータをもとに自動で動く仕組み。日差しと室温を制御するのに活躍するのだそう。

エネルギー効率を測定した際、ZGFの建築家たちとRMIの科学者たちは、集中暖房システムが不要であるという結論に至ったといいます。「人のいる場所に熱を運ぶことが可能であることを目の当たりにした。人が暖を取りにいく必要はないんだ」と語るのは、リード・デザイナーのJustin Brooks氏。

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仕事場は窓から離してあるが、自然光を楽しめる場所はいくつか残してあるとのこと。

熱を保ったり解放したりするのは、Brooks氏が「熱電池」と呼ぶコンクリート板に加えて、一定の温度で凝固する乾式工法のに含まれる物質。床には放射暖房システムがあるものの、まだ必要になった場面がないのだとか。代わりに、職場のカーペット下には、小さな低電圧のマットが設置されているのだそう。これは、全体で中央制御されているわけではないため、個々人が必要に応じて使える仕組みなのだそう。

超効率的とよばれるこの建物では、ほとんど熱漏れがないため、凍結防止の装置を用意する必要もないのだそう。RMIのマーケティングマネージャーであるKelly Vaughn氏は「日差しの暖かい午後、自動的に日よけが動くのを見て、そういえば暖房ゼロの建物の屋内にいたんだと気付くことすらあった」とコメント。

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デザインチームにとっても、この建物に施された仕掛けが目に見えることは重要なのだとか。イノベーションセンターでは、スタッフや来客への教育目的で、どうやって暖かさが保たれているか気付いてもらうためのサイネージを建物じゅうに掲示しているのだそう。

RMIのウェブページでもまた、現在のエネルギー使用量データをはじめとする情報のほか、これまでにかかった詳細な費用とリターンの仕組みまで公開されているようです。

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建物の大きさ自体はアメリカにある9割がたの商業ビルと同程度にも関わらず、RMIの本部は、こうした特徴的な天候の地域で建設されたなかで最もエネルギー効率が良いと評判。これは、環境と共存する未来の建物づくりに向き合う多くの建築家たちにとって、参考になるモデルケースとなりそうです。Brooks氏は「この建物のポイントは、デザインの要素。見た目も良く、効率も良くさせるうえで重要だ」といいます。

Top image by Rocky Mountain Institute after a snowstorm by Tim Griffith

source: Scientific Reports

Alissa Walker - Gizmodo US[原文

(Rina Fukazu)