世界初の地下コンサート開催地、ロンドンで約150年ぶりに再オープン

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この年期たっぷりの場所、どんな目的で使われると思いますか?

まるで映画のセットのような仕上がりですが、ここは1843年にロンドンで初めて開通した水中トンネルのエントランスホール。テムズトンネルの建設者である有名な一族をたたえるブルーネル・ミュージアムの一部として、147年ぶりに一般開放されました。

1872年に世界で初めて地下コンサートが行なわれた歴史あるこの場所は、時代を越えてリノベーションを果たし、現代のイベントスペースとして再び公開されることになったのです。

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完成前のトンネルのカッタウェー。テムズ川の両サイドに注目すると、
トップ画像の階段をふくむエントランスホールが描かれている

完成当時

テムズトンネルは、1843年にロンドンで初めて開通した水中トンネル。もともと馬や馬車が川を渡るための手段としてデザインされました。

資金の問題で馬車は結局通れずじまいになってしまったようですが、それでも完成後は、当時のロンドンの人々の午後の散歩道として親しまれたのだそう。トンネル内はガス灯の光に明るく照らされ、露店商人たちのビジネスの場としても賑わいました。

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開通後まもなくのトンネル内を歩くロンドンの人々。訪問者は年間200万人ほど。
通行料金は1ペニー(約80〜100円 ※当時は1ポンド=240ペニー)。トンネルの全長は約396m

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グランドエントランスホールを行き交う人々の様子

閉鎖〜再開発

ところが1869年、トンネルは一般向けの閉鎖を迫られることになりました。その背景には、ロンドン市内での鉄道網の台頭があったようです。

それから時は経ち、ブルーネル・ミュージアムがトンネルのエントランスホール部分の所有権を獲得することに踏み切ったのは2007年のこと。。2010年には、1世紀以上の時を経て初めて一般向けの観覧が許され、その後再び本格的な一般公開の企画が始まったのです。

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ブルーネル一家

マーク・ブルーネル、イザムバード・キングダム・ブルーネル、ヘンリー・マーク・ブルーネルは、ロンドンのインフラ革命を先行したことで有名な3世代のエンジニアたち。

ロンドン地下鉄、グレート・ウェスタン鉄道タワーブリッジなどロンドンを代表する交通インフラの建設において重要な役割を担ったことでも知られる彼らが唯一、3人全員で立ち会ったのが、テムズトンネルのプロジェクトでした。イザムバードは父であるマークを手伝い、ヘンリーは赤ちゃんとして抱っこされた状態で、開通後初めて足を踏み入れた人物の一人となったという関わり方をしたそうです。

ところが、ロンドン初となる地下トンネルの建設は計画通りに行かないことばかり。18年プロジェクトとして取り組むも、その当時は多くの失敗が度重なり、建設作業員の事故死や資金面で弱り果てたといいます。ただ、こうした彼らの苦難が地下鉄の未来を切り拓いたといっても過言ではありません。

柔らかい粘土によって頻繁に洪水が引き起きたとき、マークは現在のトンネル・ボーリング・マシンのモデルとなった「トンネリング・シールド」と名付けられるものの発明に至ったというのですから。

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リノベーション

地下トンネルをイベントスペースに変えたのは、Tate Harmerの建築家たち。エントランスホールは幅50フィート×深さ50フィートで、唯一の出入り口は上階の角にある小さなドアのみ。そこから階段を部品ごとに運び入れて組み立てていくという作業を彼ら自身は「ボトルのなかの船」と名付けたのだそう。そうして出来上がった階段のデザインは、壁につけず独立した状態で独特な存在感を放っています。

壁は当時のまま残されていて、ロンドンの交通インフラの歴史を直接的に感じさせてくれます。新旧交代ではない、新旧共存のデザインの可能性が感じられますね。

source: Brunel Museum

Alissa Walker - Gizmodo US[原文

(Rina Fukazu)